Created on September 10, 2024
工学院大学附属(以降「工学院」)は、経済産業省が実施している「EdTech導入補助金」を活用したInspire Highのオンライン上のプログラムを導入しています。その導入授業を、教頭の田中歩先生も自身のIBL(Inquiry based Learning)の中で展開していました。
Inspire Highの授業は、オンラインで展開されます。見学した時は、生徒の皆さんが、農業のテクノロジーについてのキーノートスピーチに触発されて、最終的に100年後の食の問題を解決する壮大な授業でした。
英語と日本語どちらでも可能で、歩先生は英語でも授業をナビゲートしていました。ラウンドスクエアの加盟校から留学にきた生徒もいたというのもありますが、工学院の中2は全てのクラスで同様のプログラムを実施しています。
同校は、破格のグローバル教育が展開されているし、工学院大学の附属校ですからエンジニアリングやテクノロジーのレベルも他校に比べ相当高いのです。そして、高2で工学院の学びの総決算として行うグローバル・プロジェクトに象徴されるようにPBL型探究は、同校の授業の土台です。
グローバル、エンジニアリング、プロジェクトの根っこは、生徒1人ひとりのやりたいことの発見や気づきにあります。このやりたいことは、「多様な体験を通して思考し自身の経験をつくっていく過程の中から生まれてきます」と歩先生は語ります。
ですから、教師のネットワークだけではなく、学術セクター、行政セクター、民間セクター、非民間セクターなどあらゆる団体と連携することによって、その多様な体験の環境をデザインできるというのです。
そういう意味で、Inspire Highのキーノートスピーカーは、あのオードリー・タン氏や谷川俊太郎さん、高橋尚子さん、お笑い芸人だったりとネットワークをつなぐのは、そう簡単でない方々と結びつくことができますから、非常に有益です。
授業を見学しに来ていた中野校長は、「Inspire Highのプログラムは、オンライン上でどこでも簡単につながり生徒自身が気づきや発見をインスパイアーする優れものです。一方で、インタビューやフィールドワーク、対面はリアルに学ぶ場も必要で、このリアルなプログラムとオンラインのプログラムのスクランブルをコーディネートするのが田中歩先生をはじめとするうちの先生方です」と語ります。
歩先生も「現段階ではオンライン上で対話が行われているわけではないので、対面で適宜リアリスティックリフレクションは挿入する必要があるときもあるし、そのまま手放してもよい場合もあります。それはそのクラスの生徒の具体的状況によります。特にうちは少人数規模のクラス編成なので、個別最適なペースで取り組むこともできます」と。
工学院の先生方は、リアルなPBLは得意ですから、リアルな体験を超えてできる体験をInspire Highのプログラムで補強しようというのでしょう。
歩先生の授業はIBLですから、体験の中で生徒自身が自ら問いながら新しい経験を組み立て、さらに思考し、問題を見つけ、課題を解決していくプログラムをデザインするのは常日頃のことです。歩先生は、「たしかに遠くに未来はあるのかもしれないですが、工学院では【日日即未来】で、日常の学びの中に未来や本質が開けてくるという感じなのです」と。
さらに歩先生はこう語ります。「Inspire Highは、ファシリテーターがオンライン上にいるので、私自身はナビゲートに徹して、生徒の学びをメタ的に眺めることができます。新しい生徒の様子がわかり、リアルな授業の中でさらなる成長の仕掛けをデザインするヒントにもなります」と。
中野校長は「いずれにしても教師自身が自分のテクノロジーやPBLのしっかりとした軸を持っていることが大前提で、それが学校の重要な役割でもある。工学院の先生方はその役割を果たせます。そこが魅力の一つだと思います」と語ります。