Created on 6月 16, 2014
文化学園大学杉並の教育の質は、全国にその名を轟かせるファッション・ショーや、文化部・運動部の全国大会レベルの活躍に表れている。「感動」をキーワードに、狭い意味での知性にとどまらず、身体的・運動的な能力、あるいは空間デザインにまつわる感性をも磨く文杉の21世紀型教育は、2015年度に開設を予定されているダブルディプロマ取得のコースによって、桁外れの卓越性を発揮することになりそうだ。オープンスクールでの様子からその一端をお伝えする。 by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家
文杉のオープンスクールは、実際の学校生活をシミュレートする形態で進められた。ホームルームの時間は学校説明会、1時限目は5教科授業の体験、2時限目は実技教科の授業体験、さらに3時限目が部活動体験という構成になっていて、文杉で育まれる知性や感性の広がりが時間割上に表現されている。多様な活動の場を通して一人一人の個性が発揮される環境なのである。
ホームルーム(=全体説明会)は、校長の松谷茂先生の話でスタート。文杉の目指す「感動の教育」と新しい取り組みについて触れられた。
文杉では今年度からグローバルコースの生徒全員がタブレット端末を持ち、校内は無線LANでつながっている。また、全教室に電子黒板を導入するなど、ICTが充実。
さらに、来年度からスタートするダブルディプロマ取得を目指すコースでは、高校生を対象に数学や理科などの教科もオールイングリッシュで授業が進められる。カナダでの5週間のホームステイを除き、ほとんど日本にいながらにして、カナダの高校卒業資格と日本の高校卒業資格の両方を手にすることができるようになる画期的なプログラムである。
こういった新しい取り組みを説明する一方で松谷校長先生は、日本語で身につける教養の重要性についても強調した。特に中学生時代を日本語によって感性を磨く時期として位置づけ、自立した女性を育成するという女子教育の基本を語った。価値あるものに取り組み「感動のスパイラル」を生み出す精神は変わらない。
ホームルームに続いて1時限目は5教科の授業体験。国語・数学・社会・理科・英語からどれか一つを選択して受講する。
理科では、まずは喉を潤しましょうとサイダーが配られ、その後、今飲んだサイダーの炭酸はどんな気体なのかを確かめる実験が行われた。
最初は緊張気味だった受験生も、在校生の優しいサポートでだんだん打ち解けてくる。
あらゆる場面で、先生と在校生の信頼関係が分かる。授業中に先生がボケ役で、生徒がツッコミ役をするなどというのも、普段から良好なコミュニケーションが行われている証である。
英語の授業では、ハワイに旅行に行くという設定で、両替をしたり飛行機の機内で映画を見たりという状況をシミュレーション。その中で触れる英語表現について学習するという仕掛けであった。
オープンスクールだから特別な授業をしているわけではない。文杉のでは常にこういった工夫を授業に取り入れることになっているのだ。
「わかる授業の徹底」−先生方の努力が生徒にも伝わるので信頼関係が構築されていくのである。