21会校情報

戸板 カリキュラムイノベーションへ (1)

戸板中学校・戸板女子高等学校(以降「戸板」)は、来春4月から高校1年生からスーパーイングリッシュコース、スーパーサイエンスコースを開設。同時に、そのハイレベルのコースにつながるように、中1から「レディネス」を開始する。

そのためのプランは、カリキュラム全体の再設計という営みに凝集する。4月から、教師一丸となって、カリキュラムのデザインに取り組み、コンセプト段階から一歩進んで、具体的な設計の見通しが立ったという。進化する戸板のエンジンともいえるカリキュラム設計についてインタビューした。(by 本間勇人:私立学校研究家)

※左から原田啓志先生(進路・学習指導部)、大橋清貫先生(教育監修理事)、今井誠先生(入試広報部部長)

工学院 科学の目が輝く授業(3)

工学院の教育バージョンアップへの意志は、工学院大学学園125周年記念で根岸博士が講演したとき決定的だった。博士は、工学院の中高生に「誰にでも、夢を追い続ける素質と資格がある」とエールを贈った。ノーベル賞受賞の確率は1000万分の1だが、10の7乗分の1だと置き換えれば、「10分の1の選抜を7段階通過すればよい」のだから、現実味のある夢だろうと。

「誰にでも」可能性が開かれているという発想こそ、科学学校としての工学院の根源的存在理由である。さらに、根岸博士は、夢を見つけたら、とことん追求すべきで、そうしていくとやがて舞台は世界につながると語った。

つまり、「競争の場を世界に求めて、学ぶための師も世界単位で探し、自立心と協調性を常に持ちながら、チャレンジしてください」と。この時から平方校長にバトンはひきつがれ、先生方と一丸となって、工学院附属中高のビジョンの確認とその実現のためのバージョンアップの取り組みが始まった。理科教室から科学教室へのバージョンアップもその流れであるのは言うまでもない。

工学院 科学の目が輝く授業(2)

工学院主催の10000人「科学教室」の意義は、そのスケールメリットという点からして、他の理科実験教室を圧倒する大きな意味がある。というのも20世紀における日本の理科教育は専門家とその卵のための教育という固定観念があった。それゆえ、巷で行われている理科実験教室というのは、専門家やその卵向けという傾向が強い。

ところが21世紀になって、日本の科学教育にも「科学コミュニケーション」なる考え方が導入されるようになった。これはすでに欧米では20世紀から行われてきたことであるが、近代化は議会制度や民主主義の原理によってばかりではなく、科学革命によって広まり加速した。それゆえ、科学の主体は専門家ばかりではなく、市民全体に理解されるものでなければならなかった。科学コミュニケーションというパフォーマンスは、科学の最前線を小学生や市民に理解可能なデモンストレーションをするという意味があったのである。

工学院の科学教室は20年前から行われているから、すでにこの科学コミュニケーションの意味をいち早くコミットメントしていたことになる。工手学校として出発した近代市民のための科学学校の面目躍如であろう。

 

工学院 科学の目が輝く授業(1)

テクノロジーとマーケティング、コラボレーションの総合力が、2025年以降の世界の新しい仕事を創り出すと言われている。この2つの力を表現するときに世界共通言語として英語を学ばざるを得ない。イノベーション教育とグローバル教育、そしてその根底にリベラルアーツ。

これが正しいグローバル人材育成の世界共通のビジョンである。しかし、現状の教育で、テクノロジーという意味でのイノベーション教育を中等教育段階で十分に行うことは難しい。米国でも、2015年までにオバマ政権は教育政策の一環として3Dコピー機まで備えたメイカーズスペースを1000校につくる構想を進めているぐらいだ。きちんとプランを立てなければ実行できないビジョンなのである。

ところが、工学院は、明治開校以来、テクノロジーの才能を専門に育成する教育機関であり、その伝統は今も脈々と続いている。自前でそのプランを実行できる稀有な教育機関である。

テクノロジーはスキルの側面のみならず科学的なものの見方や考え方も共にするものであるが、そのリベラルアーツ的側面を切り取って、近代は暴走してきた経緯も記憶に新しい。

そこで、昨年125周年を迎えた工学院は、自然と社会と精神の循環をベースにしたテクノロジー教育を展開することを改めて確認し、10000人規模の参加者が集まる「理科教室」を「科学教室」という名称に変えて、そのビジョンを子どもたちと共有するイベントを開催した。(by 本間勇人:私立学校研究家)

21会の近況ダイジェスト 時代の要請に耳を傾けて(2)

21会の「学習理論部会」と「思考力テスト部会」は、哲学授業に挑戦したり、思考力セミナーを実施したり、思考力リサーチを行ったりしている。グローバル教育部会のIBやAレベルの情報、独自にリサーチしたMITメディアラボやハーバード大学の授業理論、ACT21sの21世紀型スキルなどについてもリサーチ。

各メンバーの多くはこの夏イギリス、フランス、ニュージーランド、東アジア、オーストラリアなどにも視察。また日本語IBのためのIB教師研修にも参加。実際に海外の大学に対応できる授業やテスト、評価などシラバス・イノベーションを着々と準備している。イノベーション教育とは、タブレットを活用するだけではなく、シラバスそのもののイノベーションというソフトパワーを前提にしているのが21会校の先生方。(by 本間勇人:私立学校研究家)

 

21会の授業 考える共同体

21会の授業について、先生方はそれぞれリサーチし実践をしているが話題に出るのは、次のような本である。

21会の近況ダイジェスト 時代の要請に耳を傾けて(1)

今年5月31日、21会は第1回カンファレンスを開催。昨今は、グローバル人材育成競争に対応する様々な教育論争や政策論議が一段と喧しい。それら議論は言うまでもなく、玉石混交であるから、私立学校の時代の役割とコミットメントを大前提とすることをまず確認した。

そして、グローバル教育とイノベーション教育、そしてリベラルアーツを≪GIL≫と呼び、私立学校の独自でいながら世界標準を創り出せるような最先端のGIL教育を開発・実施していくことを宣言した。グローバリゼーションは一方で、時空を超える異次元的ともいうべきスピードで変化するため、目先の目的合理主義に陥りがちである。しかし、もう一方で、地球市民として全休的リーダーを育成する時代の要請の声も大きくなっている。

それゆえ、21会校は、教育改革幻想や学力幻想に右顧左眄せずに、世界の子どもたちの大切な人間の根っこを大切にする教育活動を常にリフレクション(反照)しながら、最適な≪GIL≫教育を切磋琢磨している。その21会校の近況活動をご紹介する。(by 本間勇人:私立学校研究家)

工学院 メディアリテラシーは自分と世界と未来を創る(3)

工学院の図書館は、教科横断的な知の拠点であると思ってきたが、それはまったく表層的な理解であると思うに至った。学校図書館は、日向先生の語るように、独自の情報総合発信基地であり、司書教諭は、この基地を図書委員とコラボして運営する。

さらに、彼らといっしょに、学内のみならず地域の子どもたち1人ひとりにワクワクするような情報をシェアしていくのである。それは有山先生のように専任の司書教諭だから思う存分できるという工学院の教育ビジョンでもあるが、たしかに有山先生は同校の思考システムのプロデューサーの1人なのであると実感。

工学院 メディアリテラシーは自分と世界と未来を創る(2)

工学院の図書委員たちは、本の貸出返却情報、入館率などのデータベースを編集しながら、どうしたら本好きの生徒が増えるのか、図書館のアピールのために、図書館の環境を整備したり、空気をデザインする。学校図書館という空間がプレイフルになるようにプロデュースする。都留文科大学の学生の皆さんもその空間デザインの幾つかを体験。

工学院 メディアリテラシーは自分と世界と未来を創る(1)

来年度から、工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)は、グローバル教育、イノベーション教育のバージョンアップを図る。その準備が着々と進んでいるが、注目したいのは、どこまで教育活動の質と活力を高められるかは、すべての教育活動に共通する思考システムのでき如何であるとし、その思考システムの開発に取り組んでいるところである。

その思考システムの開発に大きな影響を与えている活動の一つに「環境工学」がある。この活動のリーダーの島田教頭の授業は、本サイトでもすでに掲載している。今回は、工学院の思考システムに影響を与えている教育環境である同校の図書館の意味について、司書教諭有山裕美子先生にお聴きした。(by 本間勇人:私立学校研究家)

富士見丘 本物のグローバル教育をゆく (5)

昨年末、オーストラリアとイギリスに3ヶ月留学体験してきた生徒が、その体験についてメディアの取材を受けているところに居合わせた。昨年会った時から半年ちょっとしか経っていなかったが、その成長ぶりは確かであった。

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