順天 ハーバード大学へ 準備

真っ青な大空が広がる中、順天の終業式は行われた。スポーツで優秀賞をとった生徒の授賞式、インターハイに出場する生徒のための壮行会、ボランティア団体の方々のために募金活動したお金の授与式、そしてイギリスのギャップイヤ―を活用して一年間教育ボランティアで活躍した2人の学生との別れを惜しむセレモニーなどが行われた。

アクティブで多様性を受け入れる順天の生徒の姿が鮮やかに映し出された。そして、さらに長塚校長から、順天の生徒にとって、名誉あるサプライズニュースが発表された。by 本間勇人:私立学校研究家

長塚校長は、終業式のスピーチで、生徒たちと前期の活動を振り返り、どんなことに対してもどうにかする力を発揮した順天生の活躍を高らかに称えた。そしてサプライズニュースとして、順天が“Harvard Book Prize”のチャンスを得たことを発表した。

順天高等学校とHarvard大学同窓会は、今年度より順天高等学校の第2学年の優秀生徒に“Harvard Book Prize”を贈り、アメリカをはじめとする海外の大学進学への興味関心を高めることを合意したのである。

この賞は、世界では1900校が受賞しているが、日本ではまだ6校。

長塚校長は、「グローバルというのは、超国家化と個人化が進んでいることを示唆するが、これに対応すべく、ハーバード大学は、1つの高校から成績優秀生を集めるという日本の大学のような方針をとっていない。世界中の学校から、優秀かつ個性的な才能者を集めるという多様性を重視している。

海外の大学に留学したい、日本の大学を出た後で留学したいというようなことを考えている人は、成績の得点だけではなく、自分がどんな活動をしたか、チャレンジしたか、学びの体験を豊かにしておく必要がある。この賞は、まさにその豊かな学びの体験の証しになる。ぜひ関心をもち、高い志を持ってほしい」と語った。

どうにかする力、多様な人たちを大切にすることが語られたのであるが、そのリアリティが、順天の教育の中に根づいている。それが全校生徒の前で、共有された。

長塚校長は、私たちは統一的な発想は得意だが、多様性をイメージするのは不得意だ。しかし、ネイティブスピーカーの先生方、ギャップイヤを活用して教育ボランティアで活躍してくれるイギリスからの学生のみなさんが、実際に超国家的に順天で私たちに良き影響を与えてくれている。多様性の大切さを、私たちは日常生活で体験できるのは実に幸せだと。

そして、もう1つ驚いたことがある。それは国際部部長の中原先生が、司会を進める中で、「このあとお別れのためのちょっとしたサプライズタイムがあります。あっ、言ってしまったからサプライズでなくなるかな」と語るや、ドッと生徒が笑った。

この日常の学園生活の中で、自己言及的なパラドクスを仕掛けた中原先生にも驚いたが、そのユーモアにドッと反応した生徒たちにも驚愕。中原先生が長年イギリスで暮らした体験を持っている数学の先生だからなのかもしれないが、イギリスの哲学者で数学者のラッセルのパラドクスや階型論理がさらりとシェアされている。グローバルな感覚が学園生活に息づいているということだろう。

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