今年4月から、校名変更、共学校化し、21世紀型教育改革を立ち上げたアサンプション国際。小学校は、昨年の段階でPBL型授業を完成実施し、大人気になった。
中高もいよいいよイマージョン教育とPBL型授業がさく裂し、教師と生徒の情熱的学びは全開。中高のイマージョン教育を中心とする様子を写真で追ってみよう。by 本間勇人 私立学校研究家
(昨年中3のときに、江川校長の哲学対話教室に参加した女子生徒が、新生アサンプション国際の高1に進級。PBLやイマージョン教育に大満足しているということだ。そして共学校にも。高1のオールイングリッシュの数学の授業の後で。)
実におもしろかったのは、2時間目終了後20分間のリフレッシュタイムがある。休憩時間が長いだけかと思ったら、食堂で、おやつを購入して食べても良いということだった。
(ランチではなく、午前中のおやつタイムのお菓子など)
21世紀型教育とは授業だけではなく、施設やリフレクションタイムなどの環境やリラックスした雰囲気もなければだめなのだろう。男子も続々食堂に集まってきた。つい今年3月まで、女子校だっただけに、とても新鮮。江川校長も、時間があれば、写真のように校長室を抜け出して、生徒と共に対話を楽しんでいる。何せ“Hungry is angry.”では困るのだと{微笑)。
3時間目、高1のイングリッシュクラスの生物の時間を見学。イマージョン教育だから、オールイングリッシュ。まだ授業は始まったばかりだから基礎的なことをやるのかと思いきや、進化論の基本原理という抽象的な概念を学んでいた。聴いているこちらの方が専門用語についていけない。スマホで密かに調べているうちに、サルから人間、人間からなにやら別のものに変化しているシルエットを出して、このような進化の可能性はあるかどうか生徒と対話しはじめた。
要するにICTやAIを活用している現在の私たちの姿を進化への可能性として捉えるべきかどうか、自然淘汰の原理から考えてみようというトリガークエスチョン。スリリングではないか。そうかと思ったら、今度は海の中の写真を見せて、生きている存在を探せと。グループディスカッションしてプレゼンするのだが、そもそも生きているということはどういうことなのかという本質的かつ基本原理を考察させるディスカッション。
イマージョン教育による生物のPBL型授業。そして、クリティカルシンキングとクリエイティブシンキングを発動するディスカッションやプレゼンテーション。こんな授業が3年間続いたら、彼らの頭脳はグローバル知として成長することは間違いないだろう。
4時限目は、生物と入れ替わりに数学の授業になった。もちろん、イマージョン教育だから、オールイングリッシュの授業。2時限目間に合わずに、見学することができなかったが、中1でも同じように数学のイマージョン教育によるPBL授業が行われている。
生物で使われた教室は、実はフューチャールームで、教室の壁全面ホワイトボード。だから、数学では、上記写真のように個人ワークをするも、その後は、チームになって、自分たちの学びのスペースを壁に確保し、ディスカッションする。
問題は変数を増やしたり、正負の数を追加したり、難度が上がっていくのだが、それだけではなく、チームごとに不等式を創り互いにチャレンジする創造的な次元まで展開していく。数学の不等式の解き方の学びでも創造的思考をフル回転する授業なのだ。
5時限目は、中1の英語。高1の授業から中1だから、そのギャップにかわいらしい驚きがあるかなとおもいつつ、見学したら、2枚の写真をみて、その違いを英語で表現せよという問答。英語のスキルというより、事実と意見を整理し、比較対象の思考スキルを徹底している。
それにしても、ネイティブスピーカーの先生方がたくさんいるのは凄い。それにみなタブレットやラップトップと電子黒板を自在に使っている。6月からは、生徒も一人一台になる。21世紀型教育改革は加速し続ける。
6時限目は、再びフューチャールームへ。高1の探究。全クラスがグローバルゴールズを契機に、社会や世界の問題を意識し、探究論文を仕上げる1年間という長期のPBL。今回は第1回目で、オリエンテーション。社会や世界に目を向ける前に、まずは自己を見つめる自己探求。仲間とお互いについて話し合い、自分とは何か思いめぐらす。マインドマップやベン図など思考ツールも活用しながらディスカッションしていく。
中高生は思春期という疾風怒濤のときを迎えている。話し合いながら、ときに自己沈潜しながら、自分を見つめ、そこを突き抜けて世界へ羽ばたく。そのための探究への道を、アサンプション国際の生徒は、仲間といっしょに歩み始めた。
以上は、すべて、4月24日3時間目から6時間目の授業。いかに毎日21世紀型教育が展開しているかが了解できるだろう。今後も大いに期待したい。