会員校別記事一覧

桜丘 タブレット導入授業の準備着々(2)

2018年以降の大学入試改革が話題になっている。いかに「思考力」と「英語」と「ICT」の世界標準レベルを目指すべきか、政財官学はアテンションをあげている。しかし、これは世界的なグローバル教育の動きに影響を受けているのであって、政財官学の動きは、まだビジネスチャンスに直結する狭い部分に限定されているという認識が明らかになってきている。ビジネスチャンスも含みつつ、力点は新しい時代の「生き方」に焦点をあてた桜丘のICTイノベーションは、当然英語の授業の方法論にも大きな影響を与えている。

桜丘 タブレット導入授業の準備着々(1)

桜丘の副校長品田先生のインタビューの中(『「桜丘ラーニングコモンズ」が21会型学びを見える化する』参照)で、教師がiPadを活用する授業にチャレンジし、その試行錯誤を互いに交換しあうミーティングを行っていると聞いた。ということは、多くの先生方がタブレット導入授業を試みているということであるから、同校で夕刻21会の定例会がある日、少し早めに訪問し、5、6時間目の授業を見学させていただいた。その浸透力に驚いた。by 本間勇人:私立学校研究家

(短焦点プロジェクターとiPadがさり気なく使われている。コンパクトなセッティング)

八雲学園 共学化とラウンドスクエアで進化加速(1)

八雲学園の教育の進化が加速している。今春共学化し、ラウンドスクエア加盟校として動きが本格化しているのである。共学校になったこととラウンドスクエアに加盟したことが相乗効果を生み出し、多様性の次元が他に追随を許さない豊かさを生み出すことになった。by 本間勇人 私立学校研究家

桜丘のICT教育 次の次元へ!桜丘ショック!はまだまだ続く(3)

§3 多様な思考スキル

アクティブラーニングは、タキソノミーという能力の段階とその段階の間を幾度も往復し、循環するための思考ツール、そして思考スキルの関係総体で展開されます。思考ツールには、iPad、レゴ、思考マップなどが強力ですが、粘土や木材、楽器、画材などなど無限にあります。しかし、iPadがそのほとんどを陵駕できてしまいます。立体的なものの触覚だけは今のところなかなか難しいかもしれません。しかし、IoTの進化でそれも克服できるかもしれません。いずれにしても、そうなれば、iPadのようなタブレットは、メタ思考ツールに昇格します。

【多様な比較スキル】

桜丘のICT教育 次の次元へ!桜丘ショック!はまだまだ続く(2)

§2 ロイロノート・スクールの効用

高2の政治経済の授業は、「学習を通じた創造的思考力一歩前」くらいまで到達する授業でした。「一歩前」と表現したのは、模擬授業の時間設定が30分だったからです。もしiPadやロイロノート・スクールなどのネットワークを活用しなければ、5時間以上かかる授業です。それを30分でやってのけるのですから、時間内にカリキュラムが終わるかどうかという不安はもはや払拭できるでしょう。

桜丘のICT教育 次の次元へ!桜丘ショック!はまだまだ続く(1)

2015年12月18日(金)、桜丘は「冬のICTオープンスクール」を実施しました。同年10月、eラーニングアワードフォーラム2015における『第12回 日本e-Learning大賞』で桜丘の実践「生徒・教職員の創造性を刺激する,iPadがある学校生活」が文部科学大臣賞を受賞。

その実績、つまり「桜丘ショック」を、模擬授業空間やiPadを使っている生徒と直接対話できるスペースなどで、全国から訪れた先生方と共有しました。by  本間勇人 私立学校研究家

富士見丘 中1のアクティブ・ラーニング × ICT

文部科学省の指揮の下、アクティブ・ラーニングとICTが本格的に教育現場に導入されようとしています。5年後の大学入試改革と「生徒1人1台タブレト端末」を目標に、多くの学校が「教育改革」に本腰を入れて取りくんでいます。しかし、子供達の未来が明るくなる兆しがみえる一方で、そのための困難もまた多く見受けられます。実際、現場の先生方は「アクティブ・ラーニング」という新しい指導法に加え、不慣れなICT機器を使いこなさなければならず、その負担は無視できるものではありません。
 
いかに負担を少なくスムーズに、それでいて効果的なアクティブ・ラーニングとICTを浸透させていくかが「教育改革の鍵」といってもいいでしょう。今回はその好事例として、今年SGH(スーパーグローバルハイスクール)指定校に選ばれた富士見丘学園(以下、富士見丘)の取り組みをご紹介したいと思います。(ICTアドバイザー 福原将之)
 
 

聖徳学園 ICT公開授業 「頭のフェイント」披露

 

聖徳学園は、平成24年~25年度東京私立中学高等学校協会研究協力校として、「平成25年度ICT公開授業研究会」を行った。8クラスの通常授業でICTが活用されているのを見学できた。電子黒板が開く未来の授業が展開されていた。by 本間勇人:私立学校研究家

富士見丘 授業がクリエイティブ(2)

富士見丘の高2の物理の授業を見学。中野先生と生徒の息と眼差しはぴったり一致していた。高校生は大学履修決定のように、92科目の科目から、選択する。自分の進路に、自ら科目選択をしてマッチングさせる。だから選択への意志もモチベーションも高い。

富士見丘 授業がクリエイティブ(1)

グローバル教育、アクティブラーニング。この言葉を聞かない日はない。それほど教育界は21世紀型教育が本格稼働し始めた。富士見丘はその先駆的存在であるがゆえに、先生方は何を今さらと冷静だ。それもそのはずである。日常の授業がすでにクリエイティブなのだ。

何も大げさな一年間かけるプロジェクト型学習やアクティブラーニングのようなイベント型学習を声高に宣伝する必要はないと。とはいえ、個人によって違うが、3年から6年もかける大型プロジェクトベースドラーニング「5×2」も20世紀末にスタートしている。

世の中相対的に変わろうとも、アインシュタインは絶対的光速を見出した。20世紀は相対的価値に目が向いていた。しかし21世紀は、富士見丘とともに光速のフォースを大切にする。フォースは、イベント型学習のみならず、ふだんの授業にも存在する。光速のクライテリアがあるからこそ相対的価値は生まれる。by 本間勇人:私立学校研究家

聖パウロ学園 本当の学力を求めて

毎年聖なる力が宿る高尾山を訪れる人は多い。しかし、その自然の懐に聖パウロ学園という人間の本質を保守し、将来子供たちが様々な問題に遭遇したときに、何よりもそこでかけがえのない生きる意味を見出して解決できる本当の学力が身につく教育を実施している私立高校があるのを知る人は少ない。

それだけに、知る人ぞ知る人気校でもある。その聖パウロ学園が、進学校化する数多くのカトリック校の中で、カトリック教育の原点に帰る活動を開始する。カトリック学校のミッションは、生きる意味の深さを自ら創り出す本当の学力を子どもたちが身につけられるようにすることなのではないかと。by本間勇人:私立学校研究家

(高橋博理事長・校長 国連で、あらゆる民族あらゆる宗教あらゆる政治経済の信条を乗り越え手をつなぐルールであるとされる聖書の黄金律の言葉の空間で。)

富士見丘 知識の体系化が自己理解へ(3)

「自主研究5×2」は自己理解の過程

――サタデープログラムのプロジェクトチームの先生方は、土曜日の講座の体験は、月曜日から金曜日の授業に活かされると話してくれました。今日も、そのような循環が起こっている話になっていますが、その根本的な理由は何ですか? 

富士見丘 知識の体系化が自己理解へ(1)

富士見丘の教育活動は、グローバル教育やサタデープログラムなど多様で特別な学びの環境が設定されている。しかし、同校の特徴的なところは、1つひとつのプログラムのクオリティのみならず、すべての教育活動が有機的に連関して相乗的な質を豊かに生み出しているところにある。授業とサタデープログラムの一つの柱「自主研究『5×2』」の相互関係について聞いた。by 本間勇人:私立学校研究家

左から、教頭大島則男先生、中島正樹先生(社会科)、関根淳先生(社会科)

工学院【日日即未来】 生徒が自ら問いをつくり世界を変える授業

 
工学院大学附属(以降「工学院」)は、経済産業省が実施している「EdTech導入補助金」を活用したInspire Highのオンライン上のプログラムを導入しています。その導入授業を、教頭の田中歩先生も自身のIBL(Inquiry based Learning)の中で展開していました。
 
Inspire Highの授業は、オンラインで展開されます。見学した時は、生徒の皆さんが、農業のテクノロジーについてのキーノートスピーチに触発されて、最終的に100年後の食の問題を解決する壮大な授業でした。
 
 
英語と日本語どちらでも可能で、歩先生は英語でも授業をナビゲートしていました。ラウンドスクエアの加盟校から留学にきた生徒もいたというのもありますが、工学院の中2は全てのクラスで同様のプログラムを実施しています。
 

SGT教育研究プロジェクト〜循環型社会を目指すワークショップ

(写真提供は児浦良裕先生)

8月11日と12日の2日間、教育研究センターのSGT教育研究プロジェクトのワークショップが千葉県木更津市のクルックフィールズで行われました。

SGT教育研究プロジェクトは、聖学院の児浦良裕先生や工学院の田中歩先生が主席研究員として活動してきたSGT教育研究会から新たに創設されたプロジェクトです。

このプロジェクトではフィールドワークをその根幹に位置付けています。そうすることで、より地球環境の問題をリアルに捉えることができることがひとつ。また、対面だからこそ発揮される全体的で統合的なコミュニケーションが「フィールド=場」のパワーを高めてくれることも狙いに入っていたのでしょう。

(写真提供は児浦良裕先生)

工学院 創造的緊張感を持続する組織(2)

工学院は、「挑戦・創造・貢献」を理念としています。この根本には「自由」があります。自由が前提だからこそ「挑戦・創造・貢献」が可能なのです。エントランスホールには「真理は自由にす」というグローバル精神が刻印されているぐらいです。

「自由」。もちろん、「自律」と表裏一体ですから、個人主義とは違います。「貢献」という理念がそれを支えています。さて、この意味での「自由」が、授業の中にも反映されているために、正解が1つでない問いが中心となる創造型PBL授業ができるわけです。つまり、「真理が自由にす」という自由が文化遺伝子としてあったからこそ21世紀型教育にも踏み出せたのでしょう。

工学院 創造的緊張感を持続する組織(1)

工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」と表記)は、八王子という私立中高一貫校志望者が23区に比べかなり少ないエリアにあります。もともと日本の私立中高一貫校に進学する割合は、全国の同年齢人口の7%。一般には公立中学と私立中学の選択を考える家庭は少ないのです。

一方東京の23区は、区によっては20%近く進学を考える層がいる私立中学受験王国です。ところが、八王子エリアはというと、同じ東京都にありながら、全国レベル。東京における私立学校の経営としては、極めて不利な困難を極める立地条件です。

それがゆえに、このエリアでサバイブするために、先生方はイノベーティブな教育活動を徹底しています。by 本間勇人 私立学校研究家

(中学の理科の授業、Fab Labも備えた図書館で創造型PBL授業。工学院のPBL授業のプロトタイプ。)

工学院の進路指導(了)受験勉強を通して本質をつかむ

三人の卒業生の座談会を終えて、そこに立ち会った校長平方邦行先生と進路指導部主任の新井利典先生は、すぐにリフレクションしていました。新しいハイブリッドとしてのクラスやコース分けが完成したのは、今の中1から高1。高2はプレ改革期で、ハイブリッドインターコースが、週に一度工学院大学の新宿キャンパスで、大学の講義なども受講するようになりました。

したがって、今春の卒業生は、システムとしての21世紀型教育改革の影響は受けていません。しかし、今回の座談会を通して、その改革の精神的な良い影響があったのではないかと、先生方は手ごたえを感じつつ、一方で新たに洗練していく部分も発見し、対話がどんどん広がっていきました。

(左から進路指導部主任新井利典先生、校長平方邦行先生。二人の対話はさらに詰めていくポイントをめぐって、広がっていきました。)

工学院の進路指導(2)中高時代の学びが大学で役に立つ

昨年に続き、今春の卒業生たちも、それぞれ「合格体体験記」を後輩のために残しました。この分厚い冊子を編集した進路指導部主任新井利典先生は巻頭言でこう語っています。

「今年度は17名の卒業生が執筆を引き受けてくれたたため、100ページを超える大作となりました。・・・これを読む在校生は、卒業生からのメッセージだと捉え、自分の学びに生かしてほしいと思います。」

「一人一人の個性が違うように、学び方も人それぞれです。自分自身の勉強方法は、周りのアドバイスに謙虚に耳を傾けながら、自分自身で模索するしかないのです。そのことを忘れずに、先輩たちの経験を参考にしてみてください」。

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