八雲学園 体育祭「愛と革命と自由と」(1)

2014年9月19日(金)、駒沢オリンピック公園体育館で、八雲学園の体育祭が行われた。同校の体育祭は、たんなる競技コンクールではない。もちろん、身体能力を競い合うレースはある。

しかし、それだけではなく、笑いあり、音楽あり、ダンスありで、生徒1人ひとりが五感を研ぎ澄まし、筋力と精神のよき緊張感を持続するために励まし合い、身も心も全力を注ぐさわやかで感動の渦を生み出す場となる。近藤校長のめざす教育の総合力を結集する「感性教育」の集大成である。by 本間勇人:私立学校研究家

(体育祭の高3のダンスは、全員が「旗」を使いながらダイナミックに跳躍する伝統がある。後輩に代々継承される精神のロールモデルで、憧れのパフォーマンス)

八雲学園において、体育祭と文化祭は、高3生が卒業していく記念碑的な瞬間を刻む行事でもある。高3生は、自分と後輩のために、6年間何をやりどこまで全力を尽くして取り組んできたのかハイエンドなパフォーマンスを繰り広げる。昨年の先輩のパフォーマンスを尊重し、憧れ、継承しつつ、自分たちの時代を象徴する物語を新たに加えていく。

ダンスを終えた高3生は、「後退することはあり得ないし、先輩と同じ質を維持するのでは、先輩に申し訳ない。歴史は自分たちもつくるんです。もちろん後輩にもそうしてもらいたい。だから、私たちのダンスは、先輩のダンスとは一味もふた味も変えました」と。

いったい何を変えたのだろう。教頭高木先生も、高3生のダンスを見守りながら、また進化したねと微笑んだ。

会場全体が息をのんで、見守った高3生のダンスイノベーションとは何だったのか。楽屋裏では、体育祭実行委員のメンバーが先輩とハグして、「本当に良かったです」と感動を身体全体で共感していた。

近藤校長も、また歴史はつくられると確信を抱いた、そんな眼差しで見守った。

優れたダンスパフォーマンスは、意識の世界と超意識の世界が統合されているから、意識できる部分を述べたところで、そのすばらしさは伝わらないだろう。しかし、八雲の高3生の新しい歴史のページをつくる証人となった以上、伝えないわけにはいかない。拙いながらチャレンジしようと思う。

Twitter icon
Facebook icon