八雲学園 英語教育の革命

八雲学園の英語教育の評判が高いのは有名である。しかし、それで満足しないのが八雲学園である。本サイトですでにご紹介しているように、今年3ヶ月留学に16人の高1生がチャレンジし、高度なエッセイライティングやIB型思考のレベルのディスカッションができるようになっている。

そして、英語の表現力がパワーアップする英語によるドラマ・エデュケーションがさらにミュージカルエデュケーションに進化した。英語祭において、その真価が発揮されたのである。by 本間勇人:私立学校研究家

従来、英語祭では、中1の英語朗読劇と中2の英語劇が演じられるだけで、高校生は卒業という感じだった。しかし、昨年、中3は文化祭で演じることができるが、高校になると英語のドラマを演じることができないのは、寂しい。表現したいという高1有志が集まって、歌って、踊って、演じるミュージカルに挑戦したいと近藤校長に頼み込んだ。

近藤校長は、八雲の教育の総合力を大切にするところから考えると、八雲生の自分から世界を作りたいと思う気持ちは、すばらしいことであると考え、快諾した。もともと、毎月のように行われる芸術鑑賞で、劇団四季など鑑賞しているし、昨年から始まったエール大学との国際音楽交流会の影響もあって、ミュージカルの同好会「グリー」が結成したわけだから、近藤校長は内心いいそ、教育の成果そのものだと確信したという。

(今年の5月末2日間にわたるエール大学の女性コーラスとの国際音楽交流は、八雲生に大きなインパクトを与えた)

昨年の英語祭でミュージカルの同好会は「グリー」を演じたのだが、大好評で、参加したいという仲間が増え、エール大学との国際音楽交流のときには、すでに「グリー部」として、同じステージに立った。エール大学の学生が絶賛したほどインパクトがあった。

そのせいもあって、部員は一気に増え40名を超える勢いだという。中学生からの部員もいるぐらいの人気部活となったのである。

今年の英語祭では、中学生がアニーを演じた。

昨年までは中2の英語劇でアニーは演じられてきたが、それをミュージカルに仕上げた。通しで、ダンスと英語で歌われ見事なミュージカルに進化していた。

高2は、ケシャのポップス“Tik Tok”を歌って踊った。ミュージカルの基礎は、歌とダンスである。

そして、高2の部員は、レ・ミゼラブルから“One Day More”を演じきった。一日一日、罪を背負いながら生きなければならない人間の運命を歌った。

絶望の中でも、愛を称えて生きていける人間の魂を歌った。

しかも、その愛は2人のためであると同時に、人類の自由と友愛に広がる愛であることを歌った。

部員はキラキラと輝いていた。自分たちの世界をド迫力の声量で響かせた。保護者も在校生も大きな拍手と大歓声を送った。

生徒たちは、カッコいい、スゴスギル、泣きそうになった・・・と感動して語り合った。顧問の榑松先生も見守りながら静かに感涙していた。

体育祭のときの高3のダンスは、後輩の憧れであり、後輩のロールモデルとして目標の星であるが、英語祭でも、目標の星が一つ輝きを放ったわけである。八雲学園の英語教育の革命の響きは、まさに“One Day More ”そのものだった。

英語のスキルアップ。そのスキルによってアイデアを英語で考え、豊かな内容を編んでいく。そして、その内容の感動を共感できるまでに、パワフルな表現力を身につける。その行きつく先は、総合芸術としてのミュージカル。

八雲学園の感性教育とその教育の総合力の面目躍如の瞬間だった。

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