第19回21会定例会開催「2015年度の21会進化」

4月27日(月)、21会校かえつ有明で、第19回21会定例会が開催された。テーマは「2015年度の21会進化~21世紀型教育の創出から牽引へパラダイムシフト」。急速に変化する時代とニーズとそれを生み出す21世紀型教育の精神。21世紀型スキルと21世紀型教育の根源的パラダイムの統合をいかに形成していくか議論され、21世紀型教育の市場を牽引していくビジョンをシェアした。by 本間勇人 私立学校研究家

「2015年度の21会進化~21世紀型教育の創出から牽引へパラダイムシフト」 
 
はじめに)挨拶 石川一郎先生
1)新たな21世紀型教育 大橋清貫先生
2)5月29日第4回21会カンファレンスについて 高橋一也先生×本橋真紀子先生
3)今後の21会進撃セミナーについて(議論)
4)JOBA
・胡氏 「中国の留学生」受け入れ協力のお願い
・渋谷氏 JOBA帰国生関連の新企画提案
5)21会ビジョン 渡辺眞人先生×高橋博先生

今年4月、会場校かえつ有明の新校長に就任した石川一郎先生は、2015年入試は、これまで21会各校が協調しながら実践を積み上げてきた教育活動が認知され、支持者も広まったことを確認した。そして、21会も含む21世紀型教育の規模は受験市場ばかりではなく、OECD/PISAやグローバルなICT企業も参画し、急激に拡大し始めたことの光と影を見据えるコトを説いた。

また、たしかに、市場における拡大は目覚ましいが、市場を支えている本当のプレイヤーである受験生の保護者と学校の意識にはギャップが明快に現れてきたことは、市場の均衡が21世紀型教育スクールに偏り、明治維新以降時代を支えてきた私学の精神を瓦解させる恐れもある。それゆえ、石川先生は、21会が21世紀型教育市場を牽引し、多くの私立学校と≪私学の系譜≫の不易流行を貫いていこうという決意表明がなされた。

21会の名を一気に市場に認知させた評判の学校は、何といっても三田国際学園。学園長の大橋清貫先生は、昨年あたりから本格的に情報をリリースしてきた文科省の政策は、ある意味世界同時グローバル教育のトレンドであり、私学のように教育の“Soul”を不易流行という精神として継承していくわけではないから、翻弄されないことが重要であると、21世紀型教育に取り組む21会校の根源的構えをスピーチし、共有した。

21会校が想定する21世紀型教育の概要は上記の図であり、21会校が独自の方法論ではあるが、実現する努力をしている。オールイングリッシュやAI(人工知能)ベースの思考/知のコードはまだ課題もあるが、取り組んでいる21会校も出現してきている。

これだけの内容を充実しないと、世界のグローバルリーダー教育を実践している中高と対等に学びの交流ができないと考えているのが21会校である。フェイクではなくオーセンティックな21世紀型教育の実践と探求の道はなかなか険しいがワクワクするようなスリリングな道でもある。

子どもたちといっしょに駆け抜けていこうと本物21世紀型教育の実現の宣言が大橋先生によって高らかに謳われた。

石川先生、大橋先生の語る21世紀型教育のバージョンアップを実現するには、結局のところ勇気ある高邁精神をもった教師が必要であり、かつスキルの熟達に日々精進する教師=スーパーグローバルティーチャー(SGT)の存在こそが重要である。

そこで、21会教育総合研究所所長の高橋一也先生(工学院)と21会思考力センター長の本橋真紀子先生(聖学院)は、子どもが探求に目を輝かせる授業のデザイン、知の楽しさを体験できる授業をデザインするスキルの熟達をシェアするワークショップを展開していく提案をされた。第4回21会カンファレンスは、21会会員校のみが対象である。

オーセンティックな21世紀型教育の実現の活動は、結局21会校のSGT教師のネットワークの拡大と深化が確かなものにしていくだろう。一般に教師が連携するのは、学内だけでも難しいのに、それを学内外に広め、バリアを突破していくことができれば、それ自体が受験生や保護者にとって期待できる魅力的な学校像だろう。

第5回21会カンファレンスは、受験生及び保護者が対象。基本コンセプトは上記の図のようになったが、表現についてはもう少しわかりやすくなると思う。あくまでまだたたき台レベルであるが、5月29日の21会SGTのワークショップのあとも、SGTのネットワークを広めていく。その活動は、はじめチョロチョロ中パッパのリズムで一気呵成に10月25日につながるだろう。「2015年21会ストーリー」について、参加者は大いに議論したのだった。

21会定例会では、必ずワークショップがはいる。参加者は、ふだんPBL型のアクティブラーニングをファシリテートしているために、議論の重要性と創造のトポスを大切にしているのである。もちろん、各チームで話し合った後は、どんな内容を議論したのかリフレクションし、シェアを行う。

海外・帰国子女教育専門機関JOBAの胡悦超氏からは、中国の留学生の受け入れの提案がなされた。21会校は、学びの環境自体もダイバーシティである必要がある。世界のグローバル学習の前提が現実の世界から出発してそこから新たな問いを見出し、問いの重要性をパーソナルな体験と公共的な場の両方に結び付けて深めていく。

世界は放っておいてもダイバーシティに直面しているが、日本社会は仕掛けなければ環境をつくることができない。そこで海外の留学生とコラボすることは重要である。今回の胡氏のアイデアは、経済原理ではなく、才能ある中国の生徒の学びの環境の不足という問題が横たわっている。そこへの協力にもなるし、学校としてダイバーシティの環境も整えられるから、シナジー効果ありであろう。

また同社渋谷毅氏からは、帰国生や米国の大学との連携の強化プランについて提案があった。留学生、帰国生、グローバル大学とのジョイントは21会の学びの環境になくてはならない大切なアイデアである。21会では、UCLとの連携を始めているが、英国と米国では大学入学準備教育のプロセスや発想が違うので、両方の情報を収取しておく必要がある。生徒の選択の道を準備するためにも、このようなアイデアがどんどん湧いてくることは歓迎である。

今年の3月で共立女子の校長任期全うした渡辺眞人先生(21会顧問)が、今回の定例会を通して、21会ビジョンの振り返りを行った。学校の入り口、教育の過程、出口のそれぞれのポリシーに根源的な精神が染み渡るリベラルアーツという不易基盤の重要性を確認した。

最後に聖パウロの学園長高橋博先生(21会副会長)は、目先の利益も重視しながら、子どもの未来が幸せな時代になるための理想の教育を共に実践し、この21会だけではなく、日本に世界に広めていこうという想いを共有。そして、その想いをかえつ有明の教頭前島正秀先生の音頭で一本締めにこめて閉会した。

 

Tags: 
Twitter icon
Facebook icon