静岡聖光学院 未来を創るNew Power School(1)

昨年、静岡聖光学院は、21世紀型教育機構に加盟したばかりですが、2年目にはいった今年、一気呵成に、あらゆる側面、領域で21世紀型教育を開発実施しています。毎年実施しているアクレディテーションスコア(本機構で実施している21世紀型教育の品質保証調査)は、前年対比113.3%で、大きく進化しています。

その進化ぶりは、New Power School出現というウネリとなって、静岡を日本を世界を席巻しそうな勢いです。今年の静岡聖光学院の活動を簡単に振り返りながら、New Power Schoolの出現の潮流とは何か考えていきましょう。「簡単に」といわざるを得ないのは、世界を席巻するぐらいですから、あまりにも情報量が膨大だからです。by 本間勇人 私立学校研究家

 

<静岡聖光学院のNew Power誕生を象徴しているシーンです。写真は、同校サイトから。キャプションにはこうあります。「この写真は聖光祭準備時に、生徒達があまりの綺麗さに思わず撮った写真を譲ってもらいました(加工は一切してないとのこと)。景色が美しく感じるというのは、心が美しさ・癒しを求めているということ。彼らの成長に欠かせないものが学校教育にもこの景色にも静岡には確かにあると感じております。」>

今年、50周年記念事業の一環という歴史的存在理由も重なって、キャンパスの全面リフォームがなされました。しかも、21世紀型教育機構に加盟したということもあり、その空間づくりも急遽21世紀型の空間にベクトルが調整されました。設計も、米国のアーティスティックでイノベーティブなデザイナーに依頼しました。

世界中で新しい学校建築が行われています。20世紀型教育における建築は、従来ハコモノを建てればよいという感じででした。そのデザイナーが言うには、20世紀は学校や病院の建築様式は刑務所と同じ発想だったということです。

そんな反省部屋のような規則だらけの抑圧空間では、21世紀型教育の柱である「創造的思考力」が育つわけがありません。そこで、今まで見たこともない学校の空間のリフォームが行われたのです。そのコンセプトが表出しているシンボル的な空間は図書館です。カフェさながらの空間だと思ったところ、実際にここではコーヒーを飲みながら学べるのです。コーヒーは、その道で、世界デビューしているOBがコーディネートしています。読書への旅に一瞬して没入できるので、生徒にとっても人気スペースですが、議論の場としても教師も大いに活用しています。

このような発想が生まれた1つの理由に、PBL(Project based Learning)型授業を開発するために、まず思考力を育成するコンパスである「思考コード」を1年目にして作っことがあります。教師が一丸になって侃々諤々対話をして創り上げていく過程は、ピーターセンゲのいう「学習する組織」がすでにあったことの証ですが、そもそも初代校長ピエール・ロバート校長のころから、勉強ではなく学問を学ぶのですという強烈な理念を実行してきたということがあるでしょう。

その意志を学習空間にしたのが、このピエール・ロバート・ホールです。自然科学研究の発表など、あのTEDよろしくスーパープレゼンテーションを行おうというモチベーションが内燃する空間です。

やはり、1年目にまずは、ふだんの授業をどうしていくか、そして、そこで展開していくカリキュラムやシラバスにおいて、生徒がどこまで考えて感受性を豊かにしていけるのか未知の問題にぶつかったときに道を自ら切り拓いていくための知のコンパスとして「思考コード」を創り上げたのが、あらゆる領域で21世紀型教育が開花するエネルギーになったのでしょう。

もちろん、なんといっても不退転の覚悟で、今までの教育をすべて捨ててしまうほどの決断をして新しい教育へ一丸となって立ち臨んだ先生方の勇気と知恵と努力が最強のエンジンだったことは言うまでもありません。

この先生方の未来を生き抜くNew Powerを生み出す授業デザイン創発ワークショップの様子を、座長の副教頭田代正樹先生がめちゃくちゃ完成度の高い動画を手作りしたものがあります。臨場感が彷彿とする動画です。こちらをご覧ください。→「静岡聖光学院の挑戦 未来を生き抜くチカラを育むために」

 

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