第2回 21会カンファレンス 開催 (2)

第一部の『情報共有』では、4校がそれぞれの取り組みについてプレゼンテーションを行った。SGHに関するプロジェクトや、21世紀型教育を象徴するような新しいイベントの提案等、これからの学校及び教育の場がどう変化していくのか、希望の膨らむプレゼンテーションが続いた。

「順天のSGHの取り組み」  長塚篤夫 (順天中学校・高等学校校長)

順天中学・高等学校の長塚校長先生は、「順天のSGHの取り組み」について語った。この時に配布した資料には、「SGH」がどのようなものであるか、文部科学省がその目的と事業概要をどのように捉えているか、といったことについて抜粋されており、スーパーグローバルハイスクールが何を目指そうとしているものであるのか、丁寧に分析をしていたことが伺える。

順天では1964年から既に、代表生徒を海外体験へと送り出す「海外派遣制度」を取り入れ、それ以降35年間で計126名を海外へ送り出してきた。また、帰国生の受け入れも積極的に行っており、「STAR(帰国生の会)」という学習サポートの場も設けている。SGHの指定を受ける前から充実したグローバル教育を実践してきたのだ。

今回のSGHの指定を受けるにあたって、これまで積み重ねてきたこととどのような違いを打ち出すべきなのか、そのような思いが先ほど触れた丁寧な分析にも表れているのであろう。

順天では、SGHの指定を受けたからには、これまで以上にグローバルな教育環境を整えて邁進していくという決意が語られた。

「佼成学園女子のSGHの取り組み」 江川昭夫 (佼成学園女子中学高等学校教頭)

江川教頭先生は、佼成学園女子がSGHの指定を受けるまでどのような経緯をたどってきたかを英語教育という側面から語った。

2000年にイマージョン・プログラムを中学校で開始。更に2004年には、高等学校に「特進留学コース」を創設し、全校で「英検まつり」を年に二度開いた。マスコミに「英語の佼成」として何度も登場した。これらの取り組みやSGHの申請内容が認められ、「スーパーグローバルハイスクール」の指定を受けたのだという。

また、今後の方向性については、「英語の佼成」から「グローバルの佼成」へというキャッチフレーズで端的に示した。

もともと佼成学園が持っているリソースを活かすためには全職員が意識を高めていくこと大事である。そして、今回SGHに指定されたことで、どうやら教職員の間にそのような機運が高まってきたという。「異文化を理解する能力」と「異文化とコミュニケーションし、影響力を及ぼす能力」を身に付け、周囲を下支えする自立した女性を育成していくとのことだ。これらの能力は、21会が考える21世紀型の教育の目標でもあるだろう。SGHの指定を受けることで、学校全体の教職員の意識が変わる、更に積極的にこれらの目標へ向かっていけることが可能となったのだ。

「富士見丘の新しい取り組み提案」 大島規男 (富士見丘中学校高等学校教頭)

大島教頭先生は、富士見丘がSGHアソシエイトに選ばれたということから、「連携」というキーワードで今後の取り組みについて語った。

大島教頭先生によると、「連携」とは、“ある者と他の者が一緒に取り組み、お互いがもともと持っていなかったものをつくりだす、気づいていなかったことに気づく”という点に意味があるのだという。そこで、21会でもそのような「連携」を実現しようと、『ワールドカフェ』という企画を提案した。『ワールドカフェ』、あるいは『ロールモデルカフェ』ともいうが、これは、留学経験を持つ社会人を招き、生徒たちを対象に座談会を開こうという企画である。このような企画が実現できれば、生徒たちの視野を広げ、未来に希望を感じさせ、そしてグローバル教育の重要さを体感してもらうことが可能になるだろう。

また、秋田国際教養大学へ2泊の合宿へ行ったときに、生徒たちは「今後30年のライフプランをたてる」という課題を与えられたと言う。この合宿の後、生徒から「ある一つのことを究明したと思うと、新しく疑問がうまれる。そこからまた新しい究明がうまれる」という感想が出たそうだ。これを聞いて、大島教頭先生は、「合宿の効果があった」と実感したらしい。『ワールドカフェ』という新しい取り組みの提案も、このような感想をうんでくれると思うと、実現が大変待ち遠しい。

「文化学園大学杉並の新機軸」  窪田敦 (文化学園大杉並中学・高等学校英語科主任)

文大杉並では、「Double Diploma Course」という新しいコースの準備をしている。「Double Diploma Course」とは、文大杉並のカリキュラムと、海外高校(予定しているのはカナダ)のカリキュラムを融合し、日本とカナダ両国の高校卒業資格が同時に取得可能なプログラムだ。海外カリキュラムの授業はすべて英語で行われるようになる。この際、「Creativity」、「Critical Thinking」、そして「Logical Thinking」等の21世紀型スキルを育てるような授業が展開されることになる。この「Double Diploma Course」を実現するために、文大杉並は現在二つの取り組みを行っている。

一つは、2014年の4月から開始した、中学グローバルコースだ。このコースにおいては、週に4時間ネイティブ教師の英語授業が受けられ、iPadを生徒全員に配布しICTの活用を積極的に行う。もう一つは、2015年4月から高校英語コースをリニューアルさせることだ。電子黒板を用いてインタラクティブな授業に取り組んでいくなかで、一方的な講義スタイルを見直していく予定である。

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