PBL

21世紀型教育機構シンポジウム 理想的なネットワークを紡ぐ創造的リーダーシップ

9月2日(日)に行われる「21世紀型教育静岡シンポジウム」は、地球人の子供たちの未来土壌を、教育から耕していこうという壮大なヒューマンプロジェクトです。私たちは、20世紀においてこの未来土壌を地球規模で荒らしまくってきました。そこでそれを阻止するプロジェクトが国連やユネスコを中心に実行されてきました。

現在では、SGDsが当面大きなプロジェクトです。2020年東京オリンピック・パラリンピックも同じ思いがあるでしょう。しかし、その広がりの速度で、2030年から2040年の近未来土壌は浄化され回復するでしょうか。そうなることを、願うばかりですが、あくまで感覚ですが、楽観視している人は過半数を占めていないでしょう。

そこで、21世紀型教育機構は、授業1つひとつの中で、未来土壌を自然と社会と精神が好循環していけるような精神と知恵とそして創造的リーダーシップを生徒1人ひとりが自分の才能を通して主体的に生み出していける環境を創ることにしたのです。

授業1つひとつは、たしかに小さい存在ですが、しかし、多くの国で学校は存在します。授業も存在します。学校の授業は、人類全体の細胞のようなものです。であれば、細胞が活性化してつなげる活動をしていけば、臨界点に達したところで、一気呵成に人類の未来土壌の生態系は好循環になり回復するはずです。

(創造的リーダーの特徴は、自分の想いや行動を公にシェアする本を出版できるというコトです。)

この細胞が、今や東京ばかりではなく、埼玉、大阪と広がり、静岡にも飛びました。まだ全部がつながっているわけではありません。しかし、各エリアで、細胞が増えつがっていくことで、希望のバトンはどんどん渡されていくのです。

この理想的なネットワークの静岡の仕掛け人は、星野明宏先生(静岡聖光学院常任理事・副校長)です。星野先生は、この数年で、静岡聖光学院をラグビーを通して全国ネットワークにつなぎ、授業そのものを21世紀型教育機構につなぎました。つなぐには、強引につなごうとしても、効果は生まれません。ファシリテーターとして徹することが必要です。

これによって、静岡聖光学院は、グロース・マインドセットされ、教師も生徒も探究という深い学びができる授業を形成しています。授業によって深い学びができるのでも、深い思考ができるのもなく、そのが逆をやってのけているのです。教師と生徒の深い探究という学びとそこで生まれ出る深い思考力が、授業をつくっていくのです。

(静岡聖光学院は、イートン・カレッジと語学研修のみならず、グローバルアスリートどうしの国際交流の絆をがっちり結び付けたのです。)

これができるや、星野先生は、田代副教頭先生をはじめとする多くの先生方に、ファシリテーターをエンパワー(委譲)していきます。ご自身は、ディレクターとして、ファシリテーターの動きをマネジメントしていきます。しかし、ディレクターというポジショニングは、その授業を生み出す知の資源を学内で共有するだけではなく、学外にも共有するメディア戦略をマネジメントします。

これによって、小さな細胞は、広がっていきます。ですから、1人何役にもなりかねませんが、ドキュメントスタッフによってサイトやSNSで学内外にあふれでる深い学びや思考の教育の条件をシェアしていきます。すると、公共のメディアがやってきて、ニュースとして外に情報が流れ出ます。共感共鳴する人々が増えていくのです。

そんな広がりをディレクションしていると、グローバリゼーションの時代ですから、海外にネットワークは広がります。それが、イートン・カレッジやハロー校、マレーカレッジへと太い絆がうまれるこにつながっていったのです。

ここまでくると、静岡聖光学院のディレクターでは収まらず、自治体から招聘され、静岡全体のサポートもするようになりました。これで、東京と静岡のエリアは、21世紀型教育によって、生徒1人ひとりがソフトパワーを発揮する希望が見えてきました。

21世紀型教育機構のメンバーは、1人ひとり星野先生のように創造的リーダーシップを有している先生方がたくさんいます。今回のシンポジウムで登壇する先生方は全員そうです。創造的リーダーシップは、ロイヤルコペンハーゲンやレゴのようなグローバルブランドを生み出したデンマークでは、当たり前のように唱えられています。

その条件は、情熱と謙虚です。既成の枠の限界ギリギリでエッジを利かせつつも、枠内外の他者の感じ方や考え方を限界線上に乗りながらで耳を傾け、両方をつなぐために限界線を変容させていきます。細胞がそうなように、開放系と閉鎖系のバランスをどうとるかです。開放系だけでは、自分がなくなります。閉鎖系だけでは、生きていけません。

創造的リーダーシップは、変容への情熱と謙虚さによって合理的に判断できる2つの能力の使い分けが巧みだと言い換えることもできます。人類の子供たちは、だれもが創造的リーダーシップを発揮することができます。そのためには、創造的リーダーシップに満ちた多くの仲間といっしょに学んでいくのが有効です。

 

9月2日(日)21世紀型教育機構 思考力セミナー

9月2日(日)、静岡聖光学院で、21世紀型教育機構は、思考力セミナーを行います。同機構加盟校は、国際バカロレア(IB)やアドバンスとプレイスメント(AP)が行っている高次思考(higer order thinkig)を学べる独自かつ世界標準のプロジェクト学習を実施しています。参加対象は、小学校5年生と6年生です。

(今回の思考力セミナーの学びの空間。リニューアルされた静岡聖光学院の教室。)

独自というのは、その高次思考体験を、子供の成長に応じて体験できるようになっていることです。高次思考体験というのは、難しい問題をやるということではありません。固定概念や学びの過程で直面する壁を乗り越えることができる体験をすることができます。

学びのスタイルは、PBLというプロジェクト学習で、3Rかから3Xへジャンプする探究学習(3R:Reading=読み、wRiting=書き、aRithmetic=そろばん 3X:eXplorer=探求、eXchange=議論、eXpress=表現)です。この3Xのサイクルがプロジェクト学習の肝であり、高次思考を育てていきます。

未知のコトをリサーチし、議論し、気づいたコト、発見した課題をまとめる編集、プレゼンなど行っていきますから、その道のりはスリリングです。悩むことも多いでしょう。没入している時間も結構あります。しかし、そこで挑戦している自分が、楽しんでいることにやがて気づきます。MITメディアラボでは、この厳しくも楽しんでいる状態を【Hard Fun】と呼んでいます。ワクワク探究にのめりこんでいく学びこそ、2020年大学入試改革以降の社会が求めている人材の仕事のやり方、研究の仕方の土台でもあります。

さて、今回は、プロジェクト学習(PBL)で、数学的思考体験をします。今STEAM教育の重要性が叫ばれていますが、中でもMathは、極めて重要なポジショニングを占めています。政治経済の分野も、アートの分野も、医療の分野も、もちろん工学の分野も、見事に数学的思考力が必要とされています。

2020年大学入試改革が実施される2021年春の大学共通入学テストで、早稲田大学政治経済学部は、数学Ⅰ・数学Aを必須教科とするほどです。いよいよ、文系・理系の境界線が突破される学際的な学問の世界が前面に出てくるわけです。

そういうわけで、今回は、静岡聖光学院の数学科主任の植田先生が中心となってPBL型数学的思考体験のプログラムを作成・実施します。そして、このタイプの学びの最先端を実施し、多くのメディアでもその挑戦が注目されている聖学院の21教育企画部長・数学教諭の児浦先生、同校数学科主任の本橋先生が、開発過程からコラボしています。

中身については、当日のお楽しみです。ワークショップは、サプライズが基本です。ただ、21世紀型教育機構の数学的思考をベースとしたSTEAM教育のプロトタイプが、今回3人の先生方のご協力で完成しました。

このPBLを体験することは、アインシュタイン体験やニュートン体験をすることにもなるし、MITメディアラボの所長で、数学者でもあり、レゴ教育の創始者でもあるシーモア・パパート教授の思考体験をすることにもなります。今現代の魔法使いとメディアで騒がれ、メディアアーティストであり、筑波大学学長補佐でもある落合陽一氏の思考体験もすることになります。落合陽一氏は中高時代、世に有名な数学の天才児でした。そして、あのジェダイの修業にも通じます(笑み)。すべての潜在的才能の子供たちが、アインシュタインやニュートンと同じように高次思考を体験し、身につけることは可能なのです。
 

予測不能な時代。だからこそスリリングで楽しい未来に高次思考の自由な翼を広げましょう。すてきな学びの空間で探究の世界にいっしょに挑戦!しましょう。


 

 

 

静岡聖光学院 新キャンパス 9月完成 シンポジウムで見学

2018年9月2日(日)、静岡聖光学院で、「第2回21世紀型教育機構静岡シンポジウム」が開催されます。同校は、今年創立50周年を迎え、グローバル教育、PBL型授業など教育全般のイノベーションを行い、キャンパスのリニューアルも行っています。昨年から教育イノベーションは始まり、今年9月1日には、新しい教育空間は完成する予定です。

(完成イメージの予定図)

今回のシンポジウムでは、教育のイノベーションの一環であるPBL型授業を体験できる「思考力セミナー」も開催します。その体験は、新キャンパスで行われます。

(予定図)

生徒が成長する授業を体験し、成長をサポートする学びの空間として新キャンパスを、シンポジウムで見学できます。2020年大学入試改革によって学習指導要領も変わりますが、それは新しい授業、新しい教育空間を必要とします。

(探究に没入できるおしゃれな図書館はすでに完成)

教育は、精神と身体と環境の相互作用で行われます。教育が変われば、授業や学びの空間も変わります。授業や教育空間が変わらないまま、カリキュラムが変わっても、十分に新しい学びの目標を達成することはできません。

(予定図)

ですから、2020年を前に、その準備をする必要があります。ほとんどの学校がその準備ができていない中、いちはやく静岡聖光学院はそのj準備を着々と行っています。9月2日のシンポジウムで、新しい教育の質とそれを生み出す新キャンパスを体験しましょう。

 

 

八雲学園のスーパービジョン

予測不能な時代がやってきたと昨今喧しいが、正解が1つでない不確実な時代の到来という意味では予測ができているとポジティブに考えるのが八雲学園である。
 
したがって、同学園のミッションは、そのような予測不能で不確実な時代にあっても、八雲生が、時代に翻弄されないタフな心身を身につけ、ポジティブな世界を創る精神を身につけ、世界の痛みを共有できる感性を身につけて羽ばたいていけるトータルな21世紀型教育を実践することである。 by 本間勇人 私立学校研究家
 
 
 
そのような八雲生が、大学に進み、社会に出たときに、グローバルな社会貢献をしている姿が見えている。そういうスーパービジョンを八雲学園の教師も生徒も共有している。それは決して抽象的なことではない。
 
たとえば、卒業生が教育実習にやってきて、世界のエスタブリッシュな私立学校からやってきた交換留生と英語で対話しながら、学園生活を楽しんでいる姿を、日常的にみることができるからだ。
 
毎月のように世界各国から交換留学生が来ていて、在校生や教育実習で戻ってきたOGと英語で対話しているシーンが日常的になっている学校は、インターナショナルスクールであれば、可能だろうが、ふつうの一条校であるのかといえば、ほとんどないと言っても言い過ぎではない。
 
 
このことが可能なのは、実は八雲学園が「ラウンドスクエア(以降RSと表記)」という世界各国のエスタブリッシュな私立学校180校が所属しているコミュニティの加盟を許されているからだ。
 
国際バカロレア(IB)というシステムは、スーパーグローバルエリートを輩出する組織で、最近広く認知されるようになったが、このIBを創設したクルト・ハーンが、グローバルな政財界人育成より、さらに人間力に焦点を当てたエスタブリッシュな教育を行う同士を集めたいと結成たのがラウンドスクエア(RS)である。
 
ハーンは、ナチの迫害に命をかけて戦った。だからこそ絶対平和の世界をつくる未来の本物のエリートを生み出す環境を創りたいという想いを有していた。そのハーンの想いが込められているIB以上の教育力をもったコミュニティ、それがRSであるといえるかもしれない。
 
このコミュニティの加盟校は、みな同士であるから、明日八雲学園に行きたいのだけれどといえば、もちろん待っているよという関係なのである。
 
年に1度の国際会議やエリア会議が行われ、そこに加盟校の生徒が集い、互いの学校のプログラムの体験や議論を通して、世界を変える意志と精神を共有していく。
 
八雲学園は、この世界トップクラスのコミュニティと活動を共にするようになったのだ。この極まりなく重要な教育について、一般には、まだ気づかれていないが、心ある受験シンクタンクや情報誌、経済誌は取り上げるようになってきた。
 
しかし、宣伝のためにRSとコラボレーションしているわけではないから、右顧左眄せず八雲学園は邁進している。同コミュティには、もちろん、近い将来世界を動かす政治家や経済人、学者になる人材ばかりが存在しているのである。当然、八雲学園もそうなる使命が、RSに加盟できる条件なのである。
 
したがって、加盟したいからと言って、気持ちだけで加盟できるわけではない。その使命を実現できるかどうか審査されて、認定されなければ加盟できないのである。
 
 
だから、八雲学園はここに到達するまでに、様々なプログラムを猛スピードで積み上げてきた。事前事後を合わせて9カ月の留学システムも充実させてきた。英語力だけではなく、英語で世界の問題解決を思考して発信する力がRSでは求められるからだ。
 
そのためには、ハイレベルなディスカッション能力とエッセイライティングの能力、そしてプレゼンテーション能力がなければならない。そこで、UCサンタバーバラで、英語力と思考力をトレーニングする八雲学園独自のプログラムをデザインしてきた。
 
この9カ月留学は高1と高2の生徒が12人選抜されるかなりのレベルを要する。何せ八雲学園は最終的にはCEFR基準でC1レベルの英語を目指していて、海外大学で英語で議論ができる状態まで成長する生徒の環境を整えているのである。
 
もちろん、全員がそうなるわけではないが、すべての生徒にその挑戦は開かれている。そして、ただ頑張れ!と促すだけではなく、八雲の姉妹校でありRS加盟校でもあるケイトスクールで3週間学べる高校生用の留学プログラムも創っている。
 
 
また中3には、全員がサンタバーバラの八雲レジデンスを拠点に、UCサンタバーバラで2週間の短期留学プログラムも用意されている。
 
全員が一定水準の英語力をトレーニングし、さらに英語力をC1レベルまで伸ばしたい意欲の高い生徒には、その機会が開かれているのである。
 
また、全員が一定水準の英語力を有しているからこそ、RS加盟校から交換留学でやってきた留学生と日常生活を楽しめるのである。そして、楽しむだけではなく、そこで刺激を受けて、海外に目を向ける生徒も新たにでてくる。この中学から高校までのレベル別留学プログラムとRSの交流は大きな相乗効果を生んでいるのである。
 
 
八雲学園のグローバル教育の優れている点は、もう一つある。それは一年中、英語を活用する行事が満載になっているといいうということなのである。英語は普段から活用しなければ上達しない。授業や行事、留学という立体的なグローバル教育3.0のシステムが完成しているのが八雲学園のグローバル教育なのである。

富士見丘 Global Immersionの挑戦

2日間に渡って、明海大学浦安キャンパスで、同大学ホスピタリティ・ツーリズム学部主催のサマースクールが行われている。オールイングリッシュでレクチャー、ディスカッション、グループワークなどのハードなアクティビティが行われる。

大学の講義やアクティブラーニングを丸ごと体験する。ハワイの観光について、マーケティングの切り口で学際的に研究するのである。イングリッシュイマージョンではなく、グローバルイマージョンそのものであるが、多くの中3と高1の富士見丘生が挑戦。1日目を取材した。by  本間勇人 私立学校研究家

(サマースクールは、明海大学浦安キャンパスの図書室で開催。講義スペースとグループワークスペースなどアクティヴィティごとに分かれている贅沢な環境)

内苑孝美教授(ホスピタリティ・ツーリズム学部長)からの挨拶は、グローバルな学問が行われている同学部らしく、ウィットに富んだ話だった。隣接のディズニーランドの話がフックになり、参加者のマインドセットを行ったのである。ディスに―ランドも今回のテーマであるハワイにしても、多くの人々がいかに魅力を共有できるのか、それはマーケティングや心理学などの学際的な問題であるという2日間のサマースクールのトリガーとなった。

今回のサマースクールのミッションテーマは、「ハワイに旅行する日本の若者の数を増やすにはどうする?」。もちろん、この具体的な学びを通して、観光産業のシステム、経済のシステムという背景、さらにグローバルな動きを考えることがねらいである。

レクチャーは、ハワイ大学のラッセル・ウエ ノ教授を招いて行われた。ハワイの観光をテーマに、ハワイ大学の授業そのままを体 験できるグローバルイマージョンの環境をこの2日間のサマースクールのために準備されていたのだ。明海大学は、海外の提携大学とネットワークを築いているが、ハワイ大学もその1つ。

すでに、生徒は、厚手のハワイの観光についての英語の資料がPDFで配布されていて、それを理解したうえで、授業に立ち臨む。このような反転授業スタイルは、欧米の大学では当たり前で、そこからグローバルイマージョン体験が始まっていた。

ラッセル教授の講義の構造は、極めてシンプル。まずそれぞれの生徒が反転授業で、マイイメージを膨らましてきているから、ハワイの多様な観光のスポットを多くのビデオを活用しながら講義。ビデオを見る授業ではない。ビデオを流しながら、具体的な観光産業の展開の視点を生徒といっしょにメタ認知していく。こうして、ハワイの観光産業の実態をダウンローディングしながら、メタ認知を刺激していく。マイイメージが、パブリックイメージに広がり共有できる流れになっているのだ。

そして、次にハワイの観光産業が、世界からクライアントを呼び込むマーケティングのスキルを、これまたビデオを活用して講義をしていく。今度は、先にダウンローディングの中で、気づいただろう生徒たちのメタ認知を、観光のためにつくられたビデオに当てはめて検証していく。

つまり、ラッセル教授は、マーケティング手法を一方的に講義するのではなく、生徒と共に手法を創り上げていくのである。講義でありながら、アクティブブレインを生成する授業デザイン。

講義のあと、チームに分かれてワークショップを行い、実際に役立つ企画案を編集、創造していく準備としての意味もあったと思う。それにしても、大学の講義は、たんに方向性を示すものではない。実際に役立つ視点=考え創出するスキルを共有するものである。

白熱授業は、いったん終わり、脳に栄養を補給するため、ランチタイムとなった。観光産業に多くの優秀な人材を輩出する明海大学だけあって、学食スペースというより高級レストランというスペースで、生徒たちはランチをとった。

ランチ終了後、ラッセル教授の白熱授業は再開。海外では、質問や提案を出さないのは、フリーライダーとしてルール違反だから、生徒たちはいろいろな質問を考え、もちろん英語でラッセル教授とやり取りをした。

富士見丘学園の理長長補佐・校長補佐の吉田成利先生は、明海大学の講師でもあり、今回のサマースクールのプロデューサ―。吉田先生ご自身、イギリスやアメリカの大学院やロースクールで学び博士号を取得している。

そういう経緯もあって、今回はラッセル教授ともコラボレーション。生徒たちにもっとシンプルな英語で質問してみようと、英語で生徒たちとやりとりをしたり、英米流儀のインプロ手法で無茶ぶりをして、質問が出てくるようにファシリテーションを務めていた。

ラッセル教授と魅力的な観光を生み出すマーケティング視点を共有できたところで、明日に向けて効果的なプレゼンエーションとは何かについて、三輪祥宏教授による講義があった。もちろん英語でである。

ここでも、プレゼン内容を編集する視点、オーディエンスを巻き込む方法論など、ポイントタッチで整理されたスライドで明快に英語で解説があった。

そして、いよいよグループワーク。ファシリテータは、明海大学の教授陣。なんて贅沢な!もちろん、英語でディスカッションや編集制作は進行していた。

図書室は、ラッセル教授や三輪教授が講義をしたレクチャースペースだけではなく、そのすぐ隣は、グループワークスペースになっている。開放的にリラックスして話し合えるような空間がデザインされている。

富士見丘の英語科教諭の田中先生も、パーティスペイティブオブザーバー(参与的観察者)として、生徒たちを支援していた。

本格的なワークショップは、2日目に持ち越される。ラッセル教授と共有したメタ認知、すなわち、観光領域として、文化的リソース、スポーツ、音楽、アート、食、環境、経済、マインド等以外に何を新たに提案するのだろうか。

イベントやアクティビティ以外に新しいコンテンツはいかなるものを発想するのだろうか。

そのために、どんなコミュニケーションや新しいネットワークをつくるのだろうか。

なんといっても、ハワイの観光のマインドコンセプトは、自由×冒険×恋以外に何を掲げるのだろうか。

今回のテーマ「ハワイに旅行する日本の若者の数を増やすにはどうする?」をどのように考えるのだろうか?しかし、これはすでにラッセル教授とのディスカッションの中にそのヒントがあった。頻繁に、もしあなただったらどうする?というやり取りがあったのである。テーマの中のフレーズ「日本の若者」は、要するに、もしあなただったら、どうすると置き換えられるだろう。

自分たちが行きたいドリームハワイを創ってしまえばよいわけである。2日目のグループワークは白熱することになるだろう。それに、すばらしい効果的なプレゼンテーションで幕を閉じるだろう。

そして、なんといっても、サマースクール終了後は、隣のディズニーランドで、アフター6パスが待っていることだろう。

 

 

21世紀型教育機構 新次元教育の挑戦(3)グローバル教育3.0

本機構が、21世紀型教育の実践をゴールにすることから、新次元へジャンプする跳躍台にシフトしたのには、時代の精神を読み解きながら、守るべきものは守り、変えるべきところは変えるという、理念と革新の両方の関係の最適化を試行錯誤してきた結果である。

【表1】

1980年代から2010年までは、まだグローバル教育1.0の時代だった。CEFRという基準は、すでに欧州評議会が作成していたが、これが今ほど、日本国内で、認知されるようになるには、もう少し時間がかかった。授業のスタイルも講義形式で、それに対し何の疑いもなかった。海外の研修も多くは語学研修どまりであった。インターネットも1995年ウィンドーズ95のインパクトを超えるものではなった。

思考力も、知識を憶えこみ、それを頼りに、与えられた文章やその他の情報を理解することこそが思考することだと思われてきた。それが如実に反映していたのが、センター試験である。

ところが2011年以降、SNSの浸透力やWiFiの広がり、スマホのグローバルな広がりはすさまじく、あっという間に、Web2.0の時代にシフトした。それまでのビジネスは、B2Bが中心だったのが、B2C、C2Cへの移行も多くみられた。インタラクティブなやり取りが、経済領域にグローバルに広がったのである。個人の時代への兆候でもあった。

また、ジャスミン革命の影響は良くも悪くもグロバリゼーションの次のステージを用意した。グローバリゼーションの光と影が、Webを駆け巡って、広く知れ渡ることにもなった。もはや一望監視装置ではなく、ネットワークは相互監視装置にもなったといわれるようになったのもWeb2.0の時代の特徴である。

こうなってくると、海外研修も、一方通行型ではなく、自分の思考力は応用・論理にまで高次思考が要求されるようになったし、意志決定も自分で判断しなければならなくなった。それが留学が広まった大きな契機だったのだろう。

英語力も4技能を駆使して、海外でプレゼンテーションできる力が必要とされた。サンデル教授の白熱教室やTEDという番組が、それに拍車をけることになったのは記憶に新しい。

このグローバル教育2.0は、2020年の大学入試改革にも大きな影響を与え、高次思考力、4技能英語など話題に事欠かなくなり、センター試験に代わり、大学入学共通テストに移行することになった。選択式問題のみならず、記述式問題も加わるのだから、たしかに高度な思考力が要求される気配が漂ってきた。

このグローバル教育2.0を受け入れるかどうか、教育現場は混乱も続いているが、21世紀型教育機構は、受け入れる前に、先に進んでしまった。そして、試行錯誤しながら取り組んでいるうちに、グローバル教育3.0という今までとは異次元の教育に遭遇し、そこに行き着いた自分たちのパワーに驚きつつも、さらに邁進することにした。

その象徴的な動きが、グローバルイマージョンという現象である。英語のイマージョンのレベルを超えて、海外と日本の生活の境界線がボーダレスになっているのである。グローバル教育2.0までは、一握りの生徒が留学の恩恵に浴することができたが、グローバル教育3.0では、海外に留学しようが、国内にとどまろうが、英語の授業以外の授業も英語で行われたり、ネイティブスピーカーの教師が10人前後も学園生活を共にしたりしている。

したがって、すべての生徒が言語のみならず文化や生活なども日常生活そのものがグローバルな状態になっている。一部のエリートのみが、グローバル教育を受けるのではなく、21世紀型教育機構の加盟校のすべての生徒が、いつでもどこでも丸ごとグローバルな生活に浸れるようになる。

フィリピンやメキシコの大統領が、必ずしもエリート教育を受けていなくても、個人の力量で選ばれる時代が、すでにやってきているが、これはグローバル教育3.0にシフトすることが必然的な時代の流れであること示す出来事でもあろう。

シンギュラリティ―やインダストリー4.0などを待つまでもなく、Web3.0はすでに到来している。AIはいたるところで活用され、将棋や囲碁、大学入試問題などの場で人間と対戦し、AIの勝利に、多くの人が驚愕してきたが、すでに株価の予想にまで活用されるようになった。自動車のシステムにも組み込まれ始めている。また、IoTは家電に組み込まれ、すでに日常生活が遠隔操作できるようになっている。 

授業も、オンラインシステムをアプリを活用して、海外と英語でディスカッションしながら進めらるようになった。リアルな空間だけではなく、ヴァーチャールな空間でも、グローバルイマージョンは展開している。

こうなってくると、CEFR基準でC1レベルの英語力が必要になるのは当然だし、ディスカッションや対話が授業をはじめとする知的な場で、不可欠になる。海外との交流は、当然世界の共通する問題であり、SGDsのグローバルゴールズを到達するには、自分たちは何ができるのかという対話になる。

具体的な解決策を論じるときに、批判的・創造的思考はもちろん必要だが、その実行プランには、STEAM領域のスキルが必要になる。いわゆるオーセンティックな教育が展開するようになる。

このようなグローバル教育3.0は、いますでに始まっており、今後ますます広がっていく。大学もその選択肢として海外にも広がる。知的好奇心は、多様な中でこそ豊かになり、アイデアもまたそうであるから、これは自然な流れだろう。

そうはいっても、日本の教育において、この流れは、まだまだ緩慢で、よどみかけてもいる。21世紀型教育機構の加盟校は、この流れを加速する突破力を発揮しようとしている。2018年を、「グローバル教育3.0」のターニングポイントとして宣言したのには、このような背景があったのである。

 

 

21世紀型教育機構 新次元教育の挑戦(2)生徒1人ひとりの価値

21世紀型教育機構にとって、生徒1人ひとりの価値を生み出す学校になることが新次元教育のゴールであるが、そのようなことはいかにした可能か?

最近では、アダプティブラーニングという学びやアダプティブリーダーという新しいリーダーシップについて語られることが多くなっており、実際にそのようなことが実践されている。

【図3】

その方法論やリーダーシップ観が、正しいかどうかはあまり問題ではなく、世界が個人に焦点をあてる時代がやってきたことを示唆する出来事であることは確かであろう。もちろん、今までも個人主義という言葉やそのような主義によって生きる人間は実在したし、今もいる。

ここでいう、個人の時代というのは、組織や社会のルールに反して自分勝手な言動をとる個人のことを言っているわけではもちろんない。個人主義というのは、あらゆるルールや価値観は相対的であるという信念に基づいている。

しかし、21世紀型教育機構の生徒1人ひとりの価値を生みだすというとき、それは2つの価値の関係が創造的存在者を生み出すことをいう。創造的であるがゆえに、オリジナルのアイデアを有する個人が成長していく。

その2つの価値というのは、一つは「普遍的価値」であり、もう一つは「有用な価値」である。

本機構は、「普遍的価値」は、「あなたがして欲しいことを相手にもしなさい」という聖書の言葉「ゴールデンルール(黄金律)」という価値を大切にしている。そのことは加盟校の規定の前文にも記載されている。

ただし、ここでいうゴールデンルールは、ニューヨーク国連本部のギャラリーに設置されているノーマン・ロックウェルのモザイク画「ゴールデンルール」に依拠している。このモザイク画にゴールデンルールが刻まれているのであるが、国連は、このルールは、キリスト教のみにとどまるのではなく、すべての宗教や民族、異なる価値観、異なる文化を越境して共通して通じるルールであることを認めている。

加盟校の建学の精神は、文言は違うが、この国連の意図を汲み取ることができるため、加盟校が共有する「普遍的価値」とすることにしたのである。

「有用な価値」とは、実生活の中で生徒1人ひとりが個人として家族や仲間、社会、世界のために何ができるのか、どう役に立つのかを重視した。人間どうしの関係の中で、役に立つ言動ができることは、そこに「価値」が生まれる。

「普遍的価値」は精神の価値であり、「有用な価値」は実生活、つまり広くは政治経済社会における自分の実際的な価値である。

生徒は成長して、中高を卒業した時に、精神としての価値を土台に、命を相互に守っていくための実際的な価値を自ら高めていくことができるキーコンピテンシーを身につけていく必要がある。

それが、「生徒1人ひとりの価値創造学校」としてのゴールであるが、そのためには、真空の中で飛ぶことはできない。実際には空気が必要である。このゴールを達成するための空気に相当する状況が、今やグローバル3.0という新しい時代のウネリである。だからこそこの状況をウケて、21世紀型教育機構は、グローバル教育3.0の教育環境を生み出すことにしたのである(【図3】参照)。

21世紀型教育機構 新次元教育の挑戦(1)次のゴールへ

2018年21世紀型教育機構の加盟校は、それぞれ創意工夫しながら新次元教育の挑戦の局面を迎えた。2011年から21世紀型教育をリサーチし、教育イノベーションを実現し、アドミッション・ポリシーを確立し、カリキュラム・ポリシーを実践してきた。そして、2020年には、そのディプロマポリシーがある一定の成果を出すタイムスケジュールを立てているのであるが、はやくも2018年の春の段階で、3ポリシーとしての成果がでた。

 

【図1】

もちろん、新しい局面を迎えたというコトは、1つのステージをクリアしたというコトを意味する。【図2】にあるように、21世紀型教育機構は、昨年からアクレディテーションを実施し、各加盟校が、21世紀型教育を一定水準以上の質を保ちながら、実践していることを検証した。

これによって、これまでの7年間の準備と試行錯誤を経て、C1英語、PBL、ICT、リベラルアーツの現代化(哲学×STEAM)、論理的思考力の育成、クリティカルシンキングの育成、クリエイティブシンキングの育成など多角的に21世紀型教育を行ってきていると確信した。

【図2】

アクレディテーションのスコアは、5段階で、3段階以上に位置しないと21世紀型教育を実践していると認定されないが、まずはすべての加盟校は3段階以上となった。しかし、それに満足することなく、今後も、さらなる上位の段階へとアップデートしていくことも互いに誓い合った。

しかし、ある意味21世紀型教育というステージには到達したことは確かで、これ自体大きな3ポリシーとしての成果である。

このアクレディテーションは、外部団体を形成し、そこに調査委託するわけで、自己評価とはまた違う評価である。より客観的に評価することができる。アクレディテーションの基準は、ルーブリックによって構成されているが、もちろん、この基準の正当性、信頼性、妥当性は、今後も検証していくことになる。

こうして、2018年は、21世紀型教育の質の向上に向けて、機構加盟校は独自の研修などで切磋琢磨している。今年5月27日(日)は、機構内での「プレ・グローバル教育カウンシル」を行い、加盟校の教師と生徒が、会場である富士見丘に集まった。

そこで、互いに到達した21世紀型教育における「学び」や「思考力」についてディスカッションワークショップを行った。その模様については、本サイトで既に公開しているが、極めて重要なことは、21世紀型教育の質向上だけではなく、つまり、今までのように、21世紀型教育をゴールとするのではなく、それは、今やスタート地点となり、今度は、そこから、新たな次元の教育に挑戦している加盟校の姿がくっきりと映し出されたことである。

すなわち、ゴールは到達されるや、新たなゴールにジャンプする足場になったのである。

2018年6月には、経済産業省によって、第一次提言としてのレポート「50センチ革命×越境×試行錯誤」が発表されたが、この提言の内容は、21世紀型教育機構が到達した21世紀型教育の内容をほぼ支持するものであった。

この提言が意味するのは、日本のすべての教育が――学校領域も超えて提言されているのだが――、20世紀型教育から21世紀型教育に100%シフトする時期が来たことを宣言しているというコトだ。

しばらく、日本の教育改革は、【図2】のように、一斉に21世紀型教育(名称はいろいろあるだろうが)に促進されることになる。

一方、21世紀型教育機構は、【図1】のように、そこが足場となり、そこから新しい次元へスタートすることになる。その新ゴールを、いったん「生徒1人ひとりの価値創造学校」になると設定したい。今まで、本機構は、一握りの成績優秀者を育てるファーストクラス育成から、生徒1人ひとりの潜在的才能が開花する教育環境を開発実施し、すべての生徒がクリエイティブクラスとして羽ばたいていく理念にシフトしようとしてきたが、いよいよこの実現に本格的に着手することになる。

かくして、2018年、21世紀型教育機構は、この新ゴールを、2024年に到達できるように動き始めたのである。

 

 

 

 

プレ「グローバル教育カウンシル(GEC)」の挑戦(2)

「思考力の再定義~世界を変える思考力とは?」のワークショップは、本橋真紀子先生(聖学院)、内田真哉先生(聖学院)、田代正樹先生(静岡聖光学院)のファシリテーションによって行われました。リフレクションカードやLEGOといったさまざまなツールを用いながら、参加者の内に湧き上がる思考を表現・共有・再構成をしていきます。
 
 
 
ファシリテーターの先生方が課題とツールをなぜ用い、どういう思考力を見ようとしているのかを述べつつ、参加した先生方がその影響を受けて進めた内的対話の様子をグループで共有し、思考力の再定義を行う。これは、よくある技能習得の教員向けセミナーとは全く異なります。
 
思考力とは何か、生徒たちにどのような思考を促すべきか、といった内省を深め、知を共有する「サイクル」を生むことが最も重要であると理解しました。
 
この分科会で特徴的だったのは、リフレクションカードやLEGOといった補助的な道具を用いて対話を促すことです。創発的な思考を促すために、さまざまなやり方を用い、新たな気づきや手法を生み出す。そのプロセスを経て、思考力とは何かという命題と向き合ってきた3名のファシリテーターの姿とともに、その価値に共感し創発する先生方の様子が印象に残りました。
(「学びの再定義」ユースプロジェクトの発表の様子)
 
第Ⅲ部は、各分科会の様子を各グループの代表者がプレゼンテーションをしました。
 
まずは「学びの再定義」ユースプロジェクトの発表です。参加者は英語と日本語の両方で発表しました。生徒たちは、学び手として率直に感じた事柄を起点に、世界を変える教育について論じていました。エッセンスは以下の通り。
 
成果より過程を大事にすること、そのために先生方の思考力を高める必要があること、STEAMやIB教育を参考に多角的な学びを得ること、ツールとしての英語教育、日本語で学び考えることの重要性、学びのコンフォートゾーンが作られないことによる教育の不全、人間の内面的な部分の深堀ができていない、「なぜ」と問い続けること、色々なことに興味を持つこと、海外の人々との交流、生徒たちの自信を鍛える教育、保護者の過干渉、話し合い伝える能力と柔軟性の重要性…
 
生徒たちの「学び」の定義や提案は、多くの教育関係者の心に突き刺さるものばかりでした。学びの主役である生徒たちの思考の深さと、その問題の本質を掘り下げていく姿勢、教育者の前でも問題点を指摘する潔さ。21st CEO加盟校の生徒たちのクリティカルかつクリエイティブマインドに驚くばかりでした。
 
 
(「学びの再定義」教師部会のプレゼンテーションの様子)
 
次は「学びの再定義」教師部会のプレゼンテーションです。
 
これからの未来に向けて教師が変わる必要があること、いわゆる詰め込み教育の時代にも学びの本質を追求する教員が多くいたこと、現場の教員は実は知識を詰め込もうと意識しているわけではないこと、どのような種類の学びが世界を変えるのか、幸せな人生とは何か、クリエイティブな学びとは何か、日常生活から学べることは何か、多種多様な質問を持ってきて投げかける場が授業であること…
 
教師部会では、学びの根源を探る問いを探究してきた様子がわかりました。このワークショップでは、進学実績重視・偏差値主義が闊歩するガラパゴスした日本の教育界をクリティカルな視点をもって再考察し、学びを再定義してきた様子がうかがえました。そして、これまでの教育の在り方をすべて否定的に捉えがちな中で、それまで積み上げてきた教育実践者の姿を振り返りながら、よき伝統は引き継ぎつつ、新たな教育を生み出していこうという気概を感じました。
 
「学び」や教育の定義は多種多様で、自ら受けてきた教育を再生産すれば子どもたちは幸せになると信じがちです。しかし、21st CEOの先生方はその点を一度批判的に捉えてみようと試みました。学びの再定義、つまり学びを創発するためには不可欠なプロセスだったといえます。
(「思考力の再定義」教師部会の発表の様子)
 
「思考力の再定義」教師部会では、「創造性とは何か」を問うたり、学びの場のデザインについて考察したりする流れとなったようです。
 
組み合わせの面白さ、日々生まれる創造として組み合わせを無限にする方法はないか、バラバラに散らばっているものを時間と空間という軸で共有する場が必要、互いの知識をシェアする場づくり、肯定感の育成、何かとの出会いによって学びは起こる、知識を得るための集中力や訓練の必要性、自己変容することの重要性、創造性により社会問題の解決と貢献という21世紀型のゴールを目指すこと、その土台にはコミュニケーションが必要なこと、よりよく生きるための学び…
 
ワークショップの様子を見ると、ユースプロジェクトも2つの教師部会も、同じベクトルを向いて議論していたことがわかります。石川先生のPBL100%宣言にもあったように、このカウンシルでは、参加者がプロブレムから始まる学びから、プロジェクトによる学びへの変遷を感じていたのではないでしょうか。
 
「学び」「思考力」について、日本では様々な議論がなされています。その多くはプロブレムベースでのものです。AIに仕事を奪われる、グローバル化によって競争社会が激化する、学校教育には大きな問題がある、という問題を起点に教育を変えようと声高に叫び続けます。
 
しかし、今回カウンシルに参加したメンバーはもっと幸せな世界を創り上げてもよいのではないか、という思いのもとで、思考を巡らせた様子がわかりました。
 
(左上:本間先生、右上および下:全体会の様子)
 
最後に、「明日に向かって」と題し、本間勇人理事よりカウンシルのまとめがありました。
  
今回の分科会で行ったディスカッションワークショップは、量子力学の物理学者デヴィット・ボームの「ダイアローグ」と、ZENの「十字図」を参考に創り上げてきたということです。ここでいう「ダイアローグ(対話)」というのは、私たちが一般的に理解する対話の意義とは異なります。
 
 
対話は2人の間ではなく、何人の間でも可能だし、一人でも自分自身と対話できます。対話を通して、グループ全体で一つの意味の流れが生じ、そこから新たな理解が産まれ、創造的なものが産まれます。
 
それを具現化したのが、今回のディスカッションワークショップとのこと。一人が情報を提供し、互いの考え方・感じ方を承認し、自己を変容させながら柔らかな雰囲気のもとにプロトタイプを創発する。これは、一般的に行われるような、互いの意見に同意させるディスカッションとは異なります。メンバーで意味を共有し、互いに関係を密にしながら、協調的な態度で次の行動を促します。
 
 
21st CEOでは、ダイアローグを核とし、思考力と学びを創発し、それを加盟校でそれぞれ仕組みとして取り入れる活動をしています。こうして、世界を変えていく次世代を輩出し、最高善を生み続けられるようなトルネードを生み出したいと決意を共有し、会は終了しました。
 
日本の中高教育現場は大学入試合格による進学実績や教科書内容の習得を主軸に据えることが多く、本来の学びのあるべき姿である「未来をつくる」「世界を変える」ための教育とはかけ離れた様子をしばしば見かけます。まるで、良心を育むよりも、自己の損得勘定を優先するかのような、強欲資本主義に則った教育が平然と行われています。
 
しかし、21st CEOが描こうとする教育の世界は異なります。自他を認め、異なる価値観を有することを前提に、どう対話しながら、さまざまなプロトタイプを創発し、世に発信するか。加盟校に所属する全員が、社会の構成員としての立ち居振る舞いを明確にし、どう協調しながら行動するのかを意識しようという、学びの根源を追求する姿があります。
 
今回のプレ「グローバル教育カウンシル(GEC)」を通し、「学び」「思考力」とはダイアローグ(対話)から生まれること、外的・内的対話がこれからの世界を生む心を育むことを体感できました。今回は加盟校のみの開催でしたが、今後は公開イベントを目指しているそうです。開催の暁には、多くの保護者やお子様、教育関係者に、対話から生む世界をご体感いただきたいです。
 

プレ「グローバル教育カウンシル(GEC)」の挑戦(1)

2018年5月27日、21世紀型教育機構は富士見丘学園において、プレ「グローバル教育カウンシル(GEC)」と称した加盟校の評議会を開催しました。この会は、教育にかかる根源的な問いを参加者が追求し、新たな教育を創発・発信・実現しようという目的で実施しています。したがって、技術や情報、ノウハウを伝えることを目的とした受動的なセミナーではなく、参加者のディスカッションワークショップ形式で実施しています。(株式会社カンザキメソッド代表であり、21世紀型教育機構リサーチフェローでもある神崎史彦氏に取材記事として寄稿して頂きました。)
 
 
特に注目すべきは、加盟校の先生方だけでなく、生徒も参加していることです。21世紀型教育機構加盟校での学びをもって未来を切り開くのは、生徒にほかなりません。つまり学びの恩恵の所有権は生徒にあり、先生方のものではありません。この会は生徒には学びの主体者として議論に参加してもらい、教育をともに創ろうという21st CEOの意志表示でもあります。
 
(写真左上:平方邦行先生、右上:吉田晋先生、左下:大橋清貫先生、右下:石川一郎先生)
 
会の冒頭で、全体コーディネーターを務める平方邦行副理事長(工学院大学附属)は、生徒とともに教師たちも変容することの重要性を語りました。私立学校はその学びの先進性と独自性を意識し、スピードをもって時代の変化に対応することが必要だと述べ、GECの意義を参加者と共有しました。
 
第Ⅰ部は吉田晋理事長(富士見丘)、大橋清貫副理事長(三田国際学園)、石川一郎理事(香里ヌヴェール学院)によるキーノートスピーチ(全大会)でした。
 
吉田理事長は、正解がない問いを自ら導く力を育むことが21世紀型教育の大きな目的だといいます。日本の国力にかかわるゆえに、暗記力に頼る教育に疑問を抱くとのこと。よって、世界で活躍する日本人を輩出するためには高大接続改革や教育課程の改訂が欠かせませんが、特に英語4技能や多面的評価においては国内の議論が混迷を極めている状況であることを懸念していました。こうした中で、21st CEOの加盟校では、生徒たちの夢や希望が広げられるよう、満足が行く社会を創っていこうと、決意を熱く語りました。21世紀は、生徒の皆さんの時代であるからと。
 
大橋副理事長(三田国際学園学園長)は、高大接続教育の未来を語りかけました。世界や実社会の問題に向き合うためには、分析・仮説・実証・説得とともに、批判的思考から創造性を発揮するという「創造的破壊」のマインドを養うのが21st CEO加盟校であると述べました。
 
また、大学選択についても、各種模試の偏差値ではなく、イノベーティブな学び、コンピテンシー、PBL/PIL、アカデミズム、充実したICT環境、思考力入試の実施といった、21st CEOが実践している教育が行われている大学を選んでほしいとのことでした。
 
石川理事(香里ヌヴェール学院学院長)は、「PBL(Project Baced Learning)100%」を宣言しました。PBLにはProblem Baced Learning とProject Baced Learningがあるが、どちらと捉えるかが鍵だといいます。AIやグローバル化によって大変になるというとらえ方なら前者、それによってワクワクしたり社会をよくしたいと捉えるなら後者。
 
石川先生は、不安を煽るのではなく、新たな力を獲得して何かを生み出そうといいます。そのさいにC1言語、つまり単なる会話を超え、複雑な関係性の中で問題を言語的に解決できるところまで成長してほしいと述べました。
 
第Ⅱ部では、分科会として、ディスカッションワークショップを行いました。テーマは「世界を変える学び」「世界を変える思考力」の2種類。ともに学びにかかる根源的な問いであり、21st CEOがこれからも追い続けるものです。
(上:「学びの再定義」ユースプロジェクト、中:「学びの再定義」教師部会、下:「思考力の再定義」教師部会)
 
「学びの再定義~世界を変える学びとは?」のワークショップは、教師部会とユースプロジェクト(21st CEO加盟校の生徒)の二手にわかれました。
 
教師部会は田中歩先生(工学院大学附属)、児浦良裕先生(聖学院)、大久保圭佑先生(聖パウロ)がファシリテーターとして会をコーディネートしました。世界や教育を取り巻く課題、その壁は何かを言語化し、発散したうえで、どういう学びが硬直化した世界を変えるのか。先生方が付箋とホワイトボードシートを前にして、議論を重ねていました。
 
課題観は現状の学校教育が抱える課題、特にガラパゴスと化した日本の教育に対する疑念や、時代による教育観の変遷や葛藤、未来を支える生徒たちに向けた教育ができているのかどうか、既存の教育が本当に問題なのか、などと、さまざまな議論を展開していました。
 
しかも、会場では活発な意見交換がなされ、笑い声が絶えません。「これが日常の職員室になると、幸せだ」という声も聞こえ、創発的な思考が満ち溢れる場であったことは言うまでもありません。学びの場には、こうしたコンフォートゾーンを創り、クリエイティブテンションを上げることが欠かせません。
 
また、学びの主導権を参加者に委ねるといった勇気も大切です。教師はついその主導権を握り続けてしまうものですが、それでは自らが問い続ける学び手は生まれません。その塩梅を熟知しているファシリテーターと、相互の信頼を確信して創発する先生方の関係性が心地よく感じました。
 
 
一方、ユースプロジェクトでは、石坂雪江先生(工学院大学附属)の支援のもと、工学院大学附属高校の3名がファシリテーター役として会を運営しました。多種多様な国籍の持ち主が一堂に会し、英語と日本語での対話が行われていました。教師部会と異なるのは、生徒目線で21世紀型教育を見つめている点。これからの未来を見据えたうえで、現状の教育に潜む問題や課題を共有し、それをメンバーが弁証法的にまとめ上げていきます。最初は日常の学校生活に対する疑問から思考が始まりますが、その意義を自分たちで見出し、よりよい教育の在り方を模索する姿が印象的でした。
 
また、興味深かったのが知性の変容がわかったということです。ハーバード大学院教授のロバート・キーガン氏は、「知性」を順応主義的で指示待ちの「環境順応型知性」、課題を設定し、自分なりの価値観で自律的に行動する「自己主導型知性」、1つの価値観のみならず複数の視点や矛盾を受け入れるリーダーとしての「自己変容型知性」の3種類に分類しています。
 
会の当初は、環境順応型知性が作動し絵ちましたが、3名の若きファシリテーターと異文化交流を経るうちに、自己主導型知性、自己変容型知性へと知性の段階を駆け上る姿を目の当たりにし、高校生の可能性を感じる2時間でした。
 

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