八雲学園 イエール大学と感動のリベラルアーツ連携①

今年もイエール大学の女性コーラスチーム“Whim’s Rhythm(通称Whim)”が八雲学園を訪れた。もう5年目だ。Whimは、プロのチームではない。イエール大学の在学生で女性のみで構成されるチーム。
 
しかし、プロ顔負けのコーラスチームで、選抜された優れた人材が集まっている。優れているというのは、音楽の才能があるのは大前提で、それだけではなく、スポーツや学問、芸術など多様な潜在的才能の花を開かせる自分に挑戦し続けるマインドセットがなされているということを意味する。
 
つまり、豊かなリベラルアーツをイエール大学で学び優れた成績を収めているのだ。by 本間勇人 私立学校研究家
 
 
 
この時期、米国大学は卒業式の時期だ。今回ワールドツアーをしているWhimのメンバーも卒業したばかり。東京、神戸、香港、シドニー、オークランド、シンガポール、ケープタウン、バルセロナ、ブタペスト、ストックホルム、ダブリンと2か月間のツアー。日本の大学生でいう卒業旅行とは、そのスケールも意味も目的も全く違う。
 
国際バカロレア機構の世界の私立学校版であるラウンドスクエアの名誉会員(日本で1人)である榑松先生は、Whim歓迎式で、八雲学園の生徒に、イエール大学の学長ピーター・サロベイ教授の先日の卒業式の演説から言葉を引いて、その目的をこう説明した。
 
 
「学長は、卒業式の演説で、君たちは、入学時は互いに<ストレンジャー>だったと語っている。そして、この<ストレンジャー>は、宗教的にも文化人類学的にも心理学的にも国際政治的にも重要なキーワードで、現代のグローバルな越えがたい問題の1つにもかかわっていると。
 
人類は、いつも、この<ストレンジャー>を大切にしたり、排除したりしてきたのだ。しかし、イエール大学は、君たちが、はじめ互いに<ストレンジャー>であっても、4年間の間で、イエール大学のコミュニティの絆に結び付けられたように、<ストレンジャー>から<コミュニティの絆>に変化することを大切にしていると語る。
 
今日、Whimと八雲生は今のところ<ストレンジャー>だ。しかし、明日の音楽交流会にむけて、今日一日いっしょに準備をする中で、<ストレンジャー>から<コミュニティのつながり>になる体験を是非して欲し。それがイエール大学の理念であり、Whimのワールドツアーのミッションです」と。
 
イエール大学の学長ピーター・サロベイ教授といえば、「IQ」から「EQ」へ、能力のパラダイムを転換した理論的提唱者である。日本では、ダニエル・ゴールマンの著作でEQは有名になったが、もともとの理論的提唱者は、ピーター・サロベイ教授。
 
 
 
実はイエール大学の卒業式の演説で、EQの理論的提唱者が<ストレンジャー>から<コミュニティの絆>への変容について語ったことは、ものすごい意味があるのである。
 
というのも、いかにしてその変容が起こるのかということが肝心なのだが、それがEQに大いに関わることであり、リベラルアーツの根源的な意味に通じるのである。
 
 
(八雲学園のグローバル教育のスーパーバイザー榑松先生)
 
では、それは何か?それは、今回丸一日行われた多様なプログラム――日本文化や日本の食事、コーラス、ミュージカル、ロックンロール、空手、吹奏楽など――を一気通貫する意味でもあり、八雲生はそれを実によく体感したのである。
 
感動のリベラルアーツの高大連携というのが、今回のイエール大学との音楽交流のもう一つの意味だったのであるが、そのことについて、これからゆっくりと解き明かしていこう。
 
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