21会顧問 渡辺先生からエール

いよいよ2月1日がやってきました。21会校顧問・前共立女子校長渡辺先生から、檄文が贈られてきました。しかし、この文章は、21会校のみならず、すべての私立学校や受験生へのエールでもあります。したがって、ここでご紹介いたします。by 本間 勇人 私立学校研究家

皆様へ

入試願書受け付けも、ほぼ大詰めを迎えましたがいかがでしょうか。昨年の入試を踏まえて、この1年にわたり様々な活動を展開されてきたことと思います。

21会としても、2015年2月22日の中学入試セミナーを皮切りとして、3月21日の第2回21会「思考力×教育」セミナー、10月25日の第5回21会カンファレンスを通して、この1年で以前とは比較にならないほど「21世紀型教育」を社会に理解させ、認知させてもきました。

 人生は意思決定の連続です。力をつけていればリスクは減るわけですが、人間の能力には持ち運びができる能力と持ち運びのできない能力があるといわれています。持ち運びができる能力は、「ポータブル・スキル(portable skill)」と言われ、どこにいても食べていく能力であり、昔は金平糖職人がそうであったといわれています。価格が高価で、作るのが難しい金平糖を作る技術があればどこでも暮らしていくことができたそうです。

 産業構造の変化やグローバル化による競争の結果、不確実性の要素が増してきています。今まさに日本でも、終身雇用をはじめとする雇用慣習が変化してきているわけですが、どこでも通用するスキルを持っていれば、会社や仕事が変わっても能力を発揮でき、選択の幅が広がることになります。ポータブル・スキルがあれば、人生におけるリスクを下げることができます。

しかし、それは技術や資格のように誰にでも当てはまるものではありません。個々に応じて必要なスキルは異なります。それを獲得するためには、PILやPBLなどのアクティブラーニングの実践を通して、生徒が自ら考え、自ら課題を見つけ、自ら課題を解決しようとする力を培うことや、自分を見つめ、自分の才能に気づく力を養うことが重要になってきます。

そうしたとき、これからの学校や教師の役割としては、生徒一人ひとりの才能や将来の夢を引き出すサポートやコミュニケーションがこれまで以上に必要となってきます。

そこにリベラルアーツの重要性があります。人工知能の発達により時代が求める職業観は大きく変化していく状況に対応し、将来どんな職業に就いても転移可能な高度な能力を養成する必要と、いつの時代にもどんな場面にも通用する、学び方を学ばせる必要があります。これが21世紀型教育なのだと思います。

入試後も次の年に向かって進んでいくわけですが、教育活動の広報はやっていることよりも、それによって何を伝え認知されるかが大事です。今後もそのことを念頭に置いてやっていきましょう。それでは2月21日の第2回中学入試セミナーでお会いしましょう。

 

 

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