今年も工学院大学附属中学校・高等学校が、大学と連携して「科学教室」を開催した。10000人規模が参加する日本でも有数の大サイエンス祭り。今年7月23日(水)、工学院大学新宿キャンパスで、同大学附属中学校・高等学校は、プレスリリースを実施。
テーマは「工学院大学附属中学校が21世紀型一貫教育をスタート 日本初のハイブリッドインタークラスを開設~大学で 企業で 世界でスカウトされるグローバル人材を育てる」。いよいよIB級の教育デザインに大きく歩を進める意志が表明された。そこでIB(国際バカロレア)のlearner profile(10の学習者像)が端的に映し出される「科学教室」に接近した。by 本間勇人:私立学校研究家
(工学院のリケジョ)
「科学教室」は2日間に渡って開催されるが、中学生から大学院生までの独自の70以上のプログラムが行われる。今回は、中高生を中心に取材をした。中学生は、実際に海に行って魚介類、海藻類をとってくるところから準備を行ったという。
(獲ってきた魚の生態を懸命に平方校長に説明する中学生)
そして、それをテーマに魚介類の生態を調べ、プレゼンするだけではなく、その料理の方法、加工の方法を披露してみせた。さらに、海に入ったときの浮力の体験を、どのように科学教室に参加した子どもたちに実感してもらうか、シュミレーションコーナーもつくった。
(平方校長、橋本教頭、キング先生相手に、堂々と魚を焼くための火をおこすプロセスを説明する中学生)
つまり、1つのテーマからアクションパースペクティブを広めるアクティブラーニングを行っていたのである。IBは、グローバル人材としての学習者像を次のように列挙している。
Inquirers 探究する人
Knowledgeable 知識のある人
Thinkers 考える人
Communicators コミュニケーションができる人
Principled 信念のある人
Open-minded 心を開く人
Caring 思いやりのある人
Risk-takers 挑戦する人
Balanced バランスのとれた人
Reflective 振り返りができる人
このほとんどが、中学1年生のときから体験できるのが工学院なのである。最近ではリケジョと呼ばれるよういになったが、言うまでもなく、工学院では女子生徒も科学は大好き。採ってきた海藻で、トコロテンづくりをし、それを校長に見せながら、プレゼン。
さらに、海にいったときに必要な袋や網などにつながるのか、織物の織り方を実演。
また、浮力を感じる体験コーナーも創られていた。中学生が、小さな子供にも実感してもらえるように、説明の仕方、パフォーマンスを創意工夫したという。
そして、圧巻なのは、実際に貝を校長の手に取らせて、実際の感覚を確かめながらプレゼンするというスタイル。
まさにInquirers 探究する人の姿に満ちているし、調べてKnowledgeable 知識のある人として成長している。生態のシステムや海をテーマに多角的な視点でThinkers 考える人として頑張っている。科学教室のプログラムを制作するとき、当然Communicators コミュニケーションができる人として活躍もしている。
海にまで行って、テーマを追究するPrincipled 信念のある人でもある。相手が小さな子供たちでも、校長、教頭先生でも、臆することなくOpen-minded 心を開く人である。
3Vの電池が必要なLED電球。それを1.5Vで点けるため、増幅回路をつくった仲間をリスペクトして、スポークスマンよろしくPRするCaring 思いやりのある人としての中学生。
彼らは、原理を説明したうえで、開発した仲間をほめたたえ、紹介してくれた。
(未来は、ビルゲイツなのか、ジョブスなのか、孫正義なのか!)
彼らが、Risk-takers 挑戦する人であることを誇りに思っていることは確かである。その生き生きとした表情、アクション、プレゼンは、聴く側を好奇心の世界にひき込んでいく。
好奇心の世界をたっぷり味わえる工学院。自由に創造する自分の力に自信を持てる科学中高一貫校である。