聖徳学園 体験と授業をつなぐイノベーション(2)
山名先生:授業の中で、「体験」を擬似的に導入するには、やはりPBLやアクティブラーニングの手法が有効です。さらに、その手法を電子黒板やiPadなどのICTを使って、webに結びつけると「体験」と同じ質感の気づきが生まれる可能性が高くなります。
山名先生:授業の中で、「体験」を擬似的に導入するには、やはりPBLやアクティブラーニングの手法が有効です。さらに、その手法を電子黒板やiPadなどのICTを使って、webに結びつけると「体験」と同じ質感の気づきが生まれる可能性が高くなります。
聖徳学園は、個性と国際性をベースに創造性まで育成する先進的教育を行ってきた。閉塞状況に陥った20世紀末、子どもたちは居場所がなく、自己否定感と万能感に引き裂かれていた時代にあって、その子どもたちを導く教育に取り組んでいた。
21世紀になると、グローバリゼーションとICTが閉塞感をぶち破るかのようにみえたが、ツールとして英語を使えるかどうか、ICTでネットを自在にマネジメントできるかによってますます格差が生まれる時代を迎えた。各国は20世紀の教育スキルでは、このグローバルイシューを乗り越える教育を行えないと、21世紀型スキルを開発するグローバル教育の構築に翼を広げはじめた。
一方、日本の教育は、グローバル教育にジャンプしたくても、英語の問題があるし、情報の教育もパソコンが活用できる段階にやっと到達したレベルで、すぐには飛べない。そこで、文科省はスーパーグローバルハイスクール構想を掲げ、グローバル教育に飛べるモデル校をつくる政策を開始した。
しかし、それを待っていては、日本の教育はさらに立ち遅れることになる。そんな閉塞状況がさらに募る中、聖徳学園は新たな教育イノベーションに取り組むフェーズに進んだ。その教育イノベーションについて、聖徳学園校長伊藤正徳先生と同校スクールカウンセラーであり国際交流センター長の山名和樹先生に聞いた。by 本間勇人:私立学校研究家
八雲学園の感性教育の象徴的な行事「合唱コンクール」が開催された。同学園の行事は、毎月のように行われるが、全学年が共通のアクティビティを行う行事は、おそらく合唱コンクールだろう。
それゆえ、全学年が高3生の姿をみて、「メンタルモデル」を強烈に共有できるという意味でも、八雲学園においては重要な教育プログラムである。感性教育の大きな結晶体としての「合唱コンクール」を取材した。by 本間勇人:私立学校研究家
行ってみたい国ランキング1位は、すべてのチームが米国を選んだ。こんなにもアメリカナイズされているのかと面食ったが、まったくそうではなかった。西さんのワークショップは、そのような大人の先入観を心地よくも軽やかに崩していった。
自分たちの家庭の食卓について多角的に話し合ったあと、写真が各チームに1枚ずつ配られた。模造紙の真ん中に写真をおいて、マインドマップよろしく、写真から気づいたことをどんどん書き込んでいく。気づいたことはなんでも否定せずに書いていく。
順天のSGH(スーパーグローバルハイスクール)クラスである≪GLAP(グローバルリーダーズ・アクションプロジェクト≫の活動はどんどん進化している。
同校は、SGHの研究課題として、ネットワーク、スクールワーク、フィールドワークという3つの活動(ワーク)を通して、グローバル社会で主体的に活躍する資質・人材育成を目標にしている。
今回、DEAR(開発教育協会)と協働して行っいるワークショップを取材。3つのワークが見事に反映していた。by 本間勇人:私立学校研究家
イタリア修学旅行の準備としての調べ学習のプレゼンを見学したあと、高1の総合学習の時間を見学。英語講読、プレゼンテーションのトレーニング、茶道、華道と4つのクラスに分かれて行われていた。
そして、イタリア修学旅行の準備は、高2に入ってから始まるのではなく、高1に入学したときから始まっていることに気づき、壮大なイタリアプロジェクト学習に感動した。
調べ学習は、目の前に驚きの成果を広げた。フィレンツェ関連の知識が世界史の教科書を超えて、次々とリンクして広がっていったからでもあるが、それ以上に探求の精神の喜びがあったからである。
つまり、エニグマを見つけ、その解に行きつく過程を共有するというメンタルモデルをシェアする場であったということ。しかもそのエニグマは近代とキリスト教の謎めいた関係性に行きつくのである。ダビンチコードの旅さながらだったのである。
内田先生の中2の国語のクラスについたとき、授業の展開は、半ばを過ぎていた。扉を開くと、ちょうど、ダッシュとエリプシスリーダーの記号表現を板書しながら、その意味や機能について問いかけていたところだった。
中3の間先生の国語の授業は、エッセイの読解だった。扱っている章を見ると、教科書の終わりの方だった。思わず、生徒に1学期で教科書終わってしまうの?と尋ねたところ、「教科書は素材で、シラバスに沿って授業が行われていますから、必ずしも最初から順番に進んでいるわけではないんです」と即答された。
工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)は、世界標準の教育を目指している。そのためには、授業改革が最優先事項であるとし、講義型→PIL×PBLにシフトしている。すでに国語と英語と化学はそのプロトタイプづくりに着手している。社会科は新聞を活用した大型のプロジェクト学習が確立している。
当初数学は難しいのではないかと思われていたし、多くの学校でもそのイメージが濃厚である。ところが、工学院の数学の先生は、次々と翼を広げ飛びたっている。by 本間勇人:私立学校研究家
奥津先生(進路指導部部長)は、個人ワークシートとグループワークシートに小さくそして大きな飛躍のための仕掛けをする。生徒は個人ワークのときは、演習さながらであるが、それがグループワークになったとたんに、演習という具体的な体験から数学的発想へと一般化する議論をしていることに気づく。
工学院大学附属中学・高等学校(以降「工学院」)は、2015年4月から中学の新クラスを開設する。それは「ハイブリッドインタークラス」「ハイブリッド特進クラス」「ハイブリッド特進理数クラス」の3つ。ハイブリッド(HB)というのは、数学や理科などでも英語を交えながら授業を行っていく予定だからである。
21世紀型教育の重要性を認識し、グローバル教育をけん引している同校にとって、各教科でイマージョン率を徐々に高めていくのは当然だということだ。来年クラスを新設するために様々な取り組みがなされているが、今回は中1の英語体験者・帰国生のための取り出し授業を見学した。by 本間勇人:私立学校研究家
東京女子学園の21世紀型授業のプロトタイプは、学園史的な流れから言って、ワールドスタディという同校独自の英語の学びのプログラム制作過程で生まれたと思う。それがキャリアガイダンスのプログラムや留学プログラム、大学受験指導プログラムに転移したのではないだろうか。
もちろん、その転移の段階で、相乗作用が生まれ、ワールドスタディそのものも強化されて、システムができたのだし、これからもまだまだ発展する。iPadの導入などは、進化し続けるワールドスタディを象徴している。
今回は、大久保素子先生の中2のワールドスタディの授業を見学した。ワールドスタディに埋め込まれたプロジェクト型学習(PBL)の基礎を理解できると思ったからである。
東京女子学園では、キャリアガイダンス、ワールドスタディという大型プロジェクト型学習(PBL)の学びの体験のエッセンスを教科の授業の中に埋め込めないかどうか議論が起こり、プロトタイプは何かリサーチが始まっている。
というよりも、すでに暗黙知として埋め込まれているので、それを可視化する議論になっている。そのPBLの学びの体験が埋め込まれている数学の授業、小林俊道先生の高2の授業を拝見した。
学びの過程が価値を生む
倉橋先生:かけがえのない価値は、聖パウロ学園の教育全体で作られます。生徒1人ひとりがこの総合的な教育の中で、それぞれに居場所を見つけて、それぞれの大切な価値を見出すわけです。一般には、その学びの場はイベントや部活とされ、授業はあたかも知識を優先する場として説明されがちです。
しかし、聖パウロ学園の場合、この豊かな自然や宿泊施設、イタリア修学旅行などでかけかがえのない価値を発見する準備は、授業の中にも埋め込まれています。かけがえのない価値ゆえに、発見もまたそう簡単ではありません。あらゆる教育のチャンスをその発見の場にしたいと思っています。
聖パウロ学園は、高尾山に連なる森のキャンパス、宿泊施設、イタリア修学旅行という他校にはない学びのスペースに恵まれている。したがって、同学園の学びの質は測り知れなく豊かで、かつ独自のプログラムが展開している。
高橋博先生(理事長校長)、倉橋和昭先生(副校長)、本田佐和子先生(数学科教諭)、松原由典先生(生徒指導部長)が、聖パウロ学園の学びの質の可視化についてミーティングをしているシーンに立ち会った。大変興味深い話し合いだったので、一端をご紹介したい。by 本間勇人:私立学校研究家
富士見丘の高2の物理の授業を見学。中野先生と生徒の息と眼差しはぴったり一致していた。高校生は大学履修決定のように、92科目の科目から、選択する。自分の進路に、自ら科目選択をしてマッチングさせる。だから選択への意志もモチベーションも高い。