順天 SGHクラス≪GLAP≫始まる(2)

土曜日は、SGHの≪GLAP≫ユニットだけではなく、全学年が、多様な学びの体験をしている。ある中学生のチームは、博報財団とコラボレーションして、海外の生徒に日本語を教えながら、原宿などを案内する準備をしていた。

講師の先生から外国の生徒にわかりやすく日本語を使うにはどうするか、細かい質問がでると、生徒はペアになって話し合いながら、考えた。SGHは高校の教育課程の開発が目的であるが、このプログラムは、中学の段階で順天のSGHの3つの研究課題を含んでいるように見えた。

取材の案内をしてくださっていた片倉副校長は、こう語る。

「このような国際交流は、中高レベル1学校でできるものではありません。博報財団のような外部機関とのネットワークを組んでいくことは、SGHで取り組む要件の1つでもあります。グローバルリーダーを育てるとなれば多様な機関と連携する活動は欠かせません。

このプログラムの海外参加校は8ヵ国8校。イギリス、インド、タイ、ハンガリー、ブラジル、ベトナム、モンゴル、ルーマニアといったところですね。32名もの生徒と交流します。

私たちの生徒が英語を学ぶのが目的ではなく、英語も使いながら、日本語を海外の参加者に知ってもらう、それを通してお互いの文化を理解していくという国際交流の1つです。国や政治における国際交流は言うまでもなく重要ですが、このようなボランタリーな教育交流は大切です。

順天の生徒にとっても学びの成果は大きいですが、それ以上に交流した生徒が帰国後、日本のプレゼンスを上げてくれます。海外との信頼関係は、このような小さな交流の積み重ねが欠かせません。」

SGH指定校の前から行われているという説明を聞いて、先月30日開催された第2回21会カンファレンスで長塚校長が、講演された内容を想起した。

「もともと順天学園の教育方針には、進学教育、国際教育そして福祉教育という3本の柱がある。その柱にそって、多様な国際交流を行ってきました。しかも、歴史的には1964年から実施してきているのです。その持続的な活動によって、最近では、それぞれのプログラムに参加する数がかなりのものになってきています。

何といっても海外から留学や交流しに訪れる生徒や教師の数も増えてきました。今回SGH指定校の機会を頂いたので、今までの多様なプログラムをさらに統合し、やがては在校生全体に浸透させたいし、そのときには、どの生徒もいろいろな場面で英語を使ってコミュニケーションをしているでしょう。」

数学の教師であり、かつてイギリスでも生活されていた国際部長の中原先生は、本校が積み上げてきた暗黙知としてのグローバル教育のプログラムをSGH指定校という機会に、形にし、同時に発展進化していけると。どのくらい国際交流のプログラムがあるのですかと質問すると、

「国際性を高める取り組みだけでも、いろいろなタイプがあります。相互訪問交流、生徒文化交流、教員研修交流など実施しています。交換留学というくくり方でみると、長期受入、長期派遣という両方をやっています。海外研修というくくり方にすると、学校交流型、短期留学型、語学研修型、自然探求型、社会探求型などがあります。

これらのプログラムを行うには、当然非営利団体をベースに連携して行っていかねばなりません。たとえば、イギリスのプロジェクトトラストという団体です。ここは、イギリスの高校を卒業した生徒が、ギャップイヤ―を活用して海外ボランティアをする活動を支援する団体です。もう23年おつきあいしています。毎年2人英語の授業のサポートをしに来てくれます。

たった2人と思うかもしれませんが、2人と交流するのは、生徒だけではありません。保護者や地域の方々は、彼女たちに英会話を教えてもらいますから、かなり多くの方々が影響を受けます。もちろん、彼女たちも影響を受けます。日本に再びやってきて日本で生活するイギリス人も出てくる程です。日本の方々も2人をたよってイギリスを訪れることもしています。ほぼ一年間滞在するわけですから、そのネットワークの広さそして大事なのは深さですね。それはかなりのものです。

このような交流は、もしかしたら本当の意味で日本のプレゼンスを高め、互いに尊重し合える関係をきずくことになっているかもしれません。」

現在順天には、フィリピン、アメリカ、スイス、中国、フランス、マレーシア、カンボジア、ベトナム、香港、ドイツ、シンガポール・・・など多くの国に滞在していた帰国生が70名以上もいる。

また長期留学の外国人生徒も6人いるし、今年海外に留学する在校生は12人(今年度1学期まで留学していた生徒が8人・2学期から留学する生徒が4人)。

これ以外に上記のような博報財団主催の交流プログラムや海外研修旅行もある。

つまり、SGH指定校になる前から、すでにグローバル教育の環境が整っていたのである。それが、今回SGHの取り組みで、ネットワーク、スクールワーク、フィールドワークというコアプログラムとしてシステム化されようとしている。

しかも高校からだけではなく、中学からその準備がされているわけだから、ある意味これは、国際バカロレアのMYPとDPの教育に相当するといえるのかもしない。

 

 

 

 

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