かえつ有明は、21世紀型教育のモデルである「サイエンス科授業」や帰国生の学びの環境として「TOK型」授業を開発して、生徒募集や生徒の成長戦略において成功。今最も注目を浴びている先進的私立学校。21会型市場創出の先駆者として「かえつ有明のチャレンジ」について石川一郎副校長は明快に語った。21会校のメンタルモデルを提供したい。(by 本間勇人:私立学校研究家)
かえつ有明は8年の歴史がありますが、今後掲げていきたいのは「国際教養」です。これは何かというと≪I think.....because....≫。これを言えるのはグローバル人材です。私はこうしたい、なぜなら…のように理由をいえる。これが言えるためにはある程度バックグラウンドが見えないと、つまり、教養がないと話が通じないわけです。
またロジカルである必要もある。日本人がよくいう、なんとなくそうだから、みんな言っているからなど、空気に縛られていては、国際的には通用しません。日本語でもこれはしっかり言えるようにしなければならない。これに向けて、学校づくりを進めてきたし、これからもしていくのですが、みながやったことのないものをやっていくのはとても大変です。ですから21会というコラボが重要な役割を担っています。
さて、今話したような教育を全面的にやっているのは海外の教育です。ですから、海外の教育をわかっているネイティブの教師を、また海外の教育を受けたことのある子供たちの協力を得てきたのです。したがってこれからも、帰国生を積極的に受け入れます。帰国生はロジカルシンキングとアクティブラーニングを持っていて、他の子供たちに影響を大いに与えます。
本校では、帰国生は、英語の授業のときは、他の生徒と別で、子どもたち同士で色々な話をする授業を受けます。自然な形でネイティブと帰国生は行っている。たとえば、先生がある程度仕切った後、途中で出ていく、子供たちだけで話はじめ、その子供たちの中からリーダーが出てきて、創造的な答えをだしてくる。
先生が退出することで完成する高度なもの。これは学校づくりの中で、日本ではなかなかできないのですが、ここまでもっていこうと、プログラム作りに取り組んでいます。
考えるプロセスは6段階ありますが、日本の総合学習では、始めのテーマを設定するところから、いきなり最後の生徒に発表させるところに飛んでいるように思えます。途中の過程の4つのトレーニングが徹底されていないのです。
しかし、これからの日本の教育でも、4つの部分、すなわち、テーマを決定する、探究方針を決定する、情報を集めるというパートパートに分けて、徹底して行っていきたいものです。私たちが考えたのは、このようなプロセスを通してクリティカルシンキングを徹底的にトレーニングすることです。そのために先生たちにも研修に参加させました。先生たちに体験してもらう、そういう研修をしてそれを授業に反映させていくと先生たちも変わってくる。本当になかなか大変です。しかし、小さいところからだんだん学びが展開できるようなチャレンジをしつこく行っているのです。
そして、以上のような21世紀型の学びのために、「かえつアクティブラーニングクラスルーム(KALC)」をつくり、学びの環境もデザインしています。新しい酒は、やはり新しい袋にというわけです。
もはや国際的なことを視野にいれず、日本の足元だけを考えていくということはできません。21世紀から取り残されてしまうでしょう。帰国生の受け入れは面倒くさいなどと思っているようでは21世紀にはついていけません。21会の学校は積極的に帰国生を受け入れ、彼らが学んでいたいろいろな良いところを他の子供たちに伝えていくような教育をを共にやっていきましょう。