聖パウロ学園 学びの質を求めて(3)

学びの過程は、数学や言語の授業でも

本田先生:私は数Ⅲを担当しています。数Ⅲは、ひたすら微積の計算なので学びの過程がないように思われますが、実は数Ⅰ、数ⅡBで身につけた数学的道具を適用するので、多様で多角的な考え方ができます。ある意味本格的な数学的楽しさがあるわけです。

式をグラフに、グラフを式に転換したり、座標を消すと、幾何だけで解決できてしまう考え方もあって、生徒はそのたびに、驚くわけです。

極限や無限の概念は、数学が好きな生徒にとってはスリリングなんですよ。

学びの過程の実感は、そのような多角的な考え方を体験することを通しても抱けるのです。

高橋先生:イタリア修学旅行で、ピサの斜塔を入れるかどうかいつも迷うが、やはり考え直してみようか。

本田先生:親指で計測してしながら写真も撮れますし(笑)。とにかく、数学的思考のオリジンに触れることはできますね。事前にその文脈をつないでおく必要はありますが。

倉橋先生:私も総合の授業を担当しています。環境などの問題について英文で書かれてるテキストを読みながらグループで考えていくわけです。英語の得意な生徒もいるしそうでない生徒もいますから、グループに分けるときにはメンバーの工夫はしています。

この間などは、“plague”という英単語が出てきた。生徒はこれがペストだというと、“pest”ではないのかという。そこで、言葉の話になるわけです。英語と日本語の違い。日本語でいうペストは“plague”、発音がペストとなっている“pest”は、害虫とか有害な小動などを指し示しているなどという話に発展します。するとラテン語や世界史の文脈まで広がります。

そのときに知識の重要性が改めてでてきます。知識をただ覚えるのはあまり意味はないが、知識そのものがいかに大切かについて、生徒たちは気づいていきます。ペストの話は黒死病という中世のカトリック世界の話にも膨らみます。

高橋先生:ある意味イマージョン率の高い授業が行われているし、イタリア修学旅行にもリンクする話。英単語1つが、壮大なスペクタクルに広がっていく。グローバルでリベラルアーツな話。聖パウロ学園の教育の奥行きに改めて感じいった。今後ネイチャープログラムや数学、情報、それ以外の教科や宿泊合宿などに埋め込まれている聖パウロ学園の学びの過程を可視化する作業に入っていく必要があると確信した。

それにしてもイタリア修学旅行は、教科や様々な教育活動に横断的・学際的につながっていて、学びの拠点であると認識を新たにできた。今後もいろいろなアイデアをよろしく頼むよ。今日は本当にありがとう。

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