工学院の深いアクティブラーニング “think, make, share”

2016年7月2日(土)、工学院の実施した第1回中学校説明会の会場は補助椅子を追加するほどになった。新聞、雑誌、テレビなどの各種メディアの取材が殺到している学校だけでのことはある。馳文科大臣まで訪れたのだから、参加者が集まるのは当然かもしれない。
 
しかし、なぜメディアが殺到するのか。ディズニーランドやレゴランドのようなエンターテイメントを行っているわけではない。にもかかわらず興味と関心が伝播している。
 
それは、他の学校では、まだ行っていないモチベーションがアップするイノベーティブな授業が、学校全体で行われているからだ。by 本間勇人 私立学校研究家
 
 
 
教育界のノーベル賞グローバルティーチャーTOP10入りした高橋一也教頭を中心に、昨年から本格的に教育改革に着手した中1・中2の学年の教師は、全員PIL・PBLという深いアクティブラーニングを展開している。
 
もちろん、教師は、中学だけの授業を持っているわけではなく、高3の授業などももつことがあるから、当然その教育改革は、他学年にも波及している。教育改革は3年前から徐々に始まっているから、学内全体の浸透度は、年々速まり深まっている。
 
 
(思考力セミナーの直前まで高3の英語の大学入学準備授業をグループワークで行っている高橋一也教頭)
 
学校説明会では、そのような教育改革の授業のエッセンスを「思考力セミナー」という形式で、受験生が体験できる機会を作り、保護者も見学して共有している。
 
はじめに、レゴで組み立てられた立体図形が2次元で描かれている図形を、側面、正面、真上などから見て、投影図を描いた。
 
次にレゴを実際に使って、組み立ててみた。そして高橋先生は、頭の中で復元した体験と実際に創る体験とでは、どちらがおもしろかったか、考えやすかったかを問いかけた。
 
 
当然、ものを創る体験が圧倒的多数だった。この実感が、工学院の授業の肝だというのは、理屈ではなく、体感ですっと呑み込めたようだった。
 
考えるには柔軟性が大切だが、その柔軟性は言うは易く行うは難しである。そういうときは論より証拠、実際に体験してみる。“think, make, share”のスパイラルが工学院のアクティブラーニングのプロトタイプというのを、理屈で知るのは、学校に入学してからだろうが、受験生はたしかに納得したのだった。
 
さて、頭が柔らかくなったところで、4コマまんがの分析。オチというおもしろさを発見できるかどうかを、3セットを使って体感する。もちろん、アクティブラーニングだからグループワーク。
 
 
しかし、分析して終わらない。最終的には新しい4コマまんがのオチを自ら創る体験。そして“think, make, share”のスパイラルだから、最後はそのみんなで考えたオチをレゴで創り、しっかりプレゼンテーション。各チームのプレゼンはオチを表現しているわけだから、当然会場は笑いの渦になった。
 
最初の一見頭の体操問題も、授業全体を通してみれば伏線になっていた。4コマまんがの理解・分析・創造という深いアクティブラーニングをわずか45分で体験し、知的興奮にわくわくした受験生。その姿をみた保護者も、子どもたちの主体的で能動的な姿に感動していた。
 
 
(高橋先生は、各チームの作品をタブレットでそのまま写真を撮り、プロジェyクターで投影。各チームの代表が順々に見事にプレゼン。この段階ではやくも思考力や表現力を発揮。今後が大いに楽しみである。)
 
ある保護者にたずねたところ「目からウロコです。物を作るは、発言もわいているはで、なるほど考えるというのはこういう感じかと納得しました。自分たちの授業はこうでなかったし、子どもも初めての体験だったと思います」と。
 
 
 
 
 
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