7月17日、桜丘でICTオープンスクールが開催された。教育関係者や全国から集まった学校の先生など、総勢200名近くの見学者で賑わった。ICT先進校の地位を確立した桜丘にとって、iPadを使った授業はすでに日常の風景となっている。ICTリテラシーを自然に身につけながら、未来を切り開く創造性を発揮する生徒の様子を取材した。 by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家
1時限から3時限まで、それぞれの時間帯で10教室を超える会場で授業やプレゼンが行われ、見学者はそれぞれ見たいイベントへと向かう。iPadを使った授業を実際に生徒が受けている教室だけでなく、これまでICTを活用してきた部活やホームルームの実践報告、またロイロノートなどのシステム面の説明をしてくれる教室など、まさにICTオープンスクールという名の通り、ICTに関するすべてのノウハウをオープンにしていこうという桜丘の意気込みが感じられる。
授業をしている教室を覗いて驚いたのは、昨年取材で授業を見学した時に比べ、先生も生徒もipadを格段にうまく使いこなしていることであった。
オープンスクールというイベントのためだから特別に使っているのではなく、ふだんからiPadを100%活用していることは一目瞭然。何しろ手際がよいのだ。
リーディング教材を映しだしたかと思うと、英単語のフラッシュカードに切り替えたりするなど、黒板に書きこんでいてはとてもできないスピード感のある解説が行われる一方で、生徒の方は、時にはリサーチのツールとして、時には書き込みのノートとしてiPadを活用している。
リサーチツールとしてのiPadの可能性もさることながら、ノートとしてのiPad利用も大きな可能性を秘めている。
化学の授業では、生徒たちがスタイラスペンや自分の指を器用に使ってiPadに解答を書き込んでいた。
その解答を先生が自分のiPadに集め、ホワイトボードに映し出しながらチェックする。
化学式では、書かれる数字の大小がその式の意味を変えてしまうので、生徒の手書き答案を先生がチェックする。一人一人のノートを見回るより、一度に生徒全員が共有できるので効率的である。
「生徒が答えをiPadに書き込み、その画像を先生に送信、先生がそれを集め、特定の生徒の解答を映し出す」ー 書いてしまうと何ということもないようなことであるが、これを実際にさらりとやってしまうことのできる環境が用意されている学校はそう多くはないはずである。iPadが全員に配られるだけでは十分ではない。桜丘のICT教育に威力を発揮しているもう一つの秘密がロイロノートである。このアプリを利用していることで、iPad同士のコミュニケーション、あるいはコラボレーションが非常にやりやすくなっているのだ。
基本的な環境を設定したら、あとは先生や生徒にその利用は任せる。これが桜丘のICTを推進する品田副校長先生の基本方針である。ロイロノートを多用する先生もいれば、その他のアプリを使う先生もいる。そのバリエーションの豊かさが、生徒のICTリテラシーを高めることに寄与している。次の記事では、そのバリエーションについて触れてみたい。