佼成学園女子 乙女祭−パフォーミングアーツの祭典(1)

佼成学園女子が「行事」に力を注ぐのは、つとに知られている。行事を通して一人ひとりの生徒が達成感や仲間との連帯を育むプロセスは佼成学園女子の教育の重要な柱の一つなのだ。9月20日と21日の二日間に渡って行われた「乙女祭」を取材した。 by 鈴木裕之:海外帰国生教育研究家

乙女祭のパンフレットを開き、イベントのタイムテーブルを確認すると驚く。何しろグラウンドステージと講堂は、ダンスや演劇、ミュージカル、合唱、バトン、軽音楽、吹奏楽、書道パフォーマンス……。ほとんどすべてパフォーミングアーツで埋め尽くされているではないか。

「パフォーミングアーツ」は、演劇やダンス、合唱といった、身体の表現を中心としたアートである。主に視覚的な作品として提示される「ファインアーツ」とともに、欧米の学校では普通にカリキュラムに組み込まれている。

踊ることは、仲間と心を通わせ一体感を味わうことである。そして、身体による創造的な自己の表現活動でもある。何より、この日の発表のために生徒同士で話し合い、時に対立し、悩み、そしてそれを克服したプロセスが生徒たちの胸に刻まれているのだ。

観客は、目の前に繰り広げられるダンスや演劇などを技術的な成果物として眺めるのではない。子どもたちの成長の跡を確認し、それに感動するのである。

生徒たちは、大勢の人の前で発表するという「晴れの舞台」に向けて準備をするなかで、コミュニケーション能力や自己表現力を身につけていく。それは、人間の全体性につながる学びであるがゆえに、生徒の内面に結晶化し、自己肯定感につながっていくのだ。

ここに佼成女子が行事を重視する理由がある。

人間関係を重視し心を鍛えることが、建学の精神である「国際社会の平和に貢献できる女性」の基層をなしているのである。

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