感性教育

八雲学園 感性教育こそ学力の3要素の土台(2)

文部科学省は、2020年大学入試改革及び次期学習指導要領改訂を全国規模で行う前に、特に2007年以降、様々なモデルケースをつくって、リサーチをしていました。その結実がSGUやSGHですが、実はIB(国際バカロレア)と英国の大学入学準備教育(Aレベルテストなどに象徴)を水面下では極めて重要視してきました。

そして、前者からはTOK(知の理論)、後者からはクリティカルシンキングという学び方に深く興味を寄せ、学習指導要領の中に換骨奪胎して埋め込もうとしています。その動きが実は「学力の3要素」を鍛えるアクティブ・ラーニングです。

(UCサンタバーバラでのAAPの魅力を全校生徒に伝える3ヶ月留学メンバー)

八雲学園 感性教育こそ学力の3要素の土台(1)

八雲学園の「感性教育」が現在改訂中の学習指導要領の重要なモデルです。この次期学習指導要領は、アクティブ・ラーニングによって、学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」を育成することを眼目としています。

また、これによって、2020年大学入試改革で行う思考力重視、学びの体験重視の新テストに接続することを企図しています。

文部科学省が八雲学園を視察に来たという話は聞いていませんが、きわめて十分にリサーチしているかのような豊かな学びをビジョンとして掲げています。文科省が力を入れているところがどんなところか、八雲学園の教育を鏡としてみていくことができるほどです。 by 本間勇人 私立学校研究家

(3ヶ月留学帰国後のAAP:アドバンスト・アカデミック・プログラム。ソクラティックメソッドを英語で実施しています)

八雲学園 体育祭「愛と革命と自由と」(了)

八雲学園の感性教育の傑出しているところは、グローバルリーダーの土台を形成するところにある。リーダーは、仲間やチーム、組織にモチベーションを立ち上げなくてはならない。同質性の集団の場合、同じ価値観を強制するだけでも外発的モチベーションはあがる。

しかし、グローバルな世界は、チームや組織は、価値観や考え方が全く異なる人間同士の集団になる。そういう状況下で、同じ価値観を強制でもしようものなら、外発的モチベーションどころか、組織は停滞後退する。

ダイバーシティといわれる状況下では、違う価値観や考え方を尊重し合い、ビジョンやコンセプトレベルで、共感できなければならないだろう。八雲学園は、その共感の土壌が見事にできているが、体育祭のときにそれは最も顕著に現れる。

八雲学園 体育祭「愛と革命と自由と」(3)

風をきる旗、意志を噴き上げる旗、未来を拓こうとする旗。高3生のダンスで舞う旗は、彼女たちの想いをたくさんの姿にのせて自在に変化した。あるときは軍隊の銃剣であり、その銃剣に倒れる民衆たちを悲しみながらつつむ旗そのものだった。

八雲学園 体育祭「愛と革命と自由と」(2)

高3生のダンスは卒業への通過儀礼のクライマックスの1つ。モニターにレ・ミゼラブルの映画の一部が流れた。とすぐに、3年生が現れた。純粋な水の色で身を包みながら、それは悲しみの涙なのか、それは恐怖で凍てついてるのか、氷の塊のような姿が出現した。

八雲学園 体育祭「愛と革命と自由と」(1)

2014年9月19日(金)、駒沢オリンピック公園体育館で、八雲学園の体育祭が行われた。同校の体育祭は、たんなる競技コンクールではない。もちろん、身体能力を競い合うレースはある。

しかし、それだけではなく、笑いあり、音楽あり、ダンスありで、生徒1人ひとりが五感を研ぎ澄まし、筋力と精神のよき緊張感を持続するために励まし合い、身も心も全力を注ぐさわやかで感動の渦を生み出す場となる。近藤校長のめざす教育の総合力を結集する「感性教育」の集大成である。by 本間勇人:私立学校研究家

(体育祭の高3のダンスは、全員が「旗」を使いながらダイナミックに跳躍する伝統がある。後輩に代々継承される精神のロールモデルで、憧れのパフォーマンス)

八雲学園 感性教育「合唱コンクール」(3)

グランプリ賞を受賞した高3生。その喜びはどれほどだっただろう。そのとき、いっしょにがんばった他のクラスの仲間のことをどう思っただろう。みんなとがんばって競い合って得たグランプリ。遠慮せずに喜びを素直に身体全体で表現するのが、がんばったみんなをもてなすマナーであり、自分たちの頑張り以上だったグランプリを受賞した仲間を心の底から称えようというのも、これもウェルカムの精神の表現である。

しかし、なぜそれができるのか。勝ち負け、損得感情の価値観とはまったく違う価値観を共有しているからである。技術の差は冷静に認めよう。でもこれまでがんばってきたプロセスで、がまん、団結、努力、大切なことを学び、心がときめいたことが真実である。それは互いに称えよう。そういう価値観を共有しているのが八雲学園の学びの組織なのである。

八雲学園 感性教育「合唱コンクール」(2)

一般に、合唱コンクールは、音楽活動であり、音楽科の指導の下に行われるが、八雲学園の合唱の活動は、そうではない。同学園の中心的な感性教育の実践の場である。

専門的な音と人間の関わりにおいて音楽家の先生に指導を仰ぎながら、歌詞の言葉の力のもつコミュニケーション力、チームを紡ぐ力、ネットワークを結ぶ力、深い悩みとそれを乗り越える人間力、小さなものの背景に大きな感動を捉える力、それらすべての積み上げが生み出す世界観をつくる力において、八雲学園の教師と生徒による総力戦なのである。

音楽を紡ぐイベントであり、音楽を通して学びの組織をつくるプロジェクトマネジメントの力を教師も生徒も学ぶ最強の磁場でもある。

八雲学園 感性教育「合唱コンクール」(1)

八雲学園の感性教育の象徴的な行事「合唱コンクール」が開催された。同学園の行事は、毎月のように行われるが、全学年が共通のアクティビティを行う行事は、おそらく合唱コンクールだろう。

それゆえ、全学年が高3生の姿をみて、「メンタルモデル」を強烈に共有できるという意味でも、八雲学園においては重要な教育プログラムである。感性教育の大きな結晶体としての「合唱コンクール」を取材した。by 本間勇人:私立学校研究家

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