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文化学園大学杉並 新しい女子校モデルのインパクト(1)

文化学園大学杉並(文大杉並)は今最も注目すべき女子校の一つです。カナダブリティッシュコロンビア(BC)州のカリキュラムを取り入れたダブルディプロマコース(以下DDコース)は、文大杉並の教育を21世紀型教育の最先端へと連れ出しました。DDコース自体の魅力もさることながら、DDコースでの取り組みが、他のコースの生徒や教職員への大いなる刺激となり、学校全体にその影響が広がっています。BC州カリキュラムの導入を推進した中心人物である青井教頭先生にお話を伺ってきました。(聞き手&編集  鈴木裕之:海外帰国生教育研究家)

 
DDコースが2015年春に本格始動して、2学期が過ぎました。これまでの成果について教えてください。
 
青井先生:
 
当初の予想をはるかに上回る成果で、導入して本当に良かったと思っています。高校のコースではありますが、中学入試をするご父母からの反響も数多くあり、やはりグローバル社会への対応という意味での関心の高さをひしひしと感じています。反響は入学を希望されるご父母からばかりではなく、卒業後の進路先となる大学からも様々なオファーが来ており、驚いています。従来は本校のことをあまりご存知なかったような (笑)有名難関大学がいくつも、推薦枠のお話や入試制度についてのご説明をしてくださるようになっています。一体何があったのかと当惑しているほどです(笑)
 
さらに一番驚いているのは、生徒の変わりようですね。正直に言えば、カナダに5週間のホームステイをする夏までの間は、実際にダブルディプロマコースが機能するのかどうか、生徒自身も不安があったと思うのです。それがカナダから戻って来たあたりから、主体性が俄然変わってきまして、英語はもちろん、日本の教科でもどのコースの生徒よりも高い点を取っています。実力模試の結果などを見ても、クラスの半数の生徒が偏差値70以上を取るなど、めきめき力をつけているのが分かります。生徒がやる気になるとこんなにも力を発揮するのかと本当に驚いています。
 
 
生徒がそんな風に変わるのは、DDコースのどういうところに鍵があるのでしょう。
 
青井先生:
まずは「評価」の仕方ですね。BC州の評価の仕方は、他人と比べる相対評価ではありません。毎回の授業への参加から始まって、レポート・プレゼンテーションや提出物の出来、そして小テストの結果など、本当に細かく毎回の得点を記録し、その積み重ねが自分の到達度となってパーセンテージで示されるものになっています。こういった成果が本人も親もわかるようになっています。ですから定期試験だけではなくふだんの授業も真剣に取り組む必要が出てくるし、努力したことを先生はきちんとフィードバックしてくれるので、それがやる気にもつながっていくわけです。もちろんカナダから本校に来て教えてくれている先生が優秀だということも大きいのでしょうけど、いわゆる形成的評価が生徒の力を引き出しているというのは実感します。プロヴィンシャルテスト(BC州のディプロマ取得のための最終試験)の比重は2割しかなくて、あとの8割はふだんの授業における評価なのです。それで進める大学も変わってくるので、生徒は自然に日々の学習に力が入ってくるわけです。
 
 
 
鍵が「評価」にあるというのはまさにその通りかもしれませんね。お話を聞いていると、国際バカロレア(IB)との類似性も感じるのですが、BCカリキュラムとIBとの共通性や違いなどについても教えてください。
 
青井先生:
基本的にBC州カリキュラムはIBをよく研究していると思います。もともとカナダは多文化の社会ですから、国際性や多様性を重視する点でIBカリキュラムの考え方と近いのだと言えます。IBでは、Learner Profile(IBの学習者像)が有名ですが、BCカリキュラムでも、目指す生徒像は明確になっています。
 
「Educated Citizen」という概念がBC州教育省のホームページに出ていました。実は取材に来る前に少し予習してきました(笑)
 
青井先生:
そうですね。同じカナダでもオンタリオ州などのカリキュラムと比べると、より市民性の育成を重視しているように感じます。
 
生徒像の部分ばかりではなく、教科を越えたコアカリキュラムの存在もIBと似ている点です。例えば、クリティカルシンキングやクリエイティブシンキングといった、TOK(Theory of knowledge 知の理論)のような学びもしていきます。さらに、Planning 10という授業では、自分の未来を見据えながら学校以外のコミュニティに関わっていく活動をするのですが、いわゆるボランティアとは違って、教科学習やキャリア学習と結びつきながら自然に地域に関わっていくようなカリキュラムになっています。このようなところもIBカリキュラムに似ている点だと感じます。
 
 
一方で、BCカリキュラムはIBDPよりも、広い範囲の生徒をカバーできるのではないかとも感じます。IBDPは、比較的優秀な生徒でないとなかなかディプロマを修了できない印象がありますが、BCカリキュラムはその点はそれほどハードではありません。違いと言えばその程度でしょうか。いずれにしても、ふだんの学習の蓄積で大学進学の準備ができるというのは合理的ですし、本来の教育の姿なのだと思います。

 

三田国際学園 留学生が認める授業

三田国際学園は、スーパーイングリッシュコース(SE)の相互通行授業の浸透度、イマージョン率、ICT活用度はどんどんアップしている。そんな中、ここ4週間、ドイツから留学生Sさんがやってきて、国際交流の旋風を巻き起こし帰国した。英語が堪能で、SEクラスメイトと、英語でコミュニケーション。

しかし、そこで使われている英語は、たんじゅんにコミュニケーションの道具ではなく、すでに感性そのものそして思考そのものにシフトしていた。by 本間勇人:私立学校研究家

Sさんのインタビューには、SEクラスの担任緒方先生と級友がいっしょにサポートしてくれた。もっとも、緒方先生は、SE生が通訳するサポートに回り、基本は、SさんとSE生の対話になっていた。

SE生の通訳によると、Sさんは、日本が大好きになり、また来年も日本にやってきて、やがては日本の大学に入りたいということのようだ。

ドイツとのスクールライフの違いについてたずねてみたが、驚くべきことに、ドイツの教師はプレッシャーがきついが、日本の先生はフレンドリーで、親切で、解放的で、大好きだという。

また、おべんとうをみんなで食べるランチの時間は、ドイツにはなく、とても新鮮だったし、生徒どうしの一体感がすてきだったという。

茶道や、華道などの部活も体験して、たいそう気に入ったが、そもそも部活はドイツの学校にはないので、こういう機会がある日本の学校は大好きであると。

4週間はあっという間に過ぎ、SE生もさみしくなる。もっと思い出を作りたかったと別れを惜しんでいた。もちろん、プリクラは撮ったそうだ。なにせ、ドイツにはないものらしい。

それにしても、彼女たちのグローバルセンサーはたいしたものである。実は「おべんとう」なるものは、ヨーロッパでは、大人気で、「obento」とそのまま使われているぐらいで、日本の様々な弁当箱が買われている。

キュートで、カラフフルで、ヘルシーで、コンパクトで、何よりも宝箱を開ける感覚が楽しいというセンス。高校生の彼女たちのグローバル教育は、そのような生活センスに密着したところから、ビジネスが生まれるヒントにつながっていくのかもしれない。

Sさんは、明るく楽しくワイワイガヤガヤの雰囲気がなつかしく、三田国際の先生方や友達のことが大好きであると何度も強調していた。

今井先生は、

「Sさんの話を聞いて、がんばってやってきた相互通行型授業を評価してもらえたと認識しています。抑圧的でないという感想は、教師と生徒のコミュニケーションを大切にしていることを指しているでしょうし、ワイワイガヤガヤ楽しくて騒々しいというのは、PBL型のアクティブラーニングのことを意味しているのだと思います。留学生に受け入れられる、留学生を受け入れることができる授業を構築しているのだと実感できました」

としみじみ語った。

 

 

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