会員校別記事一覧

順天 世界標準の国際教育(2)

ジャッジをシェアするⅠ

最初に中学生のレシテーションコンテストを見学した。中1の生徒の発音の良さ、自然な抑揚、テンポがネイティブに近いのではないかと感心していると、国際部長の中原先生(数学)が、こう教えてくれた。

「ここ数年、レベルが上がってきて、ジャッジするのは相当難しくなっています。発音、そうrとlの違いも含めてですが、ともかく発音も相当トレーニングしてきます。抑揚やテンポもそうですね。だから、結局、音声やボディーランゲージでは差がつかないのです。」

するとどうするのかと尋ねると、とにかく教師側が議論して、ジャッジの視点を進化させていくしかないというのだ。つまり、レシテーションコンテストは、伝統的な行事ではあるが、評価というモノサシの精度は、生徒の努力と共に変容していくという、まさに不易流行であることがわかった。

順天 世界標準の国際教育(1)

平成26年度スーパーグローバルハイスクール(SGH)申請校は、全国で246校。国公立は127校、私立は119校である。そして順天も悠久の歴史を持つ教育をさらに未来に向けて豊かにすべく、SGHの申請に挑戦した。

30ページにわたるSGH構想調書を完成できたということは、これまでの順天の教育の棚卸しができ、明日の教育の構想がまとまったということを意味する。教育のコンセプト、ビジョン、アクションの青写真ができたということなのである。

その全貌は、文科省の発表までしばらく待たねばならないが、レシテーションコンテストとスピーチコンテストにコンセプトを感じることができた。by 本間勇人:私立学校研究家

順天 「グルコミ」でいかなる時代も切り拓く(3)

「グルコミ」で知性も人間性も成長するわけ

論理的にコミュニケーションする知性も人間関係を創り出すためにコミュニケーションする豊かな人間性も中高6年間、高校3年間で大きく成長するのには、理由があった。

「グルコミ」のプログラム設計に基準が織り込まれていたのである。

順天 「グルコミ」でいかなる時代も切り拓く(2)

グルコミで知性と人間性を拓く

順天では、2000年からLHRのほとんどの時間を「グルコミ(グループコミュニケーション)」に当ててきた。

今回高2の「グルコミ」では、「学部選択―必要な資質を考える―」というテーマでディスカッションされていた。

順天 「グルコミ」でいかなる時代も切り拓く(1)

順天中学高等学校(以降「順天」)は、10年以上前から「グルコミ(GC:グループコミュニケーション)」を行っている。中1から6年間、あるいは高1から3年間、月に1回から2回行われている。

その理由は、大学や就活でコミュニケーション能力が必要だから行っているのかというと、そういう目先の準備のためではない。進路先準備のためのコミュニケーション能力でなければ何のためだろう。その新しい切り口を求めて取材した。 by 本間勇人:私立学校研究家

順天 自然と社会と自己の均衡点(3)

順天学園は、多重機能、多様性、多重知能など多くの角度・多くの環境からものの見方・考え方を身につけられる。しかし、それは均衡点を見いだすことができるからだ。均衡点とは4Cの重心であるかもしれない。さて、「北斗祭」でもう一つ「多」のつく活動を見つけた。

順天 自然と社会と自己の均衡点(2)

「多」という言葉と「均衡点」が意味するところは、自然の摂理と一貫する。しかも、その摂理は、自然のみならず、社会や人間の精神にも生態系さながらリンクしているはずだという仮説を立てるのが21世紀型スキルとか21世紀型教育のものの見方・考え方である。学園には「順天求合」に込められたコンセプトがたしかに花開いていた。

順天 自然と社会と自己の均衡点(1)

順天は、179年前に誕生した。和算の大家福田理軒が創設。その教育理念である「数は宇宙に在りて術は人に在り」「自然の法則に従い、互いに真理を探求する」は校名「順天」に内包され、今も脈々と続いている。当時の和算は、壮大な宇宙学でもあっただろう。身近に壮大な自然に触れ、街や田園のランスケープを眺めることもできた。そして日々天変地異と社会的不安の中で人々は生き抜いていた。

福田理軒は、その三者に何とか宇宙の法則を見出しゆるがぬ真理を見いだそうとしたに違いない。その均衡点は、しかしながら、いまだに人間は手にしていない。手に入れたと思うや、するりとどこかに見えなくなってしまう。

したがって、その順天求合の精神は、21世紀の今もなお希求されるものであり、その追求のスキルを養うことこそ21世紀型教育。順天の文化祭「北斗祭」にその文化遺伝子<ミーム>を見出した。                 by 本間勇人:私立学校研究家/21会リサーチャー 松本実沙音(東大文Ⅱ)

順天 新設「Sクラス×Eクラス」の躍動(2)

順天では、英語は系統学習というカテゴリーに配置されている。グラマー、リーディング、スピーキング、ライティングなど思い付きや創造的なイメージで学ぶ領域は少ない。ルールや知識の系統的なつながりが重要であるのは言うまでもない。しかし、だからといって、順天の英語科は、一方向的に講義形式で教え込むような20世紀型の授業は行わない。やはり双方向的に表現し合う21世紀型授業が展開されている。

順天 新設「Sクラス×Eクラス」の躍動(1)

今年、順天中学校高等学校(以降「順天」)は、高1からサイエンスクラス(Sクラス)とイングリッシュクラス(Eクラス)を新設。3か月目を過ぎようとしている現時点で、新設クラスのメンバーのアクティブで躍動感あふれる行動の構えができてきたと、教師も生徒も確かな手ごたえを感じている。同時に、先生方は、この躍動感が順天全体の雰囲気をさらに生き生きとしたものにする大きな契機になることも期待している。躍動感が生まれる理由を、長塚校長、片倉副校長、中原国際部長に聞いた。(by 本間勇人:私立学校研究家)

SGT教育研究プロジェクト〜循環型社会を目指すワークショップ

(写真提供は児浦良裕先生)

8月11日と12日の2日間、教育研究センターのSGT教育研究プロジェクトのワークショップが千葉県木更津市のクルックフィールズで行われました。

SGT教育研究プロジェクトは、聖学院の児浦良裕先生や工学院の田中歩先生が主席研究員として活動してきたSGT教育研究会から新たに創設されたプロジェクトです。

このプロジェクトではフィールドワークをその根幹に位置付けています。そうすることで、より地球環境の問題をリアルに捉えることができることがひとつ。また、対面だからこそ発揮される全体的で統合的なコミュニケーションが「フィールド=場」のパワーを高めてくれることも狙いに入っていたのでしょう。

(写真提供は児浦良裕先生)

聖学院 最高の授業(了)

聖学院のPBL型授業の特徴は多様な要素、多角的な切り口で語ることができますが、なんといいても「マインドセット」と「信頼」がキーコンセプトなのかもしれません。マインドセットとは、毎時間の授業で行うのです。よく自己肯定感が高いとか低いとか話題になりますが、それはほとんど内面の状況の話で、成績が高いから自己肯定感が高いとか、内向的だから自己肯定感が低いというコトはありません。

ほとんどが、人と人との関係が開かれるか閉じられるかで、自己肯定感の高い低いが決まっていると思います。したがって、自己肯定感の高い低いは、一期一会ではないですが、人と出会う瞬間瞬間にあがるかさがるか激しいのです。特に思春期の時にはそうでしょう。一日の学園生活のなかで、毎時間の授業で出会う教師や仲間とのやりとりで、一喜一憂するものです。

ですから、聖学院では、毎時間の授業で、教師は互いに心を開示できるマインドセットをしていきます。

聖学院 最高の授業(3)

日野田先生の高2の社会の授業。はじめは、PIL(生徒同士の対話を活用しながら講義をしていく)手法。たとえば、国民総生産に関連する知識の整理をしつつ、成長の概念など、ものの見方考え方の基準に関するものについては、PIL手法で展開していきます。
 
基礎知識は教えるが、ものの見方考え方の基準については対話という機会を設定。また、講義や対話のトリガーは、図、グラフ、写真・・・など多様なドキュメントやデータを活用。講義、問応法、PILのコンビネーションは巧みで、これだけで50分授業が成立しても構わないぐらいです。
 
 

聖学院 最高の授業(2)

伊藤大輔先生の高2の英語の授業。この学年は、最後のセンター試験世代。それゆえ、ミニテストをまず返却して、スコアの分布などデータ分析をきちんとして、それぞれの生徒のポジショニングを明快にしていきます。受験に向けてのマインドセットがきっちりしているのです。
 
しかしながら、同校が推進している21世紀型教育の新たな改革の波は、最後のセンター試験世代にも及んでいました。グーグルクラスルームを活用して、反転学習が導入されていたのす。だから、きっちりデータベース戦術で知識のマネジメントができていたのは新鮮でした。
 
 

聖学院 最高の授業(1)

21世紀型教育機構は、グローバル教育3.0のステージに向かって、学内外のネットワークを広げ、グローバルイマージョンの環境を学校でつくっています。聖学院も、タイ研修という生徒が自己開示し、他者の痛みを感じ世界精神を自ら生み出す規格外の教育を実施しています。また、都市デザインや東京パラリンピック支援、はちみつをつくりその利益を寄付する起業プロジェクトなど、多様な実践的教育を行っています。

入試においては、生徒の才能に応じた多様な思考力入試を開発・実施し、NHKや静岡放送など多くのメディアでも取りあげられています。

しかし、他の学校と大きく違うのは、このような規格外の教育活動が、日々の授業と結びついているというコトです。ふだんの授業がPBL形式で進行するため、一時間一時間の授業が、生徒自身にとって特別で新鮮です。いつも自分にとって特別な時間が待っている最高の授業が聖学院では行われています。by 本間勇人 私立学校研究家

(聖学院は2カ月に1度くらいの割合で、有志の先生が集まって、授業デザインの勉強会を行っています。PBL型のワークショップ形式で進み、静岡聖光学院の先生方や東大の研究者も参加しています。仕掛け人は、21教育企画部長児浦先生。)

聖学院の授業でコペルニクス的転回体験。

聖学院のSGT(スーパーグローバルティーチャー)は、日々研鑽を積み、その成果を分かち合う「学習する組織」をつくりあげている。教師はとにかく多忙であり、一堂に会することは難しい。にもかかわらず、体育祭終了後や定期テスト終了後などわずかな時間を工夫して、PBL(プロジェクト)型授業のリフレクションを協働して行っていく。

自分の授業をプレゼンしたあと、参加者みんなで徹底的に分析し、生徒が基礎学力を向上していくための「知のスキル」を洗い出していく。授業という具体的な体験を共有し、ワクワクするような授業のイメージをシェアする。そのあと、分析し、21教育企画部長児浦先生を中心として先生方が創っている「聖学院6か年一貫教育 状況目標」に照合し、聖学院としての授業の信頼性・正当性・妥当性を検証していく。by 本間勇人 私立学校研究家

(定期テスト終了後、2時間の自主研修を設定。あっという間に駆け抜けた。達成感と未来への手ごたえを感じているSGTの笑顔はすてきだ。)

聖学院のSGTは知のアーティスト。

聖学院は、21教育企画部(部長は児浦先生)を中心に、21世紀型教育を推進している。特にPBL(プロジェクト学習)の授業への応用を進める教師(SGT:スーパーグローバルティーチャー)は、どんどん増えている。

聖学院のSGTは、メディアでも頻繁に取り上げられる「思考力入試」を開発しているが、そこにはふだんのPBL型授業のエッセンスがあり、言うまでもなく、そのエッセンスを普段の授業に活かしている。今回は、普段のPBL型授業のブラッシュアップの研修の取材者及びアドバイザーとして参加した。by 本間勇人 私立学校研究家

(聖学院のSGTは、高校の体育祭終了後、疲れているにもかかわらず、自主的に研修を行うほどパワフル。)

聖学院 知のデザイン広がる <難関思考力>

聖学院のSGT Super Global Teacher)児浦良裕先生と対話した。児浦先生は、数学教師であると同時に、聖学院の21教育企画部部長。知のコンセプチャルデザイナーである。それゆえ、聖学院の生徒一人ひとりの創造的才能を引き出し、実現していくGRIT(気概)を鍛えるクリエイティブコーチングプログラムを、中高一貫という6年間に張り巡らそうとしている。

それがいかなるものなのか、その全貌のデッサンは今年の秋ぐらいに表現できる予定であるというから楽しみである。それにしても、児浦先生自身、数学的思考をアンチ専門分野主義的に拡張できるSTEAM思考の持ち主であるがゆえに、対話していく過程で、いろいろな発想が湧いてきた。今回は聖学院の知のデザインの素描の素描をご紹介したい。by 本間勇人 私立学校研究家

(2017年2月19日、本機構主催「第1回新中学入試セミナー」でも児浦先生は登壇)

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