「反転授業」さながらの「思考力テスト」の「入試本番模擬体験」
(2013.11.22の21会の定例会で。座長平方校長のビジョンとミッションの共有スピーチシーン)
「思考力テスト」の入試本番模試は、まずは思考力テストを、受験生1人ひとりが、本番さながら考え抜いて解答を書き込むところから始まった。
60分間、受験生は真剣に脳みその汗をかいた。そして終わるや解説授業が始まったわけだが、グループをつくる授業展開となった。
この様子を見た瞬間に、先日21会の定例会終了後、平方校長が語っていたことを思い出した。
21会(21世紀型教育を創る会)の定例会には、会員校ばかりでなく、私立学校の21世紀型教育のビジョンやミッションに賛同する外部のメンバーもオブザーバーとして参加している。その中の1人、イノベーティブティーチャー学会の主宰者が、会終了後に、平方先生に今トレンドの21世紀型スキルを促進する「反転授業」について質問していた。
その主宰者曰く、「東大の山内准教授が日本に紹介し、多くの教育現場で広がりつつある反転授業だが、どうも予習をさせて、授業で演習という形ばかりの流れが多くなっている。予習を強制するからモチベーションが今一歩盛り上がっていない。平方先生はどう思いますか?」と。
「反転授業(Flipped Classroom)」とは、最近米国でトレンドになっており、説明型の講義をオンライン教材化して宿題にし、従来宿題であった応用課題を教室で対話的に学ぶ授業。東大の山内祐平准教授が紹介し、ICT教育を同時に推進する21世紀型スキルを伝える多様な日本の教育コミュニティの中で広がっている。
平方校長は、
「21世紀型スキル自体は、試行錯誤の過渡期だし、これというものが決まっていない。だから、いろいろな挑戦や実験があってよい。大事なことは21世紀型教育にシフトしなければならないということ。玉石混交はあるだろうが、それは確実に大きなベクトルができつつあることを予感させるもの。結構じゃないのかな」
そして、
「反転授業がオンラインで行われようが、ペーパーで行われようが、大前提なのは、生徒が自分の頭の中で、たくさんのアンテナを立てたり、問題意識を強くもったりする思考の場をまずは広げておくということ。思考のイマジネーションのスクリーンを広げていれば、そこに自分の考えたことを投影するのは楽しいじゃないか。
だからオンラインで動画を流すのは、たしかにわかりやすいだろうね。でも、動画や絵だからといって、それが直接生徒自身によるイマジネーションに転化するとは限らない。テレビ番組だって、視聴率のよいのもあればそうでないのもある。動画や絵だからといって、イマジネーションを生み出すかどうかは、わからないよね。
大事なことは、生徒による脳内あるいは内面のイマジネーションのスクリーン。これを立ち上げて、あとは対話と沈思黙考の弁証法で、思考を映し出すにまで到るだろう。その作業は楽しいと思う。私たちはPILとかPBL(※)と呼んでいるけれど、その前提に思考の場を生徒が広げる問いかけが大事ということだと思うよ。もっとも、対話的行為が最も効果的だから、動画よりも何よりも、対話で始まり対話で終わるというのが、21会のコンセプトだけどね。」
つまり、「思考力テスト」はものの見事に、平方校長のいう意味での反転授業。テストをまずは沈思黙考し、思考の場を広げ、解説授業で、対話を通して、自分の思考方法の輪郭を明快に描くのだから。
※PIL(Peer Instruction Lecture)、PBL(Project Based Learning)