八雲学園 英語教育も総合力へ(2)

現代型の英語教育が進化するということ

横山先生:自分自身の受けてきた英語教育と比べれば、明らかに八雲学園の英語養育は違います。英語の発音1つとっても、もしも今のように本格的に発音したら、周りの反応はどうだっただろう。私自身も恥ずかしいと思ったのではないだろうか。

それは、もしかしたら受験英語を中軸にした英語教育を行っているとしたら、そこは今でも昔と変わらない雰囲気があるかもしれません。

しかし、八雲学園では、そういう雰囲気はもはやないですね。みな、英語でアウトプットやパフォーマンスをしているので、それが当たり前になっています。

またファンフェアに象徴されるように、多くの外国の方が本学園を訪れますが、生徒はウェルカムの精神を発揮し、積極的に英語でコミュニケーションして歓迎します。一昔前の私たちだと、外国の方を見ると、距離を空けたかもしれませんが、生徒にとっては、日本人だから外国人だからという違いが縮まっているというのも、現代型の英語教育が進化してきた証しだと思います。

菅原先生:17年前に中学を開校した当時と今も、英語に対する動機づけや興味はあまり変わらないと思います。英語を使って話したい・表現したいという気持ちや意志はやはり強いです。

しかし、今では、アウトプットできたというだけでは満足していません。自分の考えていることや意志、自分の内側にあるものをしっかり表現して、意志の疎通を図りたいというところまできています。使える英語の幅や奥行きがでてきています。

ですから、生徒どうし、メール交換は英語で行うというようなケースもでてきています。八雲学園は教育の総合力をいつも意識していますが、生徒自身は、英語を使う際に、語学としてではなく言葉としての英語の総合力も意識する芽が確実にでてきていますね。

田畑先生:英語の授業としては、細かい積み上げに精一杯という状況になるときもあります。先ほど見学して頂いた中2のオーナーズのクラスで、前置詞をテーマにして授業を展開しましたが、前置詞は、結局コミュニケーションしているときの時と空間を表して、場面をそこに作りだしますから、イメージさせることも必要になります。

それに、たとえば、atとinの差異とか、for自体の使い方の差異とか、時間の流れの捉え方の違いによって前置詞を使い分けるとか、かなり細かいところまで理解していけるように指導します。

さらに、使える英語、アウトプットする英語を生徒たちは必要としますから、コミュニケーションする時の場面を設定する前置詞は、中2でも高校で学ぶものまで身につけないと、実際には英語を使えません。

そして、穴埋め問題もやりますが、それでは菅原先生の言っていた自分の想いを伝えられないのです。それで、授業の最後はいくつかの前置詞をつかった英文を書くことに挑戦してもらいます。

今回は高1の範囲の前置詞までいっぺんに取り扱いましたが、生徒が必要とする英語というコンセプトを実現すると、授業の速度も密度もアップするのです。

また、授業と使える英語をつなぐには、やはりたくさんの英文を読めるようになることも必要です。日本語に訳すのではなく、分からない単語も前後の文脈から推測しながら丸ごと英文を飲み込んでいくような指導。

そのために、Extensive English(英文の多読)も実施しています。何ワードの英文を読んでいくのか、ポートフォリオをノートに記録していきますから、自分がどれだけ英文を読んだか、これだけ読んだという自信にもつながりますし、英語の本を楽しんで読めるようになっている生徒もいます。

このように、細心かつ幅広く英語の授業を行っています。そしてそれに全員が参加する英語劇などの環境も創意工夫しています。

しかし、先ほども言いましたが、精一杯という状態になることもあります。そんなときに榑松先生が米国のネットワークや新しい英語教育の視点をつなげてくださると、そこが進化の突破口になります。

 

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