順天 「グルコミ」でいかなる時代も切り拓く(2)
グルコミで知性と人間性を拓く
順天では、2000年からLHRのほとんどの時間を「グルコミ(グループコミュニケーション)」に当ててきた。
今回高2の「グルコミ」では、「学部選択―必要な資質を考える―」というテーマでディスカッションされていた。
グルコミで知性と人間性を拓く
順天では、2000年からLHRのほとんどの時間を「グルコミ(グループコミュニケーション)」に当ててきた。
今回高2の「グルコミ」では、「学部選択―必要な資質を考える―」というテーマでディスカッションされていた。
順天中学高等学校(以降「順天」)は、10年以上前から「グルコミ(GC:グループコミュニケーション)」を行っている。中1から6年間、あるいは高1から3年間、月に1回から2回行われている。
その理由は、大学や就活でコミュニケーション能力が必要だから行っているのかというと、そういう目先の準備のためではない。進路先準備のためのコミュニケーション能力でなければ何のためだろう。その新しい切り口を求めて取材した。 by 本間勇人:私立学校研究家
順天学園は、多重機能、多様性、多重知能など多くの角度・多くの環境からものの見方・考え方を身につけられる。しかし、それは均衡点を見いだすことができるからだ。均衡点とは4Cの重心であるかもしれない。さて、「北斗祭」でもう一つ「多」のつく活動を見つけた。
「多」という言葉と「均衡点」が意味するところは、自然の摂理と一貫する。しかも、その摂理は、自然のみならず、社会や人間の精神にも生態系さながらリンクしているはずだという仮説を立てるのが21世紀型スキルとか21世紀型教育のものの見方・考え方である。学園には「順天求合」に込められたコンセプトがたしかに花開いていた。
順天は、179年前に誕生した。和算の大家福田理軒が創設。その教育理念である「数は宇宙に在りて術は人に在り」「自然の法則に従い、互いに真理を探求する」は校名「順天」に内包され、今も脈々と続いている。当時の和算は、壮大な宇宙学でもあっただろう。身近に壮大な自然に触れ、街や田園のランスケープを眺めることもできた。そして日々天変地異と社会的不安の中で人々は生き抜いていた。
福田理軒は、その三者に何とか宇宙の法則を見出しゆるがぬ真理を見いだそうとしたに違いない。その均衡点は、しかしながら、いまだに人間は手にしていない。手に入れたと思うや、するりとどこかに見えなくなってしまう。
したがって、その順天求合の精神は、21世紀の今もなお希求されるものであり、その追求のスキルを養うことこそ21世紀型教育。順天の文化祭「北斗祭」にその文化遺伝子<ミーム>を見出した。 by 本間勇人:私立学校研究家/21会リサーチャー 松本実沙音(東大文Ⅱ)
順天では、理科は探究学習のカテゴリーに配置されている。放課後Sクラスの実験室では、好奇心、オープンマインド、疑問という科学者の3つの精神で満ち満ちた生徒が実験に集中していた。
順天では、英語は系統学習というカテゴリーに配置されている。グラマー、リーディング、スピーキング、ライティングなど思い付きや創造的なイメージで学ぶ領域は少ない。ルールや知識の系統的なつながりが重要であるのは言うまでもない。しかし、だからといって、順天の英語科は、一方向的に講義形式で教え込むような20世紀型の授業は行わない。やはり双方向的に表現し合う21世紀型授業が展開されている。
今年、順天中学校高等学校(以降「順天」)は、高1からサイエンスクラス(Sクラス)とイングリッシュクラス(Eクラス)を新設。3か月目を過ぎようとしている現時点で、新設クラスのメンバーのアクティブで躍動感あふれる行動の構えができてきたと、教師も生徒も確かな手ごたえを感じている。同時に、先生方は、この躍動感が順天全体の雰囲気をさらに生き生きとしたものにする大きな契機になることも期待している。躍動感が生まれる理由を、長塚校長、片倉副校長、中原国際部長に聞いた。(by 本間勇人:私立学校研究家)