佼成学園女子 人と交わり人に学ぶ(3)

佼成学園女子の教育の柱にそって、「私×心」の情操教育、「私×世界」の英語教育についてお尋ねしてきました。最後に「私×未来」の進路指導についてお話をお願いします。

 進路指導と言えば通常、学校を卒業する時点での大学進学が出口のイメージだと思うのですが、佼成女子では、中学1年生に10年後の自分をイメージするように指導が始まります。つまり、大学を卒業して社会に出る23歳をイメージするということです。

 もちろん中学1年生にそれがすぐイメージされるわけではありません。佼成女子では、大きく4つのステージに分けて、進路指導を行います。中学2年生の1学期まで(1st ステージ)は、職業調べや校外学習体験によって社会について学び、自分の志向性に気づきを持ってもらう時期です。中学生の後半(2 ndステージ)では、コース別ガイダンスや、卒業生による大学生活紹介を経て、実際に高校のコース選択をします。さらに高校2年生の2学期まで(3 rdステージ)で大学キャンパスツアーやボランティア体験を経て、文系・理系選択をします。高校2年生の2学期以降は、志望大学・学部に向けてスパートするという流れです。

 どのステージでも共通しているのは、社会や大学といった周囲について知ることと同時に、自分自身について知ることを意識させていることです。ボランティアなどの体験学習にはそのような意味があります。

今年の合格実績を見てみると、国際教養大学や東京外国語大学、早稲田大、上智大、津田塾大といった、外国語系学部の強い大学、あるいは文系の難関大学ばかりではなく、東京理科大などの理系の難関大学、医歯薬系の大学にも多くの生徒が進学していますね。

 国公立・早慶上理といった難関大学ばかりではなく、マスコミなどではあまり注目されない、難関女子大の合格実績なども増えています。「受験は団体戦」という言葉が佼成女子にはあるのですが、一部生徒だけではなく、全体が向上しているという点こそ、うちが最も重視していることです。

 大学では様々な入試が行われるようになっています。このような入試の多様化に対応するために、個々の生徒に対するきめ細かな指導が必要です。佼成女子では、高校から、志望に合わせて3つのコース別に指導を行うだけでなく、放課後の大学受験対策講習や、小論文や面接対策なども行っています。

佼成学園女子の中学入試でも、2科4科の他に、英語型入試やPISA型入試がありますから、ちょうど大学入試の多様化と対応しているわけですね。

 そういう捉え方もできますね。AO入試など、大学入試の多様化ということに対して、入口も多様化することで、様々な学力タイプの生徒をそれぞれの特性に合わせて育てていくという意味で、佼成女子の入試を、ポートフォリオ型と名付けている人もいました。PISA型入試は、10年前に始めた時には10名の受験者でしたが、今は10倍以上、100名を超す受験者がいるのですから、資産運用の比喩として捉えたわけでしょう。

 ただ、それぞれの入試で入学してくる生徒が同じ出口に向かうわけではありません。各生徒の志向性や伸び方は異なりますからね。大切なことは、きめ細かに一人ひとりの生徒を見ていくことと、異なる価値観、異なる進路を尊重しながらも、コミュニケーションを大切にしながら、全員で進めていく、つまり「人と交わり人に学ぶ」精神を常に発揮していくということです。

 

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