Created on October 20, 2019
和洋九段女子は、SDGsについて教育活動として本格的に取り組んで3年目を迎えます。中1では、まずSDGsについて、関連情報を徹底的に調べていきます。中2では、SDGsが実際に企業やユネスコなどの団体でどのように扱われ広められているのか、企業活動を取材するフィールドワークやインタビューのリサーチをしていきます。
中3では、それでは、自分たちは何ができるのか、実践的なプロジェクトを立ち上げて実行していきます。今年の中3は、SDGsスゴロクプロジェクトを立ち上げ、ゲームを通してグローバルゴールズを達成するにはどうしたらよいか考えるワークショップを開発しました。ファシリテーターの役割を、中3の生徒が自ら果たしていきます。
この連綿と続くSDGsへの取り組みは、文化祭以外でもプレゼンする機会がありますから、学内でも広がります。したがって、高校生が過疎化で苦しんでいる農村に訪問し、ホームステイしながら地域の人びとと問題を共有し、解決する時にSDGsへの貢献を自分たちもしていることに気づくということにつながったりしています。
この和洋九段女子の生徒によるオーセンティックなSDGsの取り組みは、徐々に企業やユネスコ、国連広報センター、学びの連携をしている自治体で評判になっています。実際、SDGsスゴロクプロジェクトのメンバーにインタビューしてみると、社会的インパクトを与える手前まで来ていることを実感しました。
―このプロジェクトをたちあげた理由はなんだったのですか?
「夏休みに何かやろうという話になって、メンバーが集まって話し合っているうちに決まりました。はじめからこれをやるという決められたものはありませんでした。」
「それに私たちは、企業の方々と話しているうちに、ただインタビューだけで終わるということはなく、いろいろな情報も得ました。外部でSDGsの浸透をカードゲームのワークショップを通して広げていこうという研修会があることを知ることもできました。時間の都合がつけば、実際に参加したりもしました。」
「和洋九段の先生方も、そのようなワークショップに参加して、情報を提供してくれることもありました。」
「そのようないろいろな体験があったし、やはりやるなら参加した方々も楽しみながら理解を深めていける企画がいいなあということになり、同じようなワークショップを参考に、自分たちのオリジナルのゲームを作ろうということになったのだと思います」
―このスゴロクを編集制作していくときに、創意工夫というかなかなか大変だったということは何かありますか?
「それは、やはりマス目の選択と並べ方ですね。」
「マス目には、SDGsの17のゴールのカードがもらえたり、このスゴロク上のおカネを獲得したり手放したりする理由が書かれていますが、その内容を中3全員から集めて、整理するのは意外と難しかったですね。」
「それに、あるマス目には、クイズも入れましたから、それもみんなに作ってもらいました。この間国連でグレタさんがスピーチしていて驚きましたが、私たちのクイズにもグレタさんに関連するものがあって、ちょっと嬉しくなりました。」
「そして、何より順番を決めることですね。最終的にあがったときに、手持ちに集まるカードやお金によって、参加者自身があらかじめ設定した国の多くの問題がどう変化しているか話してもらうわけですが、その話ができるような結果になるかは、何度も順番を組み替えました。」
「国連広報センターのスタッフの方も、今のスゴロクになる前の、私たちはプロトタイプと呼んでいますが、それをみてもらって、いろいろアドバイスを頂きました。子供も参加できるように表現を工夫することなど指摘していただきましたが、やはり、順番はこうしたほうがよいのではというアドバイスは自分たちでは気づかないことが多く、勉強になりました。」
「そのプロトタイプをだいぶ変えて、今に至っていますが、たぶんこれからも実際にワークショップをやりながら変更していくことになると思います。ファシリテーターを自分たちでやっているので、参加者の反応が伝わってきます。やはり反応がよいときは嬉しいので、そうなる並び方や、マス目の内容を変えていきたいと思います。」
―文化祭で、みなさんがワークショップのファシリテーターを行っているのを拝見しましたが、このワークショップはもっといろいろな場所でもできるのではないでしょうか?そんな企画はありますか?
「学校説明会のときに行われる体験授業などで行うこともできます。受験生がSDGsについて理解を深めたり問題を私たちと共有することは大切です。」
「来年2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。取材をさせていただいて今もお付き合いのある企業や団体に、海外から来た人といっしょにできる機会をつくるのはどうかちょっと提案もしてみたいと思います」
「それに、ワークショップを行うことも重要ですが、私たちは今回の取り組みで、身近なところがSDGsにつながっていることに気づきました。その気づきを共有していくことはとても大切です」
「たしかにそうですね。私の場合は家族とよくSDGsの話をするようにしています。意外と知らないのにはじめ驚きましたが、考えてみたら、まだ認知度は30%達していないと言われていますから、当然です。母が、この間知り合いと話したら、相手の方は知らなかったわというような話題にもなります。」