工学院の図書館 新しい学びの拠点 (2)

■企画をするということは、事前準備、本番、振り返りという流れがあるのでしょうね。

有山先生:はい。それはもう用意周到です。図書委員は、さまざまな活動をしていますが、その中でも、社会起業家的活動として、幼稚園や保育園を訪問して、子どもたちに「絵本の読み聞かせ」を行っています。これは、圧巻です。

どの絵本を選択するのか、テーマを探すところから始まります。子どもたちに心から楽しい時間を過ごしてもらえるように、ストーリー――そうそう絵本によってはアドリブもいれるので――を考えます。そしてリハーサル。わかりやすい表現か、声の調子は臨場感があるか、仲間―葛藤―和解の「物語構造」のセオリーはきちんと成立しているかなど、演戯しながら軌道修正していきます。

英語科の司書教諭鈴木先生も、図書委員たちといっしょになって、参加してくれます。その瞬間は、教師と生徒の関係は、人間対人間の絆にシフトしています(微笑み)。

 

 

絵本を読み聞かせるだけではなく、エプロンシアターといって、物語の登場人物のキャラクターをつくって、エプロン上で人形劇みたいにするプログラムもあります。このプログラムは、図書委員の土屋君がはじめたもので、後輩に受け継がれています。土屋君は今大学2年生、実は今も図書委員の活動に参加しています。

図書館で自習が行われる際のチューターもやってくれているのです。「図書委員会の活動で私がリーダーとなって、地域の保育園で紙芝居や絵本を読み聞かせる『おはなし会』を開きました。自分自身も楽しめただけでなく、園児にも喜んでもらえたのが一番の収穫でした。」と語ってくれていますが、現在の図書委員のアイデンティティを表現していると思います。

 

■チームワーク、リーダーシップ、アドバイザー、コミュニケーション、クリエイティビティ、コラボレーション・・・新しい学びのキーワードが満載ですね。

有山先生:たしかにそうかもしれません。そうした図書委員の活動が凝縮したものに「学園創立125周年記念事業 学園夢企画活動」があります。予算をとって、自分たちのやりたいことをやるために、企画を立案し、プレゼンする活動です。見事に認められ、その成果発表で、表彰されました。

図書委員は、日ごろの活動で、参加してくれた人々が楽しんでくれる姿をみて、達成感を得ていますが、今回はいわば起業という挑戦と創造でした。そして、その結果、認められたという大きな自信。ますます図書委員の絆は太く強くなったと思います。

企画の一環として作家の「はやみねかおる」さんをお招きし、お話をみんなで聴きました。大好きな作家との交流はたいへん得難い体験をしたと思います。読む側の論理だけではなく、創作や編集の側からの視点を獲得するチャンスは、読書のみならず、ストーリーメーカーの活動も大好きな委員たちにとってかけがえのない価値を引き出したと思います。

 

 

 

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