富士見丘学園 学ぶコトは考えるコト(3)
■自己認識の構造
大島教頭のねらいは、中1から私とは何者であるかの回答を探すことではない。それはこれからいろいろな「体験」をし、「海外研修」で多様性を実感し、「自主研究5×2」を通して、見つけていくこと、いやサタデープログラム 『5×2セレクション~知の探求2013~』で、卒業生のプレゼンに耳を傾むけていて思ったのだが、自分の核はすでにあるというところから出発していた。
■自己認識の構造
大島教頭のねらいは、中1から私とは何者であるかの回答を探すことではない。それはこれからいろいろな「体験」をし、「海外研修」で多様性を実感し、「自主研究5×2」を通して、見つけていくこと、いやサタデープログラム 『5×2セレクション~知の探求2013~』で、卒業生のプレゼンに耳を傾むけていて思ったのだが、自分の核はすでにあるというところから出発していた。
■ダブルクエスチョン
3つの対話は、単純にマズールに比べ、量が多いからパワフルだというわけではない。3つの角度から対話することができるから、複眼思考をせざるを得ないという意味でパワフルなのである。しかし、本当は問い自体がパワフルなのである。
たとえば、今回のテーマは「わたしは誰?」なのであるが、これはもちろん言うまでもなく難問であるが、内容の難しさと、そもそも「わたしは誰?」というの問いはどういう諸関係をそこに立ち上がらせるのかというもう一つ問いが隠されている。いわば、ダブルクエスチョンなのである。
■ Can Do リスト風に
戸板の社会科の考える授業を、科全員でシェアするということ自体、実は他校ではなかなかないことである。今回の戸板の社会科の会議に立ち会って、開放的な対話が、いかに多角的な視点を共有でき、複眼思考ができるのか、実感できた。
■ストックの棚卸
知識の量を調整して、思考の時間も挿入するという授業計画から、知識を学ぶことが同時に思考力も育成する授業のプログラムへというミッションをいかに具体化するか。このミッションはどこからか、新しく降ってきたのではなく、もともと戸板の社会科の暗黙知としてあったものである。それを社会科内で言語化したわけである。
したがって、自分たちが普段行っている授業の資源を汲みだして、言い換えれば、ストックされていたものを棚卸して、整理することになった。これは整理作業なので、会議の効率を上げるために、2人ずつ話し合うピアインストラクションのステージに進んだ。
平成26年度から戸板中学校戸板女子高等学校(以降戸板)は、大きく進化する。その準備を今年開始したと聞き及んだ。そこで、入試広報部部長の今井誠先生に、どのように進化するのか、そのための準備とはどういうことを行っているのか尋ねた。すると、ちょうど社会科の会議で、その戦略を話し合っているので、立ち会ってはどうかと取材の提案を受けた。その自信とやる気に満ちた笑顔に、二つ返事で会議を見学させていただくことにした。会議の模様をお伝えしたい。(by 本間勇人:私立学校研究家)
※左から今井誠先生(入試広報部部長)、市川恵也先生(生徒指導部部長)、原田啓志先生(進路・学習指導部)、豊田良知先生(教務部部長)
■ Can Do リスト風に
戸板の社会科の考える授業を、科全員でシェアするということ自体、実は他校ではなかなかないことである。今回の戸板の社会科の会議に立ち会って、開放的な対話が、いかに多角的な視点を共有でき、複眼思考ができるのか、実感できた。
■ストックの棚卸
知識の量を調整して、思考の時間も挿入するという授業計画から、知識を学ぶことが同時に思考力も育成する授業のプログラムへというミッションをいかに具体化するか。このミッションはどこからか、新しく降ってきたのではなく、もともと戸板の社会科の暗黙知としてあったものである。それを社会科内で言語化したわけである。
したがって、自分たちが普段行っている授業の資源を汲みだして、言い換えれば、ストックされていたものを棚卸して、整理することになった。これは整理作業なので、会議の効率を上げるために、2人ずつ話し合うピアインストラクションのステージに進んだ。
平成26年度から戸板中学校戸板女子高等学校(以降戸板)は、大きく進化する。その準備を今年開始したと聞き及んだ。そこで、入試広報部部長の今井誠先生に、どのように進化するのか、そのための準備とはどういうことを行っているのか尋ねた。すると、ちょうど社会科の会議で、その戦略を話し合っているので、立ち会ってはどうかと取材の提案を受けた。その自信とやる気に満ちた笑顔に、二つ返事で会議を見学させていただくことにした。会議の模様をお伝えしたい。(by 本間勇人:私立学校研究家)
※左から今井誠先生(入試広報部部長)、市川恵也先生(生徒指導部部長)、原田啓志先生(進路・学習指導部)、豊田良知先生(教務部部長)
■ Can Do リスト風に
戸板の社会科の考える授業を、科全員でシェアするということ自体、実は他校ではなかなかないことである。今回の戸板の社会科の会議に立ち会って、開放的な対話が、いかに多角的な視点を共有でき、複眼思考ができるのか、実感できた。
■ストックの棚卸
知識の量を調整して、思考の時間も挿入するという授業計画から、知識を学ぶことが同時に思考力も育成する授業のプログラムへというミッションをいかに具体化するか。このミッションはどこからか、新しく降ってきたのではなく、もともと戸板の社会科の暗黙知としてあったものである。それを社会科内で言語化したわけである。
したがって、自分たちが普段行っている授業の資源を汲みだして、言い換えれば、ストックされていたものを棚卸して、整理することになった。これは整理作業なので、会議の効率を上げるために、2人ずつ話し合うピアインストラクションのステージに進んだ。
平成26年度から戸板中学校戸板女子高等学校(以降戸板)は、大きく進化する。その準備を今年開始したと聞き及んだ。そこで、入試広報部部長の今井誠先生に、どのように進化するのか、そのための準備とはどういうことを行っているのか尋ねた。すると、ちょうど社会科の会議で、その戦略を話し合っているので、立ち会ってはどうかと取材の提案を受けた。その自信とやる気に満ちた笑顔に、二つ返事で会議を見学させていただくことにした。会議の模様をお伝えしたい。(by 本間勇人:私立学校研究家)
※左から今井誠先生(入試広報部部長)、市川恵也先生(生徒指導部部長)、原田啓志先生(進路・学習指導部)、豊田良知先生(教務部部長)
ペンタゴンモデルは、しかし一巡して閉じてしまうわけではないという魅力的な議論に発展していった。しかも、そのループへの階梯の上昇は、はじめから生徒自らでできるわけでもない、やはり細かいトリガークエスチョンをなげかける教師の役割がカギになるという議論にもなった。
スーパーサイエンスコースのねらいは、佐藤充恵先生によると「未来の研究者を育てることです。日本ではまだまだ女性の社会進出、とくに科学者の進路をたどる比率は少ないですから、それではグローバル教育とはいえないですよ。その点戸板は女子校ですから、女性の研究者の礎を築くことができると思います」。
佐藤先生ご自身、産休中であるにもかかわらず、息子さんを連れて、会議に臨んでいた。佐藤先生の心意気に頭が下がると同時に、女性にとって心地よい職場を形成している戸板の経営の先進性に、女子教育の真骨頂を感じ入った。
ペンタゴンモデルは、しかし一巡して閉じてしまうわけではないという魅力的な議論に発展していった。しかも、そのループへの階梯の上昇は、はじめから生徒自らでできるわけでもない、やはり細かいトリガークエスチョンをなげかける教師の役割がカギになるという議論にもなった。
スーパーサイエンスコースのねらいは、佐藤充恵先生によると「未来の研究者を育てることです。日本ではまだまだ女性の社会進出、とくに科学者の進路をたどる比率は少ないですから、それではグローバル教育とはいえないですよ。その点戸板は女子校ですから、女性の研究者の礎を築くことができると思います」。
佐藤先生ご自身、産休中であるにもかかわらず、息子さんを連れて、会議に臨んでいた。佐藤先生の心意気に頭が下がると同時に、女性にとって心地よい職場を形成している戸板の経営の先進性に、女子教育の真骨頂を感じ入った。
戸板中学校戸板女子高等学校(以降戸板)は、2014年に、高校でスーパーサイエンスコースを開設する。そのために理科の先生方は、コンセプトデザイン、科学的発想を生み出す授業デザイン、実験とICTを結合した新しい理科のシラバスの開発など議論している。さらに、ロールモデルもつくり、試行錯誤の準備に余念がない。その画期的理科教育のイノベーションの一端をご紹介しよう。(by 本間勇人:私立学校研究家)
戸板中学校戸板女子高等学校(以降戸板)は、2014年に、高校でスーパーサイエンスコースを開設する。そのために理科の先生方は、コンセプトデザイン、科学的発想を生み出す授業デザイン、実験とICTを結合した新しい理科のシラバスの開発など議論している。さらに、ロールモデルもつくり、試行錯誤の準備に余念がない。その画期的理科教育のイノベーションの一端をご紹介しよう。(by 本間勇人:私立学校研究家)
生徒たちがノートに自分の考えを刻み、島田先生に提示するアウトプットの時間は、もっとも知的交換に興奮する瞬間である。生徒の学びの意識の拡散と収束、収束と拡散を工学的にデザインするのが環境工学の授業であることがはっきりと了解できる時でもある。
一般に生徒は授業の後半、疲れてくるものだ。ところが島田先生の環境工学の授業リズムは序破急なのである。静かなブレインストーミングのあと、タイミングよく第2の問いが投げられる。その瞬間生徒の内発的モチベーションはトルネードとなって燃えあがる。
工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)では、高1の総合学習で、「環境工学」の授業を行っている。同校はISO14001という環境マネジメントシステムを生徒とともに活動して認証取得している。この認証取得には、エコに対する思考や活動に、道徳感情のみならず、技術をベースに社会的責任に参加するという工学発想を徹底させる必要がある。
この工学発想、いわば思考を工学する基礎が、「環境工学」という授業で育成されている。今回、担当の島田浩行先生(高等学校教頭・環境管理推進委員・環境管理事務局員)の授業を見学させていただいた。「環境工学」が同校が標榜している21世紀型教育そのものであることを紹介したい。(by 本間勇人:私立学校研究家)