聖徳学園 Global Issuesに立ち臨むリーダー育成(2)

高2で化けるリーダーシップ

3学期も終わろうとしているこの時期、中3の英語の授業では、基礎力、理解力、構造把握力をトレーニングし、“Global Issues”をテーマに学びを広げていた。つまり、生徒たちは、適用・応用段階まで登っていた。それが、高2になると、世界の問題を分析し、そこに自分の価値観と照らし合わせて、解決方法を選択判断するという、統合力にまでジャンプしていた。

高2の山田先生の英語の授業は、ディベートの準備段階だった。論題は「ホームレスに金銭的支援はするべきか」。まさに、小野先生の連邦プログラムの問題と通底する“Global Issues”である。

たしかに、具体的事例や事象は違うが、貧困をどのような公共政策において解決していくか、重要なディシジョンメイキングの段に立たされる問い。なるほど、伊藤校長や小林先生が、自分の判断をどうやって世界の普遍的な問題につなげられるか、グローバルスタンダードの葛藤問題を解決できるのか、そこに挑めるリーダーを育成したいという想いが、山田先生の授業の中にしっかり埋め込まれているではないか。

その日聖徳学園で行われた21会(21世紀型教育を創る会)の定例会の冒頭で、伊藤校長はこう挨拶された。

「21会校15校の中で、今回SGH申請にチャンレンジした学校は7校。これは21会のコンセプトやビジョンを体現している出来事だと思います。本校も挑戦してみて、自分たちのやってきた教育をきっちり棚卸し、振りかえることができました。

同時に次なるステージがはっきりみえたわけです。それは先生方とも同じ想いだと思いますが、日本という国のローカルルールを世界に押し付けるリーダーを育成するのではなく、普遍的なルールを世界の人々と対話し、いっしょに創造しながら、磨き上げていけるリーダーを育成することだと思います。いっしょに突き進みましょう」と。

そして、山田先生は、そのようなグローバルリーダーを育成するコアの心性や能力を、英語の授業の中で展開していたのである。プロジェクト型学習(PBL)は、たんに効果的学びのスタイルだというわけではない。

「いろいろな価値観や多様なものの見方を出し合えるし、それをある程度整理するために、分類やマッピングなど最適な方法を創意工夫できます。しかし、同時にこの作業自体が、すでにディベート思考のモデルになっています」と。

つまり、方法論を学ぶことが精神的にも考える点においても内生的成長を促す多重構造としてプログラムされている。

また、いろいろな場面で「選択判断」にせまる。もちろん論題に対して、肯定か否定か、そしてその理由は何かなど対話して、電子黒板で整理していくのであるが、生徒がプレゼンする時、英語を活用するのか日本語を活用するのかまで選ばせる。

ローカルルールから脱却するには、選択の意思決定という、自己決定が重要である。そして、それは自己責任のみならず、他者への責任を引き受けることでもある。山田先生の授業で議論する生徒の姿は、そのまま国際会議で活躍する姿に重なった。

 

 

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