八雲学園 憧れそして成長(2)

後輩が先輩の能力に憧れ、自らを成長の上昇気流に乗せていく循環が、最も象徴的なのは、2日目のプログラムのフィナーレ。ドリル部の高3生が卒業のパフォーマンスを行う瞬間である。

ドリル部は、八雲生の全体の憧れの部活の1つである。一糸乱れず、機敏なパフォーマンスや全員で宙を舞いながらのパフォーマンスの一挙手一投足に、歓喜の声が湧き上がる。しかし、この日は違った。後輩が見守る中、黒装束に身を包んだ高3生が1人ひとり個性を前面に押し出した表現をしながら、それでいて全体のバランスがとれたパフォーマンスが始まった。憧れの溜息がグランド全体に広がった。

機敏で均衡のとれた動きに、個性としなやかさが反映されたパフォーマンス。いつもは、明るく活発で光を放つパフォーマンスで、八雲生全員にエールを贈るのだが、フィナーレでは自分たちのメッセージを贈った。

成長する過程は、ジレンマとアンビバレンツの連続である。あらゆる事をなす過程は、葛藤を乗り越える過程である。内面は嫉妬と羨望と寛容の相克の渦で混沌が広がるデモーニッシュな影が支配する時がある。

そんな時どうするのか、やはり友人、仲間、教師、家族・・・と対話し協力し合う中から光のエネルギーを再生するしかない。光あれ!と。

そして再び、思春期の混沌の淵から光となって現れる。高3生は、八雲生全員に、混沌を恐れるな、それは希望への海原なのだと。勇気をもってみんなでいっしょに漕ぎ出でよと。

こうして、憧れの先輩からのメッセージをうけとめ、後輩はまた成長していくのである。八雲学園の成長のバトンは受け継がれた。その想いが、ドリル部のフィナーレパフォーマンスに託されているのである。

 

 

 

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