工学院 高校1年 オリエンテーション合宿(2)自分の殻を破る信頼関係

工学院大学附属高等学校の高1オリエンテーション2日目は、3つのプログラムが行われた。
 
1つは、International Language Houseのスタッフと協働してパフォーミングアーツを実施。英語イマージョンで、しなやかにエッジの効いたダンスとのびやかに歌う2つのミュージカルを全員で演じ切るプログラム。
 
 
(オリエン合宿の朝。ここから工学院の高校生活が始まる。)
 
 
2つ目は、交流分析手法で、自分のコミュニケーションが、相手に合わせてしまうものなのか、抑圧的だったり攻撃的だったりするのか、共感的なコミュニケーションを行うタイプなのか、自分のコミュニケーションを仲間と話し合いながらモニタリングしていくワークショップ。
 
3つ目は、「メンタルトレーニング講習」。東海大学の宍戸渉先生を招き、モチベーションを高める「目標設定」の方法や「プラス思考」が身体の表現にどう表れるのか、ペアワークしながら、互いにモニタリングしていくワークショップ。
 
パフォーミングアートでは、ブロードウェイで行われているミュージカルのダンスの振り付けをそのまま行うため、決してやさしくないが、大切なのは、まずやってみるという挑戦するマインドをかきたてること。
 
 
英語で歌いながら、しなやかにクールに踊ることに対し、恥ずかしがる自分の殻をいかにぶち破るのか。それは、生徒1人ひとりの中で衝撃的だった。
 
しかし、やりきる心根は、大切な体験だったし、才能あふれる生徒が、本番で演じる直前に、スタッフにスカウトされてソロを踊るというシーンも感動的だった。1人ひとりが、いまここで変わること、挑戦すること、協力すること、それぞれの才能を称えること、それを演じりきること。高1生それぞれが自分の殻の破れる音を、今回のミュージカルの響きに聞いたに違いない。
 
交流分析では、他者に合わせてしまう自分、攻撃的な自分が、ときどき顔を出すことを仲間との対話の中で再認識したり、ずばり指摘されたりして、いかに自分のポジティブな気持ちやネガティブな気持ちを伝えあえる信頼関係が大事なのか、これもまた衝撃的だったに違いない。
 
 
信頼関係は、自分が他者を受容し、一歩自分が踏み込むことで生まれる。つまり、小さな自己変容が創り出すことなのだ。自己変容は、他者との信頼関係を生み出し、結局新しい自分の可能性に気づく創造的なアクション。
 
メンタルトレーニングでは、自分の何気ない言動に、表情に、志の高い憧れの目標をつかめるかどうかヒントが隠れていることを体験。ペアワークによるモニタリングを通して気づいていくワークショップ。本気ジャンケンを行うたびに、互いに問いを投げかけ、応えていく。
 
そのときの言動や表情の反応の分析をし、「プラス思考」がどうやったら心に宿るのかワークショップが行われていった。パフォーミングアートで破れた殻をさらに脱ぎ捨てる。Fixed MindsetからGrowth Mindsetへの広がり。
 
 
しかしながら、このしなやかな精神は、メンテナンスが必要。放置しておくとすぐに逆戻りしてしまう。持続可能にする。それは、いかにしたら可能か?
 
その答えは、今回のオリエンテーションの一人ひとりにとっての衝撃的な体験の中にある。言いたいことが言える仲間。それでいて、互いに尊重できる関係。葛藤のない関係はいまも、これからもない。しかし、その葛藤をプラス思考に変えるも、マイナス思考に変えるも、仲間に支えられ仲間を支える自分次第。
 
そんな自分を常にリフレクション出来る仲間との関係、教師との関係を見つけ、築いていくこと。今回のオリエンテーションの目標の共有は達成されただろう。
 
 
 
「夕食後のホームルームで1・2・3・8組は春休み中にフィリピンとベトナムのMoGに参加した生徒たちの報告会を行いました。
それぞれの国がどんな問題を抱えているのか、現地の起業家がどのような狙いでビジネスに取り組んでいるのか、自分たちが悪戦苦闘を繰り返しながらどのように活動してきたのかを報告し、まだ活動は終わりでなくこれから先にも続いていくことなので、ぜひ多くの人に協力をしてほしいと訴えていました。
仲間が経験した貴重な体験を共有し、より多くの生徒の刺激になったように思います。」
 
このプログラムは、もともとはなかった。生徒が、自分たちのクラスのビジョンを共有するホームルームの対話の中で、企画が生まれ、先生方を説得して行われることになった。まさに起業家精神!このようなGrowth Mindsetが、高校から入学してきた生徒と共に大きくしていく3年間が、これから始まるのである。
 
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