今年工学院の校長に就任した平方邦行先生と先生方は、一丸となって、今まで積み上げてきた「挑戦×創造×貢献」のマインドを21世紀型教育というプロジェクトにバージョンアップした。それは、「グローバル教育」と「イノベーション教育」、「リベラルアーツ」への挑戦となり、新しい教育活動の創造であり、国内外のネットワークの発展的活動と成っている。
その俊敏力には驚愕。すでにその成果物の1つである「思考力セミナー」の活動の紹介はした。今回は、オーストラリア3ヶ月留学に挑む8人の高1生の中から3人の生徒、およびIBMが主催する「ヤング天城会議」のネットワークに挑戦した高2生に話を聞いた。by 本間勇人:私立学校研究家
左から、平方校長、Kくん、Nさん、Tさん、Oさん、島田教頭
留学に挑戦する理由
――これだけ多くの生徒のみなさんが、留学に挑む教育環境というのは、羨ましいですね。
Nさん:私たちの学校では、中3の夏休みの期間は、全員オーストラリアに行きます。そのときの経験があるから、高1の夏にも行ってきました。行けば行くほど、世界とのつながりの中で生きていくことのイメージがわきますね。だから、今度は1人で今までに比べて長期にわたって留学するので、わくわくしています。
Kくん:なかなかできる経験ではありませんから、先生方や両親に感謝しています。しかし、向こうに行っているときは、1人で自分で判断することがでてくるでしょうから、緊張もします。中3のときのホームステイで、外国の人との出会いは衝撃的でしたから、いろいろな考え方に触れて、成長できるチャンスになると期待しています。
Tさん:本当にそうです。このような機会は、これからの私の活動に活きてくると思うのです。一度行っているとはいえ、中3のときはかなり先生方やホストファミリーの方やその仲間の方々にサポートされていましたが、今回は自律して未知の経験に臨むことになります。どんなことが起こるのだろうかと楽しみなのです。
――何が起こるかわからない未知の世界へというのは、たしかにわくわくしますね。しかし、不安もあるでしょう。どんな準備をしていますか。
Kくん:来年の1月にはもう渡航するので、準備の時間が意外とないのです。ですから不安とかいうより、今ちょうど定期テストの期間ですから、その勉強もやりながら、準備することに追われています。やはりオーストラリアや現地の基礎情報は調べておかなければなりませんから、こまめにネットでリサーチしています。
現地に行かなければ、結局はわからないことのほうが多いと思いますが、何がわからないのか気づくためにも、調べることは大切だと思っています。英語のサイトにも入るので、英語も使うトレーニングにもなりますから。
Tさん:今英語で日記を書いています。英語の勉強にもなるからということもありますが、オーストラリアでコミュニケーションをするにも、自分の中に言いたいことやアイデアがないと簡単な会話だけで終わってしまいます。
これは中3のときに、オーストラリアに行った時の反省点でもあります。もっと現地の方々とコミュニケーションをとりたかったのですが、なかなかできなかったのです。積極的にコミュニケーションにチャレンジする準備をしているということでしょうか。
Nさん:私はすでに向こうの友達とメールなどで絆をつないでいますから、情報を交換しながら準備を進めています。私は自分が世界の中の1人だという実感をもっともちたいので、世界中の人と絆を広げる用意をしていきたいと思います。
二度のオーストラリア経験で、これは日本では気づかなかったことですが、オーストラリアにいながらにして、母国語が英語でない多くの国の友達と出会えるということは衝撃的でした。お互いに使う英語がオーストラリアの友達と違っていて、英語を学ぶということはこういうことなのかと、はっきり言えませんが、そういう感覚を大事にしたいと思っています。
平方先生:日本だけではなく、世界でグローバル教育という活動が広がっています。オーストラリアはその拠点。これから工学院でも組み立てていく教育のモデルを、みなさんが先駆けて経験することにもなるでしょう。グローバル人材とは、人によって捉え方が違いますが、それだからこそ、君たち自身でグローバル人材とはどういう人間像なのか体験してきてもらいたい。
今回みなさんのように、これだけの留学生の意志を実現できるのは、この時代の要請を認識した東京都の私立学校全体の支援やご両親の理解があってこそ。みなさんが直接出会う向こうの友達との絆も大切です。さらにたくさんのネットワークのサポートがあることに、感謝するマインドを忘れないでください。