(当日、首都圏模試センター発行冊子の最新版「こんなに変わる 日本の教育と入試」を配布いたします。)
北氏は、明治維新以後150年経った今、日本の教育がマイナーチェンジではなく、パラダイム転換ともいえるような大きな変化を、いち早くキャッチし、情報収拾・分析・発信をしています。大きな変化はゼロから生まれるというよりも、歴史的連続性の中で、歴史の深層の本来性が忘れられかけたとき、まるで自浄作用のように、本来性の覚醒が起こります。
その本来性とは、教育においては、明治維新のときに政府と共に日本の近代国家を形成していながらも、振り返れば、あるいは昨今もそうですが、権力による暴走をなんとか抑えてきた私立学校の精神そのものです。今では私立学校それぞれの建学の精神としてシェアされ続けています。
高度経済成長期からバブル崩壊、その後の学習指導要領の紆余曲折、リーマンショック、東日本大震災など、歴史の流れに翻弄されながらも、真理の舵を切り続け、21世紀型教育によって、歴史の深層からの本来の教育の在り方が、今再び表舞台に出てきたことを、北氏の眼差しは、しっかりと見据えていました。
今回のシンポジウムでは、その日本の教育がもともと目指していた本来的なものが現れているのですが、それはいかなるものなのか、今後それは実際にウネリとして実現していくのか熱く語ってくれます。
さて、その本来性は、人類の子供たち1人ひとりが、論理的に、批判的に考え、クリエイティビティを発揮することによって、実現されるという信念を持っているのが、山下氏です。従来は、知識を憶えて、理解するまでの思考力でよかったのですが、首都圏模試センター自身が、最難関模試や中高一貫校模試を実際に作成実施する事業体験を通して、これは新しい思考力を子供たちが身につけるチャンスが訪れたと、北氏とシンクロしたわけです。
そこで、「思考コード」や「思考スキル」という今まで偏差値の高い生徒が独占していた暗黙知を可視化して、すべての子供がその知をシェアし、活用できるようなシステム創りに挑戦しています。それが、21世紀型教育を実践している学校の先生方が開発して運営している「思考力セミナー」と共振共感共鳴してもいるのです。
ある英語学習塾のテレビCMで、英語力だけでなく思考力も育てますとあの浅田真央選手が登場して語っていたり、大手予備校で、これから「思考力型入試」の時代だと語るようになりました。早稲田大学自体が「新思考入試」を実施して2年目です。2020年大学入試改革が始まる時には、政治経済学部の独自入試は「思考力型入試」になると宣言もしています。
一口に「思考力」といっても、今の12歳の子供たちが身につける「思考力」と、従来の教育で育ってきた私たち大人とでは、どうやら意味や次元が違います。この情報をゲットしておかなければば、子どもの学校選択、大学選択、進路選択などキャリアデザインをイメージするときに時代遅れになる可能性があります。山下氏のトークは、そこを恐怖と心配と不安を煽る語りではなく、こうすれば、心配はなくなるという提案をいっしょに考えてくれます。
石川一郎先生は、2016年に、「こんなに変わる!」の冊子に紹介されているように、「2020年の大学入試問題」 (講談社現代新書) を執筆しました。5刷まで増刷されたベストセラーです。すべては、順天大学医学部の写真(新書の帯に載っています)を見て、自分の思ったこと考えたことを論述する小論文の問題との出会いから始まりました。
当時かえつ有明の校長だった石川先生は、その問題を教科横断型の授業としていっせいに各教科の先生方と実践するという授業実験を行いました。教師のモチベーションと生徒の思考のインスパイヤ―する姿に、突き動かされて、一気呵成に、2020年の大学入試問題が意味するコトについて、文科省の改革情報、IB、AP、Aレベル、東大の帰国生入試などの分析について、書き上げました。
北氏も山下氏も読破し、想いが響き合っています。その後、石川先生は、この書を新しい教育改革のバイブルだと、多くのカトリック校の共感を得て、PBL型授業(アクティブラーニング)やイマージョン教育の実践をしてきました。そして、グローバル教育3.0のステージまで、かかわっているカトリックの幼小中高のカリキュラムを、先生方と協力して練り上げ、実践してきたのです。
それがまた、多くの受験生・保護者に受け入れられ共感を生んでいます。いわば、21世紀型教育のジェダイマスターのような大切な存在です。本当に価値ある教育や学校、なんといってもこれからは「価値」の時代であることを、理論と実践と学校経営など多角的な視点で語ります。いつも、全国から講演に引っ張りだこの石川先生ですが、21世紀型教育機構の理事として主催者側というホームベースで語る中身はいつもとは違い格別です。