工学院

聖パウロ×工学院 高校入試ルネサンス(1)

日本語IB、スーパーグローバルハイスクールの大きな教育改革の波が到来している。しかし一方で、高校受験市場では、中学受験市場とは違い、都立の進学重点校などに見られるように、大学合格実績が高いところに人気があるという価値が鮮明である。

また、私立学校は公立人気に押されて、魅力アップのためにさまざまな改革を行う学校が多いという幻想も広まっている。ところが、このような価値意識が、自己肯定感の低い高校生を大量に生み出している可能性を示唆するデータも研究者のリサーチによって提出されている。

解なき未来社会で自分で考え、自信をもって、ともに生きていける青年を育成するために高校入試ルネサンスを掲げる聖パウロ学園高等学校校長高橋博先生、工学院大学附属中学校・高等学校校長平方邦行先生に聞いた。 by 本間勇人:私立学校研究家

工学院 英語科のカリキュラムイノベーション 

工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)は、グローバル教育、イノベーション教育、リベラルアーツを掲げて、今まで積み上げてきた工学院の教育の質をグローバル人材育成の教育に広め浸透するバージョンアップに挑戦している。

この夏、日本語IB(国際バカロレア)のための教員研修(IB ASIA PACIFIC REGIONAL WORKSHOPS)に参加した英語科主任の道家先生に、カリキュラムイノベーションの方向性を聞いた。(by 本間勇人:私立学校研究家)

工学院 科学の目が輝く授業(3)

工学院の教育バージョンアップへの意志は、工学院大学学園125周年記念で根岸博士が講演したとき決定的だった。博士は、工学院の中高生に「誰にでも、夢を追い続ける素質と資格がある」とエールを贈った。ノーベル賞受賞の確率は1000万分の1だが、10の7乗分の1だと置き換えれば、「10分の1の選抜を7段階通過すればよい」のだから、現実味のある夢だろうと。

「誰にでも」可能性が開かれているという発想こそ、科学学校としての工学院の根源的存在理由である。さらに、根岸博士は、夢を見つけたら、とことん追求すべきで、そうしていくとやがて舞台は世界につながると語った。

つまり、「競争の場を世界に求めて、学ぶための師も世界単位で探し、自立心と協調性を常に持ちながら、チャレンジしてください」と。この時から平方校長にバトンはひきつがれ、先生方と一丸となって、工学院附属中高のビジョンの確認とその実現のためのバージョンアップの取り組みが始まった。理科教室から科学教室へのバージョンアップもその流れであるのは言うまでもない。

工学院 科学の目が輝く授業(2)

工学院主催の10000人「科学教室」の意義は、そのスケールメリットという点からして、他の理科実験教室を圧倒する大きな意味がある。というのも20世紀における日本の理科教育は専門家とその卵のための教育という固定観念があった。それゆえ、巷で行われている理科実験教室というのは、専門家やその卵向けという傾向が強い。

ところが21世紀になって、日本の科学教育にも「科学コミュニケーション」なる考え方が導入されるようになった。これはすでに欧米では20世紀から行われてきたことであるが、近代化は議会制度や民主主義の原理によってばかりではなく、科学革命によって広まり加速した。それゆえ、科学の主体は専門家ばかりではなく、市民全体に理解されるものでなければならなかった。科学コミュニケーションというパフォーマンスは、科学の最前線を小学生や市民に理解可能なデモンストレーションをするという意味があったのである。

工学院の科学教室は20年前から行われているから、すでにこの科学コミュニケーションの意味をいち早くコミットメントしていたことになる。工手学校として出発した近代市民のための科学学校の面目躍如であろう。

 

工学院 科学の目が輝く授業(1)

テクノロジーとマーケティング、コラボレーションの総合力が、2025年以降の世界の新しい仕事を創り出すと言われている。この2つの力を表現するときに世界共通言語として英語を学ばざるを得ない。イノベーション教育とグローバル教育、そしてその根底にリベラルアーツ。

これが正しいグローバル人材育成の世界共通のビジョンである。しかし、現状の教育で、テクノロジーという意味でのイノベーション教育を中等教育段階で十分に行うことは難しい。米国でも、2015年までにオバマ政権は教育政策の一環として3Dコピー機まで備えたメイカーズスペースを1000校につくる構想を進めているぐらいだ。きちんとプランを立てなければ実行できないビジョンなのである。

ところが、工学院は、明治開校以来、テクノロジーの才能を専門に育成する教育機関であり、その伝統は今も脈々と続いている。自前でそのプランを実行できる稀有な教育機関である。

テクノロジーはスキルの側面のみならず科学的なものの見方や考え方も共にするものであるが、そのリベラルアーツ的側面を切り取って、近代は暴走してきた経緯も記憶に新しい。

そこで、昨年125周年を迎えた工学院は、自然と社会と精神の循環をベースにしたテクノロジー教育を展開することを改めて確認し、10000人規模の参加者が集まる「理科教室」を「科学教室」という名称に変えて、そのビジョンを子どもたちと共有するイベントを開催した。(by 本間勇人:私立学校研究家)

工学院 メディアリテラシーは自分と世界と未来を創る(3)

工学院の図書館は、教科横断的な知の拠点であると思ってきたが、それはまったく表層的な理解であると思うに至った。学校図書館は、日向先生の語るように、独自の情報総合発信基地であり、司書教諭は、この基地を図書委員とコラボして運営する。

さらに、彼らといっしょに、学内のみならず地域の子どもたち1人ひとりにワクワクするような情報をシェアしていくのである。それは有山先生のように専任の司書教諭だから思う存分できるという工学院の教育ビジョンでもあるが、たしかに有山先生は同校の思考システムのプロデューサーの1人なのであると実感。

工学院 メディアリテラシーは自分と世界と未来を創る(2)

工学院の図書委員たちは、本の貸出返却情報、入館率などのデータベースを編集しながら、どうしたら本好きの生徒が増えるのか、図書館のアピールのために、図書館の環境を整備したり、空気をデザインする。学校図書館という空間がプレイフルになるようにプロデュースする。都留文科大学の学生の皆さんもその空間デザインの幾つかを体験。

工学院 メディアリテラシーは自分と世界と未来を創る(1)

来年度から、工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)は、グローバル教育、イノベーション教育のバージョンアップを図る。その準備が着々と進んでいるが、注目したいのは、どこまで教育活動の質と活力を高められるかは、すべての教育活動に共通する思考システムのでき如何であるとし、その思考システムの開発に取り組んでいるところである。

その思考システムの開発に大きな影響を与えている活動の一つに「環境工学」がある。この活動のリーダーの島田教頭の授業は、本サイトでもすでに掲載している。今回は、工学院の思考システムに影響を与えている教育環境である同校の図書館の意味について、司書教諭有山裕美子先生にお聴きした。(by 本間勇人:私立学校研究家)

工学院in「7・7東京西地区 私立中学校・高等学校進学相談会」 

工学院大学附属中学校・高等学校のブースは、受験生と保護者でいっぱいになっていた。5人以上の教師が同時にすべての組に個別対応していて、機動力が発揮されていた。平方校長も自ら熱く対応していたのには驚愕。

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