第2回 21会カンファレンス 開催 (3)

第1部「情報共有」の締めには、工学院大学附属中学校・高等学校の平方先生、続いて三田国際学園の大橋清貫学園長がプレゼンを行った。平方先生は、これからの社会でなぜ21世紀型教育が必要となるのか、大橋先生は、保護者に選んでもらう学校作りについて、それぞれ語った。

「21会の新しい取り組みの考え方」 平方邦行(工学院大学附属中学校・高等学校校長)

現在、私立学校は厳しい状況下にあり、2020年から2030年までの間に、生徒数及び私立学校数は大幅に減るだろうと予測される。その中で私立学校が生き残っていくためにはどうすればいいのか。そもそも数年前まで、「グローバル教育」という言葉は使われていなかった。2018年から大学入試制度が変わるという点も含めて、今日本の教育は大きく変わろうとしていると言えるだろう。今までの学びの構造は「試験が第一の優先順位」であった。この現状を打破するために必要なのは、「授業を変える」ことである。それが21会がやろうとしていることの一つである。例えば、PBL(Project Based Learning)型の学び。試験ではなくプロジェクトをこなしていくことで、知識を増やすのと同時に思考方法も学ぶというものだ。
 
PBL型学びを促進するような授業を教員方が行えるように重要なのは、教員方が自らPBL型学びを体験することだ。実際に工学院大学附属中高では、PBLワークショップという教員向けのワークショップを試みており、そこでは、教員が生徒として、大学入試問題をプロジェクトと捉え、仲間同士で考え、話し合いながらそれを解いているという。

ゆとり時代からグローバル時代になり、次に来るのはサバイバル時代である。これを生き残るために、ワークショップ等を通じて授業を変革し、それによって人材を育てていかなければならない。平方先生の主張はロジカルで明快だ。

「新しい学校づくり 世界を変える画期的教育」  大橋清貫(三田国際学園 学園長)

今、「英語教育」「グローバル教育」「思考力教育」を謳わない学校はないだろう。では、それぞれの差はどこにでるのか。それは、それぞれの学校の「本気度」「本物度」「結果」である。

では、本気の・本物の・結果が伴うような英語/クローバル/思考力教育を行うためには何か必要なのか。大橋先生はここで自ら実践してきた秘密を開陳した。入学してくるすべての保護者との面談を通して理解したこと。それは保護者こそが21世紀社会の最前線で、社会の変化をひしひしと感じているという事実である。したがって保護者がしてほしいと思っている教育に耳を傾け、それを実践するならばその学校は生まれ変わるのだ。

21世紀型教育の実践のために、大橋先生が着手したことは教員向けの研修である。研修を行うことによって、意欲を持ってもらうことができる。つまり、本気の教育につながる。研修によって教員の授業もより本物に近づいていくだろう。そして、研修において実際に思考力を駆使して課題をこなすようなことが求められるのなら、それは教員の思考力の教育に、そしてひいては生徒たちへの教育にもつながるだろう。

奇しくも、平方先生と大橋先生の話は教職員研修の重要性という点において合致した。21世紀型教育を実践するためのビジョンやスキームが語られたのだ。
 
こうして第1部では、21世紀型教育の理念やミッション、ビジョンやスキーム、そして具体的実践という、それぞれのレイヤーでの情報共有がなされた。
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