スーパーグローバルハイスクール(SGH)として指定を受けた佼成学園女子が、グローバル教育を重視した今年度の新たな取り組みについていよいよその全貌を明らかにする。塾関係者対象に行われた説明会を取材した。by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家
説明会の冒頭で教頭の江川先生は、新しい佼成女子について「”英語の佼成”は”グローバルの佼成”に」というキャッチフレーズで端的に表現した。毎年のように英検1級合格者を輩出する佼成女子英語教育への揺るぎない自信の表れである。
当然ながら英語教育の力を緩めるわけではない。それどころか、さらにパワーアップをすることになる。それは、特進文理コースに新設されるスーパーグローバルクラスで実施される「特設英語」の目標にも顕著に表れている。これまで全員が受験できることがメリットである英検を前面に押し出していた佼成女子が、「特設英語」ではTOEFLやIELTSの目標スコアを掲げてきたのだ。スーパーグローバルクラスで一つの進路先として謳っている海外大学を目指すのであれば、取得が必要となる英語の試験がTOEFLであり、IELTSであるから目標設定としては当然ではある。この目標を達成するために、エッセイライティング指導などを盛り込みながら、コミュニケーション・プレゼンテーションをより重視した指導が行われるということだ。
もちろん英語教育はグローバル人材育成の一つの領域に過ぎない。右上のスライドの4つの象限に示されているように、「異文化理解」「国際文化」「キャリアプランニング」が相互に関連し合いながら、「グローバル人材に必要な知的基盤」が醸成されることになる。
もともと佼成女子の設立理念には「国際社会で平和に貢献する人材育成」が掲げられており、グローバル教育についてはSGHに指定される以前から遥かに先を進んでいたのであるが、それが今回のSGHの指定を受けてより鮮明になったのである。
佼成女子の場合、リソースはたくさんある。イマージョン教育や学校全員で取り組む「英検まつり」、ニュージーランドへの修学旅行や中期留学、留学コースでは1年間のニュージーランド長期留学など・・・。ニュージーランドとの親交は特に深く、2010年には首相が学校を訪問しにきたほどである。
さらにロンドン大学SOAS校との提携や、今回のスーパーグローバルクラス、と驚くほど多様なグローバル教育のリソースを持っている。
これらのリソースが、「グローバルの佼成」というキャッチフレーズのもとで結合しようとしているのだ。この結合の仕方にこそ、21世紀型教育を実践する佼成女子の真価が発揮されるであろう。
2014年の佼成女子のイノベイティブな動きにますます期待したい。