工学院 21世紀型教育改革の基盤できる

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2013年4月、平方先生は、工学院大学附属中学校・高等学校の校長に就任するや、21世紀型教育改革にとりかかった。IBやSGH、ブルームのタキソノミー、CEFRなどのリサーチやフィールドワークに教員を巻き込みながら、PIL×PBL型の授業改革を断行。
 
 
(工学院の教育改革の歴史と未来を語る平方校長)
 
 
2014年度にはいるや、教員全体でPBL研修を行い、そのためのプロジェクトも立ち上がった。そして、まずはじめに「思考コード」という基準作りを行った。このコードに従って、PBL型授業の見学をし、思考コードの軌道修正もした。この年の中1は、2017年に高1になるときに大きく改革ができるように準備がスタートした。この準備が、次の年のハイブリッド構想の設計図となった。高1の3ヶ月留学も開始した。このプログラムが在校生全体の意識を高める力にもなった。
 
2015年には、プロジェクトチームはiTeamというイノベーションチームに進化し、思考コードで定期テスト分析をするまでに進化。S-P表も活用し、授業改善、生徒の弱み強みの共有、問いの質のアップなど、データサイエンス的な議論が学内でできるようになった。
 
同時に英語教育もC1英語を目標に、ケンブリッジ出版のCLIL手法が埋め込まれているテキストを活用。中1のハイブリッドインターナショナルクラスが立ち上がった。帰国生や英語体験者が多く、英語ばかりでなく、数学、理科、社会もオールイングリッシュで展開することになった。
 
 
(思考コードベースの授業×テスト×評価の三位一体改革について語る太田教務主任)
 
2014年にスタートした「思考力テスト」のもとになったデザイン思考の新しい授業もパワフルになった。中学生全員iPadをもち、one to oneの授業展開も繰り広げられた。
 
何より、高橋一也先生(現教頭)がグローバルティーチャー賞トップ10入りして、学内全体の21世紀型教育改革は拍車がかかった。
 
2016年には、ハイブリッドインターは中1、中2にしか設置されていなかったが、その先駆けとなった中3の生徒も全員iPadを授業で活用するようになり、思考コードに基づくC1英語×PIL×PBL×ICT教育×リベラルアーツの現代化という21世紀型教育改革の方程式が完成した。
 
特に2016年は、iTeamを高橋一也教頭を中心に、TOK(田中英語科主任、太田教務主任、加藤学年主任兼eTeamリーダー)という3人の先生がリーダーシップを発揮し、学内全体にコーチングシステムを浸透させ、21世紀型教育改革を推進する「学習する組織」を持続可能なものにしている。その一環として、太田先生をリーダーとした若手教員のiTeamキャッチアップ研修も立ち上がって、日々研鑽自己マスタリーに励んでいる。
 
 
(英語教育について語る田中英語科主任)
 
2017年は、中学全体の21世紀型教育改革の基盤はかなり盤石になったので、いよいよ高校1年を手始めに21世紀型教育改革を本格的にスタートする。もちろん、忘れてはならないことは、この過渡期にあって、大学進路指導の改革も同時進行で行われていることである。高2、高3は改革の完成を待つことはできない。いまここでが最重要である。進路指導主任の新井先生が指導に集中し尽力し、21世紀型教育改革を未来につなぐ力技を遂行している。
 
2017年1月14日、2017年度中学入試のファイナル説明会が行われた。いつもの会場では収まりきれないほど多くの受験生親子が参加したので、急遽隣接の工学院大学の大講義室を活用。
 
この21世紀型教育改革の歴史を、平方校長が語り、次に教務主任の太田先生が、授業改革について具体的に語り、さらに英語科主任の田中先生が、英語教育改革の実際的な効果を生徒の活動の動画を使いながらスピーチした。
 
 
(思考力セミナーを主宰している高橋一也教頭)
 
同時に中高校舎の図書館では、PBLスタイルの「思考力セミナー」を高橋一也教頭をスーパーバイザーに思考力入試チームが実施していた。ある都市の気候現象のデータをもとに、都市の在り様を洞察していき、最終的には自分の考案するドリーム都市をレゴで作り上げるところまでいく。リサーチには、参加者はiPadも活用。
 
データリサーチから始まり、分析をしていき、発見した構成要素を論理的につないでいく過程を、個人ワークとグループワークを組み合わせながら歩んでいく。そして最後は自分の考えるドリーム都市をレゴでプロダクトするのだが、現実の都市とドリーム都市のギャップをクリティカルに考える過程も埋め込まれている。
 
このプロセスの中で際立っておもしろかったのは、分析段階で、クリエイティブシンキングを活用しているところ。分析だから論理的ではあるのだが、おもいきり仮説を挿入するから、そこはクリエイティビティが必要となる。
 
 
つまり、これはどういうことかというと、情報→理解→応用→論理→批判→創造という思考の次元をリニアー(直線的)に進むのではなく、クリエイティブシンキングを挿入して、ループあるいは螺旋を描きながら考えていくプログラムになっている。そう「プログラム」。コンピュータのプログラミングにも相当するフローチャートループが埋め込まれている。
 
2017年、思考コードにプログラミング思考が新たに加わる。STEAM教育やCLILもスタートする。隣接する大学のいわばSTEAM研究棟も新設され、そこを中高も共有できる。高1でもハイブリッドインターナショナルクラスが開設され、帰国生も入学してくる。新宿キャンパスの活用も検討されている。
 
 
(最終保護者会では、「英語入試」の傾向と対策について田中先生が説明。英語入試の受験予定者のために別室で行われた。)
 
そして、まだ企業秘密ではあるが、平方校長によると、日本初のプランが予定されているという。工学院の21世紀型教育改革はさらに進化する。なにゆえにこうなのか?教員のありたき「学習する組織」を協働して創るモチベーションや情熱が大きくなっているからだ。Growth Mindsetされた教師が外からもどんどん参画したいと応募してくる。もちろん、その魅力はTOKを中心とするITeamによる涙ぐましい創意工夫とプロデュースによるのである。(by 本間勇人 私立学校研究家)
 
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