6月22日に行われた桜丘の中学校説明会は、あいにくの雨模様での開催であったにもかかわらず、来場者は体育館に用意された座席を埋め尽くすほど盛況であった。そしてそこで提示された中身も21世紀型教育が浸透しつつあることを印象づける新しい試みに満ち溢れたものであった。 by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家
説明会の司会を務めたのは「キャンパス・ナビゲーター」と呼ばれる在校生。大勢の保護者を前に、堂々と開催の宣言をした。続いて音楽が流れ出し、バトン部のパフォーマンスが始まった。
正直、桜丘の説明会の始まりの意外性にまずは驚かされた。説明会といえば理念や教育方針の説明から始まって・・・という先入観を抱いていたわけだ。しかし、パフォーマンスを見ているうちに、学校を語るのは先生だけではなく、生徒も語るべきだし、生徒が自分たちの活動を披露する説明会があっても当然であるという気分になってきた。桜丘の学校説明会は、授業体験・クラブ体験をセットにした学校全体を体感するイベントなのである。
ほどなくパフォーマンスが終了し、校長の平先生の説明が始まった。
平校長は、写真をふんだんに利用したスライドを使い、イメージに訴えかけるようなスタイルで桜丘の教育についてプレゼンテーションを行った。
今年から入学した生徒全員に配られることになった iPad も早速自らが使っている姿を披露する。教職員にはすでに1年前に配布され、授業に活用するための準備期間となっていたとのことだ。
iPadを学びのツールとしながらも、桜丘ではICTのハード面だけを重視しているわけではない。仲間とのコラボレーション、コミュニケーションを成立させるための学び合いの教育環境を成立させるという前提があり、そのためにICTを利用するというスタンスなのである。
副校長の品田先生は、動画を挟み込みながら、21世紀型スキルの重要性についてTEDさながらのプレゼンを行った。
品田先生のプレゼンにおいても教育環境の重要性が語られた。桜丘において教育環境とは、施設などのハード面だけではなく、生徒が自立して能動的に学習できるようになるためのすべての条件を指している。
もちろんiPadもそのような教育環境の一つだ。iPadは、私たちを取り巻くデジタルネットワーク社会の象徴である。21世紀に必要な教養は「翼」に、そして未来を切り開く判断力は「コンパス」に。桜丘ではビジュアルや象徴を用いながら、生徒に未来への鳥瞰的な視点を授けているのである。