アサンプション国際小学校 先鋭的「カリマネ×PBL」研修

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今年4月、アサンプション国際小学校は、校名変更、共学化、21世紀型教育改革を断行し、多くの保護者に注目された。準備段階から、PBL(Project based Learning)や英語イマージョンの授業を公開。
 
ミレニアル世代とかデジタル世代などと呼ばれる時代に育った保護者に、共感共鳴共振の輪を広めた。こうした共感を生み出す一つの大きな理由は、教師一丸となって事あるごとに実施した内製的研修の確立にある。by 本間 勇人 私立学校研究家
 
 
その内製的研修の確立によって、同校の教師の教育活動そのものがPBLになっている。「授業をつくる→おこなう→かたりあい→ふりかえり→つくりなおす」というサイクルがこまめに回転しているのだ。
 
しかも、このサイクルはある程度安定感もでてきている。それは教師1人1台タブレットを活用しているために、わからないことを調べるだけではなく、情報や資料、データを瞬時にシェアできる仕事の流儀が形成されているということも示唆している。
 
しかしながら、今夏の研修では、このサイクルの安定感で満足せず、それをさらにカリキュラムマネジメント(カリマネ)というシステムにいかに進化させ、21世紀型教育とかPBLとか、つまり教育の質や授業の質を常に向上する態勢の持続可能性を追究した。
 
このような真摯な教育の質の向上への構えは、たしかに保護者と信頼関係の絆を強めていく重要な要素だ。しかし、このような真面目な姿勢が共感の輪を広めるには好奇心を生み出す<遊び>も必要だ。
 
児童生徒の好奇心に満ちた学校であるからこそ、保護者もワクワクする。自分の子が真剣に取り組み、達成したときに表現する満面の笑顔のイメージを共有できる学校こそ、安心して通わせることができる。
 
すなわち、カリマネの柱には、学校の理念とそれを実現するPBLやカリキュラムを貫く学びの基準(ルーブリックとか思考コードとか呼ばれている)を創り出すことに加え、Growth Mindsetのシステムが必要だ。
 
 
(ネイティブスピーカーの教員も参加。通訳する国語の日本人教師もいるというまさにグローバル教育推進学校の面目躍如。また、ネイティブスピーカーの教員自身も、日本語の音声や文字を翻訳ソフトで英語に変換しながら参加してもいる。)
 
見たこともないない未知なるXに対し好奇心をもって向き合い、まずは飛び込んでみようという勇気と仲間と協力する力を発揮して失敗しても挑戦するやりきる信念を内側から燃やせるGrowth Mindsetはいかにしたら可能か?今夏の研修では、PBLのもう一つの側面であるPlayful Learningの手法も活用して実施した。
 
最初、何気ない<対話>から始まった。このような研修では、頭も使うし、身体も使うから、チョコレートやせんべいなども用意する。授業とか研修で不真面目なと思われるかもしれないが、まさに<いつもとは違う>状況を設定しておくこともアサンプション国際小学校だからできるオープンな雰囲気。
 
 
それから、今夏はTinkering(実際に触って試してみる)手法も取り入れたために、レゴも用意された。レゴは思いを形にするだけではなく、つくっているうちに思いが生まれてくる体験をするのに最適な道具である。
 
その<対話>は、好きなお菓子を1つ手に取って、開封して、なぜそれを選んだのか1人30秒で表現するところから始まった。話す側聴く側をきちんと分けて30秒ずつ話したり聞いたり、その役割を交代して行っていく。
 
30秒というのは短いようだが、自分の感じたことや考えたことが相手に伝わるにはどうしたらよいのか、回数を重ねるごとに創意工夫が湧いてくる。もちろん、何事も始まりは緊張をほぐすことから、ここにすでにGrowth Mindsetの仕掛けが埋め込まれていた。
 
 
次にもう一方の手にレゴをワンピース取り、お菓子とレゴのピースにはどんな関係があるのか<対話>した。一見何の関係ないものどうしに関係を見つける。それは実際に手に取ったのだから、何か自分のうちに関心があったからだが、それを目の前のモノに結び付けて表現する。なんとなく手にとったとしても、その無意識を探る自分という未知なるXに遭遇する瞬間でもある。
 
180分の時間のうちわずか2分間のプログラム。このわずか1%の瞬間に種ができるのもアサンプション国際小学校の特徴だ。
 
 
そして、次に少し発芽の時間をつくる。マインドマップを<いつもとは違う>使い方をするところからはじめる。マインドマップを描くという意味では、「つくる→かたる」アクションが起こる。そして、描いたあと、各チームのプレゼンテーションを共有し、もう一度自分のチームのマインドマップをつくりなおす。つまり、「つくる→かたる→シェア→ふりかり」というサイクルを回していく。
 
そして、つくったマインドマップからさらにそれらを統合するキーワードを生み出す。ここでも「つくる→かたる」ことになる。そして、プレゼンとなるのだが、このときすぐに言語化するのではなく、そのキーワードにこめられた思いをレゴで表現するというプログラムが行われた。
 
 
統合というメタ認知の言語化をモノで可視化するという置換スキルを活用。「マインドマップをつくる→かたる→レゴでメタ次元にシフト→つくる→かたる→共有→ふりかえる」というサイクルが次元を上げ、トルネードが巻き上がる仕掛けになっている。Growth Mindsetの可視化といってもよいかもしれない。
 
 
要するに<発芽>したのである。そのあと休憩を5分とり、カリマネの作り方実習にはいった。ここは企業秘密だから詳しくは論じられないが、すでにカリキュラムのコンテンツは作成されていたので、それにHOWの項目を重ねていく作業にすぐに進めた。
 
 
HOWとかスキルというものは、暗黙知としてあるものだから、いざ項目として表現しようとするとなかなか難しい。そこで、<即興的に>(ワークショップ型研修では予定にないプログラムを即興的に挿入することが活性化のポイントでもある)、小学校6年生が「要約」の学びをするときに、アサンプションの児童生徒はどのように要約していくのか、そのときのHOWとかスキルをレゴで表現してみようということになった。
 
ここでも、「マインドマップをつくる→かたる→レゴでメタ次元にシフト→つくる→かたる→共有→ふりかえる」というサイクルが展開。集中と俯瞰とマインドマップとレゴで上昇気流をつくるドラゴンを生み出し、教師全員がドラゴンに乗って新たな領域に飛び立つ研修となった。
 
 
(教育の論理と経営の倫理の相乗効果を生み出す組織作りの達人武井明比古校長。アサンプション国際小学校の教員組織をかくのごとき学習する組織に仕上げている。)
 
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