富士見丘 教師力相互に磨き、グローバル教育3.0へ挑む!

2018年3月、富士見丘は、SGH認定校として3年目を終え、SGH1期生が卒業した。そして、その大学合格実績は世界大学ランキング1100以内(世界の大学の上位5%)に入っている国内外の多数の大学に進んだ。中でも、ロンドン大学キングスカレッジ(QS世界大学ランキング23位*)、トロント大学(QS世界大学ランキング31位*)、クイーンズランド大学(QS世界大学ランキング47位*)、シドニー大学(QS世界大学ランキング50位*)といった海外の名門大学への進学は、圧巻である。(*世界大学評価機関Quacquarelli Symondsが発表した「2018年世界大学ランキング」。日本の大学は、東京大学が28位、京都大学36位、東京工業大学56位。)

そして、SGHの後輩たちは、今年も、SGH甲子園や模擬国連で実績をあげている。このような成果は、5年目を迎える21世紀型教育を通してでたものであり、SGHプログラム開発とその実践は、中高6ヵ年の同校の21世紀型教育と親和性があったといえよう。しかしながら、富士見丘の教師は、この成果は始まったばかりで、これからもっと飛躍していく。そして、英語力、ICT技術などは、どんどん生徒が教師を超えていくのは火を見るよりも明らかだから、教師も学び続け、SGHプログラムや21世紀型教育のアップデートを行っていく必要があると覚悟を決めている。

そこで、今年4月3日、2018年度の富士見丘の先進的なグローバルな教育をアップデートするために、多様な研修が立て続けに行われたのである。by 本間 勇人 私立学校研究家

【ポータルサイト研修】

その1つは、Office 365のSharePoint Onlineを活用して、学園ポータルサイトの作成と活用法の研修。これによって、教師同士、教師と生徒は、出席から宿題提出、お知らせ共有のみならず、テキスト共有、生徒のプロダクト共有などができてしまう。

互いに6年間の学園生活や学びの軌跡を共有し、モニタリングすることができる。生徒1人ひとりの成長の飛躍を学園全体でサポートするバーチャルコミュニティの構築を行うのである。

もちろん、これは2020年大学入試改革の柱の1つであるeポートフォリオ作成の準備にもなるが、それだけが目的ではない。SGHプログラムでは、とにかくリアルに、そしてサイバー上で海外の高校や団体、そしてなんといっても大学とコラボレーションするため、ICT環境とそのマネジメントができていないと、そのつどバタバタしてしまう。教師も生徒も、グローバルな開かれた学びの環境のシステムを構築する必要があるのである。

したがって、教師も生徒も1人1台タブレット型PCを所有する環境を作る必要があり、その効果的な授業での使い方、リフレクションデータの使い方、生徒の非認知的能力のモニタリングなど、紙媒体で行うと、膨大な時間がかかり、結局やりきれないところを、すべてできるようにしようというのである。

同じ時間内に今まで以上のデータマネジメントをしていくわけだから、教育の質が向上しないわけにいかない。

【「経営の論理と教育の質」向上研修】

ポータルサイト研修終了後、今度はさらに「経営の論理と教育の質」向上研修が行われた。どんなに教育の質がよくても、それが市場に認知されなければ、生徒募集はうまくいかない。私立学校において、経営が持続可能になるかどうかの要は、学校場合は、生徒募集という方法論しかないと言っても過言ではない。

研修は、教師1人ひとりが、富士見丘に対する経営と教育について、自分なりにどんなイメージを持っているかダイアード形式で想いを語っていくところから始まった。

そして、チームにわかれ、市場の情報やデータなどから、外部の目はどのように富士見丘を見ているか議論していった。自分たちのイメージと外部の目とのギャップを明快にするために、7つの質問についても、さらに議論していった。

自分の想いや外部の目をダウンローディングするだけではなく、自分たちの本当の姿を見出す作業にはいると、ギアチェンジが起こりて、さらに真剣に議論は深まった。

富士見丘は、授業もPBLで行っているし、スタンフォード大学のデザイン思考の研修も行っているから、研修も全く同じスタイルで行った。ギャップに気づく過程は、議論の時間を短めに設定して、何度もチームごとプレゼンを続けるという、クイック・クリエイティブラーニングの手法で進行した。

7つの質問は、要は、生徒や保護者の価値と富士見丘の教育の質が化学反応を起こす時、市場が富士見丘の潜在的ブランド力に気づくというカスタマーエクイティに関する問いかけの学校バージョンだった。

富士見丘で、生徒が学園生活を送ることこそが、未来の自分の価値を高め続ける果てしない自己成長物語のプロトタイプであるという実感をいかに共有できるのか。先生方は議論に集中した。朝から長時間の研修を続けてきたにもかかわらず。

そして、最後に、教頭白鶯教先生は、7つの質問について額を集めて考え、議論してきた創造的問題解決の方法を、ワークショップで終わらせることなく、今年実現していけるように一丸となって突き進んでいこうと語られた。

かくして、富士見丘の先生方は、2018年、また新たなチャレンジに立ち臨むにあたって、自分たちの強みと弱みを確認し、弱みは強みに転換していこうという情熱と魂と戦略を共有するスタートを切ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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