八雲学園 共学化への準備着々 St.Andrew’s School Turiとの交流

2018年度から共学校に転換する八雲学園。その理由は多角的であり、複合的であるが、決定的なのは、ラウンドスクエアに加盟したことだ。IB(国際バカロレア)創設時の中心人物クルト・ハーンが、世界のエスタブリッシュな私立学校の協働態であるコミュニティを創設した。by 本間勇人 私立学校研究家
 
 
(いっしょに歌って、踊って、心を響かせて交流は盛り上がった。ケニアの中1の男子が、日本語で涙そうそうを熱唱した時、八雲生は全員スタンディングオベーションで称えた。)
 
 
八雲学園中学開設時に姉妹校になった全米でもトップクラスのケイトスクールもこのラウンドスクエアに加盟している。姉妹校ケイトスクールとは互いに教育力において刺激し合ってきたので、4年前から八雲学園もラウンドスクエア加盟の準備をしてきた。
 
その準備の出発点が3ヶ月留学である。毎年選抜された高1生12名を対象に、UCサンタバーバラで、八雲学園特注の留学プログラムを実施している。
 
 
(交流前は、まずはパワーランチ。腹ごしらえしながら会話は弾む)
 
すでに中学3年間の英語教育集大成プログラムとして、全員参加のサンタバーバラ研修旅行があり、八雲学園のハイレベルな英語教育は有名だが、この3ヶ月留学は、グローバルエリートと共に学び、議論し、世界の痛みを創造的に問題解決する力を身に着ける超ハイレベルな英語による高次思考力とグローバルリーダーを養成するプログラムなのである。
 
あれから4年たって、国際会議で英語を使って議論ができる生徒が学内に40人以上誕生した。実は3ヶ月留学から戻ってきた生徒のための授業にエクステンションクラスがあるが、そこには留学に行ってなくても英語力がCEFR基準でB2ぐらいあり、意欲の高い生徒は参加できるので、年々その数は増えている。
 
 
(音楽交流は、まず八雲学園のドリル部から。迫力と艶やかさに衝撃が伝わった。)
 
実際3ヶ月留学一期生は、今年卒業したが、その大学進学実績はなかなかのもの。国公立大学、上智大学、立教大学などに進学しているが、海外大学に進学する生徒も現れた。私大は合格しているが、再度国立大学医学部に向けて準備を開始した生徒もいる。
 
しかし、最大の成果は、世界のエリートと頻繁に交流できるようになったことだ。すでに5年前から、ケイトスクール以外にイエール大学との国際音楽交流会を行っているが、いよいよ42か国170校が正会員として加盟しているラウンドスクエアの学校と交流が始まったのである。
 
 
(静かな祈りのような音楽からステップを踏みながら明るく楽しく歌まで1時間の公演だった。)
 
この170校の学校は、当然海外修学旅行を行っているが、旅先の大使館などにより、そこからラウンドスクエア加盟校も立ち寄るのがルーティンとなっている。今回も、ケニアのSt.Andrew’s School Turiの生徒29名が、八雲学園から徒歩15分のところにあるケニア大使館に立ち寄ってから、加盟校としての八雲学園を訪れるというサプライズ国際交流があった。
 
八雲学園も、すでにサンタバーバラに行ったときは、ケイトスクールと交流しているわけだが、これは年間スケジュールできっちり準備して行われるものだ。しかし、今後はSt.Andrew’s School Turiのように、日本に訪れたら、八雲学園との交流オファーを突然してくるという機会は多くなるだろう。
 
 
(八雲学園の吹奏楽の迫力と美しさも共有。)
 
St.Andrew’s School Turiのように、周りの国々のエリート層の子弟が集まってくる全寮制の私立学校が多いため、日本では想像できないようなノーブレスオブリージュな生徒ばかりの集団が訪れるのだ。
 
外交官などの子弟が駐在先で学校を選択する時、IB認定校とラウンドスクエア加盟校の2つを持っている学校をまず探すと言われウ程だ。交流する際には、ウェルカムの精神と高度な言語能力と高次思考力と何と言っても教養が必須となる。
 
 
(吹奏楽の演奏に驚きと満足の表情のSt.Andrew’s School Turiの生徒)
 
幸い八雲学園はもともと教育総合力を重視していたために、このようなサプライズ国際交流への対応力を身につけることができた。
 
そして、このラウンドスクエアの潮流は共学校である。となれば八雲学園も共学校になるしかない。これが八雲学園の共学化の根本的な理由である。
 
 
(別れ際、近藤校長自ら空手を伝授するシーンも)
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