八雲学園 9ヶ月ハイレベル英語プログラム(3)

バックアップ授業終了後、UCサンタバーバラ大学3ヶ月留学とテネシー工科大学3ヶ月留学のクラスから3名ずつ残ってもらい、留学プログラムについて語るワークショップを行ってもらった。

榑松史人先生と近藤隆平先生も参加され、生徒のみならず先生方もメッセージを創り上げた。これこそ21世紀型教育やIB(国際バカロレア)で重視されている教師も生徒も常に学習者であるという理念の体現である。ここに八雲学園のハイレベル英語教育が成立する根本が横たわっていたのである。

2つの教育システム

UCサンタバーバラ大学とテネシー工科大学の3ヶ月留学の教育システムは相違点と共通点がある。互いにその比較をするために、まずはそれぞれの教育システムを振り返った。ワークショップは、英語のできない筆者に配慮して日本語で行われたが、どうしても英語が混じってしまうようだった。

UCサンタバーバラでは、寮生活。月曜日から木曜日までは、英語のスキルを多角的に学ぶトレーニング。もちろんカルチャラルスタディも。金曜日はライティング、土日はアクティビティ。

これだけきちんとしたオールイングリッシュのトレーニングが3ヶ月行われるのだから、英語力はハイレベルになるわけである。多くの場合3ヶ月留学というと、現地校に入り、現地の英語の授業に慣れたころに帰国することになる。体験としては得難いが、ハイレベル英語のトレーニングプログラムになっているわけではない。

テネシー工科大学のプログラムは、UCサンタバーバラとは違い、ホームステイがベース。また、テネシー工科大学が外国人向けにすでに作られたプログラムにジョイントする形。スペインやアジアからの多くの学生といっしょに学んだ。米国の大学に入るために外国の大学生が学びに来ているぐらいハイレベルで、一般的なサマーキャンプのようなプログラムではない。

両プログラムの共通点は、とにかくディス化ション中心で、アクティビティが充実していたことである。米国の学習理論は、基本アクションパースペックティブがベースだから、ディスカッションと学んで考えたことは外に出て使ってみるというエクスパンティブ学習が必ず組み合わさっている。

現地校の3ヶ月留学も同様なのだが、現地の高校生の生活に合わせるわけだから、同じ3ヶ月でも、八雲学園のようにハイレベル英語のトレーニングに集中できるわけではない。当然、密度の違いがでる。榑松先生が独自プログラムを3ヶ月に採用した理由はその違いにあるということだ。

気づき

次に、その教育システムを通して気づいたことを議論してプレゼンしてもらった。

UCサンタバーバラの生徒は、英語やチーム活動には慣れているはずだったが、最初はやはりシャイだったし、失敗をおそれたという。しかし、“Out going”の重要性をトレーニングされてから、オープンマインドになり、アクティビティでは、失敗を恐れる必要はないことを学んだという。

テネシー工科大学の生徒は、世界は一つであることをしみじみ感じたと。もちろん、オープンマインドになり、ありのままになるチャンレジは、勇気のいることだったということだ。

そして未来へ

多くの気づきがあったのだから、それを未来につなげるのが“Out going”であるからと今後について議論もしてくれた。

両プログラムの共通していることは、留学前に、すでに日本文化を学ぶことの重要性や2020年の東京オリンピック・パラリンピックで貢献しようということなどは、頭の中では知っていたが、それが自分事として実感でき、ミッションとして結実したという点が大きな飛躍だというプレゼンとなったことである。

パーソナルな体験が、客観的な知識を、パブリックなコミットメントに転換できたというすばらしい体験を語ってくれたののには、感動以上の言葉では表現できない大きな何かをズッシリ投げかけれたような気がした。

“Get the chance!!  and・・・”

榑松先生と近藤先生は、彼女たちのプレゼンに対し、多くを語らず、“Get the chance!!  and・・・”という言葉を贈った。八雲の教師は、生徒が今の自分を変え、未来に大きな人間に育つためのチャンスを世界を経巡って探してくる騎士だったのである。

実は、榑松先生も近藤先生も、3ヶ月の間何度もプログラムのメンテナスのために渡米したし、スカイプで毎夜連絡をとりあい、悩みに耳を傾けエールを贈り続けた。その思い出が、生徒の脳裏をよぎり、思わず感謝の言葉を先生方に贈ることになった。

その後のお2人の先生方の表情は、もはや説明するまでもないだろう。

世界の人と信頼関係を築けるのは、実は留学プログラムの精度の高さもあるが、まずは八雲学園のように教師と生徒が信頼関係を日ごろから築けているかどうかにかかっていたのである。結局、重要な根本問題は、幸せの青い鳥だったのである。

 

 

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