平成26年度高校1年生から、戸板中学校・戸板女子高等学校(以降「戸板」)は、スーパーイングリッシュコースを新設する。一般教科も英語で授業をするというオールイングリッシュのコース。英語力認定テストもTOEFLなどグローバルスタンダードのものに挑戦していくという。
IB(国際バカロレア)と決定的に違うところは、海外大学だけではなく、国際教養系の国内の大学準備にも強いコースになるという点。破格のコースになることは間違いない。それだけに、スーパーイングリッシュコースにつながるように、中学段階での英語のシラバスやカリキュラム、授業も大きく変わる。そのビジョンを議論する英語科の会議に密着した。(by 本間勇人:私立学校研究家)
左から、大泉洋幸先生・黒川道雄先生(高校教頭)・明石道子先生・斎藤敏子先生・平林則昭先生
会議の方法
会議はブレストから始まった。スーパーイングリッシュコースとは何かというコンセプトについては、すでに英語科では共有できていた。今回は、中学段階で生徒がそのコースに向かって準備をするためにどのような英語教育の環境を創るのかについて議論された。
スーパーイングリッシュコースは、21世紀型教育の一環として構想されているので、英語科の会議の方法も、5Cをベースにしていたようだった。つまりコミュニケーション、クリティカルシンキング、クリエイティビティ、コラボレーション、シチズンシップ。そのため、「ブレスト→チームワーク→プレゼン→リフレクション→新たな課題発見」というディスカッションサイクルで進行した。
特にブレストでは、教師1人ひとりが胸に秘めているアイデアや課題をオープンに語り合った。ここでの特色は、出来ない理由を探さないという姿勢で教師1人ひとりがストックしている英語教育の方法などリソースを公開していった。スタンフォードのフェッターマン教授が確立しつつあるエンパワーメント評価の会議のスタイルに似ていた。
今年の中3の準備と来年の新中1の準備とでは、考え方を大きく変える。スーパーイングリッシュコースに挑戦するモチベーションをいかにしてつくるか。英検とTOEFLなどの様々な認定テストのコンビネーションをどうするか。4技能のバランスを学年によってどう変えていくのか。トリガークエスチョンとトリガーミッションの違いを明確化することが、他教科とは違う英語科特有の問題意識である。授業のあり方や課外活動のESS(English Speaking Society)の関係をどのようにしていくのか・・・など10分くらいの短い時間でブレストは盛り上がった。
シラバスや授業が大きく変わるとき、教師のミーティングの仕方も報告会議ではなく、双方向型の会議に転換していくのである。なるほど戸板の進化が英語科の進化として浸透した動きになっていたのである。