工学院 科学の目が輝く授業(2)
工学院主催の10000人「科学教室」の意義は、そのスケールメリットという点からして、他の理科実験教室を圧倒する大きな意味がある。というのも20世紀における日本の理科教育は専門家とその卵のための教育という固定観念があった。それゆえ、巷で行われている理科実験教室というのは、専門家やその卵向けという傾向が強い。
ところが21世紀になって、日本の科学教育にも「科学コミュニケーション」なる考え方が導入されるようになった。これはすでに欧米では20世紀から行われてきたことであるが、近代化は議会制度や民主主義の原理によってばかりではなく、科学革命によって広まり加速した。それゆえ、科学の主体は専門家ばかりではなく、市民全体に理解されるものでなければならなかった。科学コミュニケーションというパフォーマンスは、科学の最前線を小学生や市民に理解可能なデモンストレーションをするという意味があったのである。
工学院の科学教室は20年前から行われているから、すでにこの科学コミュニケーションの意味をいち早くコミットメントしていたことになる。工手学校として出発した近代市民のための科学学校の面目躍如であろう。

















