聖徳学園 21世紀型教育への挑戦(2)

国際性を育てるグローバル教育

聖徳学園は、10年以上前から、スカイプなどを活用して、海外の学校と英語で交流を進めるなど、受験英語を超える本格派の英語教育を積み上げてきた。

しかし、一方でオーストラリアが中心となってイギリス、シンガポール、カナダ、ニュージーランド、アメリカなどの国々及びインテル、マイクロソフト、シスコがコラボレーションしてデザインしている21世紀型スキルをベースにした世界の国々のグローバル教育に匹敵する国際性育成プログラムも実践してきた。

伊藤校長によると、

「英語教育は言うまでもなく重要であるが、英語を使って国際社会にいかに貢献するかという、今各国で試みられているグローバル教育を行わなければ、21世紀型教育を実践しているとは言えないのです」と。

藤尾副校長は、世界標準のグローバル教育についてこう語る。

「グローバル教育というと、日本ではすぐに英語ということになりますが、英語圏の国々は、当然ですが、英語の教育そのものはグローバル教育の中核ではありません。国際社会に貢献できるグローバルリーダーを育成することはいかに可能かが重要です。」

そして庄子教頭は、驚きのアイデアを語った。

「グローバルというのは、ひと・もの・情報が国境を越えて移動しますから、英語という1つの外国語にこだわる必要はありません。その証拠に、CEFR(Common European Framework of Reference for Languagesの略称)という語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格が、欧米で幅広く導入されています。

私たちにとって身近な英検やNHK英語講座、それから今話題になっているTOEFLやIELTS、TOEICなどは、すべてこのCEFRの国際標準規格に準拠しています。そしてそれはフランス語を学ぶにときにも、ドイツ語を学ぶときにも、外国人が日本語を学ぶときにも、その能力を測定するときの国際標準規格はCEFRです。

そして、このCEFRは、言語の背景にある文化にもリンクしています。ですから私たちが国際性を養うというとき、CEFRに準拠しなければなりませんし、同時に言語だけではなく、その背景にある文化を深く理解するプログラムも作る必要があります」

グローバル人材育成の今日、すぐにTOEFLだと飛びつきたくなるのであるが、それは世界標準の言語教育からみれば、一部分の話にすぎない。それをグローバル教育そのものだとするのは大変な思い込みであることに気づかされた。

伊藤校長は、聖徳学園では、文化を理解するには、身近なしかし歴史的はるかかなたのパースペクティブを探究していく日本の文化と歴史のプログラムから体験すると。そしてその文化の内在的要因の構造を見破れるようにトレーニングすることが、海外に旅立つ前に重要なのであると、本物グローバル教育の在り方を説明してくれた。

(見逃せない重要ポイントは、あらゆる教育活動のファイナルステージは、きちんとレポートや成果物のアウトプット、プレゼンテーションがあるということ)

CEFRのレベルは6つになっていて、A1A2B1B2C1C2というように、Cのほうが高いレベルになっている。聖徳学園の英語教育が大学受験勉強を超えているというのは、このCEFRのモノサシをあてることによってはっきりする。

上智や早稲田、国際関係、国際教養系の大学がAO入試や公募推薦で要求する英検、TOEFL、TOEICのレベルは、CEFRのレベルでいえば、B1B2である。しかし、これは、海外の大学に進学しようとするとき、まったく役に立たないレベルである。

もっといえば、政財官がめざすグローバル人材の英語力はC1C2にまで到達していないと十分ではない。

ところが、聖徳学園が実践している英語教育はC1を超えるのである。実際に英語圏の大学のみならず、欧州の大学にも進学したり、大学卒業後さらに留学したりしているのは、世界標準の英語教育を見据えているからなのだ。

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