八雲学園の感性教育(2)
八雲の体育祭は、「感覚―something―表現」のパフォーマンスを支えないがら生み出している芸術祭。しかも、ここには勝者を祝う一方ですべての生徒が楽しむという軸がもう一つある。
八雲の体育祭は、「感覚―something―表現」のパフォーマンスを支えないがら生み出している芸術祭。しかも、ここには勝者を祝う一方ですべての生徒が楽しむという軸がもう一つある。
八雲学園(以降「八雲」)の体育祭は運動会ではない。芸術祭である。たしかにスポーツやダンスが目白押しであるが、それはミュージカルさながらの舞台であり、自分を表現し、友達と楽しむシーンを創り出す芸術の場である。舞台は、それを運営するプロデューサー、演出家、監督、舞台運営、デザイナーなど多様な人々によって、組織的にクリエイティブに創造されるアートパフォーマンス。
八雲学園の体育際でも、生徒は俳優になり、演出家になり、サポーターにもなるという、マルチロールプレイヤー。八雲の感性教育を体験した。(by 本間勇人:私立学校研究家)
東京女子学園のICTを活用した授業は、英語を中心にかなり進んでいる。しかし、教育におけるイノベーションの面目躍如といえば、カリキュラムそのものの革新、つまりカリキュラムイノベーションである。
カリキュラムイノベーションなきICT教育は、結局ハードパワーベースの教育で、子どもたちのデザイン思考や創造力を引き出すことは難しいだろう。同学園の創意工夫に富んだカリキュラムイノベーションの先進性について取材した。
東京女子学園の21世紀型教育は、学校とグローバルIT企業がコラボする21世紀スキルの世界的な運動が起こる前に、ユネスコという世界の子どもたちの未来に備える「新しい教養」から生まれている。
もちろん、タブレットは生徒全員が活用しているから、後発の21世紀スキルの運動と重なるところもあるが、視野の広さと奥行きの深さが、違う。21世紀スキル運動がともすれば、グローバル経済に偏りがちなのに対し、東京女子学園は、グローバリゼーションの光と影の両方を前提として、より善い社会を作るキャリアデザインの教育を積み上げてきた。
東京女子学園は、ベルリンの壁が崩壊した直後から、時代の要請に耳を傾け、ビジョンを描き、21世紀型教育を積み上げてきた。
創立以来110年、近代日本国家成立の歴史とともに歩んできた。そして、時代の声を聴きながら建学の精神を不易流行しながら独自の教育を創ってきた。グローバル人材育成時代が本格化する今、東京女子学園の教育の手ごたえについて、理事長校長實吉幹夫先生に聞いた。(by 本間勇人:私立学校研究家)
右から實吉幹夫先生(東京女子学園理事長・校長)、辰巳順子先生(校長補佐 広報室室長)
富士見丘は、1週間の間に2つの貴重な対話ワークショップを行った。1つは、国際理解教育・国際交流担当アドバイザーの吉田成利先生の『海外留学への道』と題する講演。もう1つは、建築家関本竜太氏(リオタデザイン代表取締役・一級建築士・日本大学講師)による講演『町の中のデザイン』。
どちらも、テーマは違っているが、対話型の講演であるし、その対話のシークエンスが似ている。体験から始まって重要な気づきに昇華し、最後に興味と関心を喚起された生徒が質問に講師を囲むのである。富士見丘の知の形勢過程を追ってみた。(by 本間勇人:私立学校研究家)
9月14日(土)、文化学園大学杉並中学・高等学校(以降「文化学園大学杉並」)は中学校説明会を開催。思考力型テストである「難進グローバル入試」のサンプル問題を初公開した。21会校の中でも、先んじて海外大学直結のグローバルカリキュラムを構築した同学園は、21会校の特徴である思考力型の入試問題も完成。
文化学園大学杉並の思考力型テストを分析してみたが、なるほどグローバルスタンダードを意識して作成された問題だった。(by 本間勇人:私立学校研究家)
9月13日、第14回21会を文化学園大学杉並で開催。
工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)は、グローバル教育、イノベーション教育、リベラルアーツを掲げて、今まで積み上げてきた工学院の教育の質をグローバル人材育成の教育に広め浸透するバージョンアップに挑戦している。
この夏、日本語IB(国際バカロレア)のための教員研修(IB ASIA PACIFIC REGIONAL WORKSHOPS)に参加した英語科主任の道家先生に、カリキュラムイノベーションの方向性を聞いた。(by 本間勇人:私立学校研究家)
戸板のカリキュラムイノベーションの特徴は、学習目標を大項目・中項目・小項目・・・とできる限りいったん要素に分解し、今度は逆に要素と要素の関係を生み出すいわば機能的構成主義の方法論で組み立てられている。教育学では、機能主義と構成主義のカリキュラムデザインは、対立してきたのだが、戸板では統合したということではないか。
その統合の仕方は、1つはグループ学習及びプレゼンテーションという相互通行型の授業スタイルの導入によって果たされ、さらに何を議論し合うのかトリガークエスチョンまで形式知化するというナレッジマネジメントの手法によって、知識やものの見方の結びつきが拡張し深化するようになっている。
今回のカリキュラムの再構築は、改訂次元ではなく、たしかに大転換ともいうべき事態であることは、作成途中の大量なマトリクス表を拝見して、実感した。